「革命の季節はここにも」5月の花嫁学校 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
革命の季節はここにも
フランス映画で「5月」といえば、それは花嫁の季節ならぬ革命の季節だ。なるほど、68年、パリの大学生たちが「平等と自由とセクシュアリティ」を求めて立ち上がったのと同様の革命の波が、おそらくはこの、パリから遠く離れた時代遅れの花嫁学校にも押し寄せようとしているのかーーーーその予測は半分正しくて、半分は不正解だった。すなわち、よく見かけるジャンルの型通りにはいかないのが本作の持ち味。何しろ主体となるのはうら若き学生たちではなく、ジュリエット・ビノシュ演じる校長自身なのだから。夫に先立たれ、引き出しの奥に隠された秘密を知り、それから昔の恋人と出会い、感情を抑えきれなくなり・・・。自らが生徒に教えてきた道徳的価値観とはまるっきり真逆へ羽ばたくビノシュの大立ち回りぶりは、過去の出演作と比較してもなかなか意外。ただ、ドタバタ続きで落ち着きに欠ける側面も。もうちょい語り口にまとまりがあると良かったのだが。
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