「子ども向け」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 二度寝さんの映画レビュー(感想・評価)
子ども向け
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連れられて鑑賞。
田舎の夏や屋敷の物々しさなどの描写はいい。
だが人物造形がどれも薄い。
さんざん横溝で観てきたような、いまやステロタイプの人々に
エロゲーの感受性が乗っかり、発明のひとつもなかった。
行動原理が愛か憎かだけかなんて、
人間ってそんな読み切れるものではない。
学生ばかりでなく、大人まで描こうとするならなおさら。
残虐さを押し出すなど比較的高年齢を狙ったのかもだが、
想像力の限界を見て、新海同様やはり子ども向けだと感じた。
曲がりなりにも大人に見せる気概でモノを作るなら
もう一歩踏み込まないと。
でもまあ終映後、席を立ち上がるお姉ちゃんたちが
口々に褒めていらしたので、
そのくらいのそこが対象なんだろう。
横溝がいまなお禍々しいのは、
数多の劇場型の凶行の背景に
旧家の陋習や複雑な人物関係の果ての確執、
つまり人の奥底から絞り出す情念があり、
その常軌の逸しぶりと掻き起こされる時代の記憶が
我ごとのように観客の想像力を刺すからであって、
「妖怪のせいなのねそうなのね」とやられると鼻白んでしまう。
鬼太郎と一見マッチしそうな雰囲気だけに残念ではあった。
あとは昭和のおっさんばかりということで
とりわけ前半に異常なほど喫煙シーンが多く、
劇場の中で吸いたくてたまらなくさせられる拷問映画だった。
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