劇場公開日 2021年12月3日

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「ラスト10分はクラシックコンサートのようでした」天才ヴァイオリニストと消えた旋律 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ラスト10分はクラシックコンサートのようでした

2021年12月4日
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鑑賞方法:映画館

人間にとってあまりにも不条理で、これ以上ない過酷で悲惨な仕打ちを、自然災害などではなく、他ならぬ人間自身が行ってしまう。
この事実は、どんなに形を変えようと次の世代に語り伝えなければならないし、犠牲者の名前(names)を刻むこと(伝えること)は、大勢の犠牲者としてひとくくりにされるのではなく、刻まれた名前個々の人生を悼むことになる。
現在でも、大きな災害や事故のあと、その場所に犠牲者全員の名前が刻まれた慰霊碑が建つのはそのためなのだと思います。遺族でなくても、そこを訪れた人間は、その名前ひとつひとつに想いを馳せ、どんな人生を送っていたのか、或いは送るはずだったのか、そんなことを想像し、二度と起こしてはならないという想いを抱くことになります。
(私が政治家だったら、交通死亡事故現場などに、遺族の同意を前提としますが、亡くなった方の名前と年齢を記した慰霊碑を建てることを議案にして提出してる? かもしれません)

ユダヤの人々はディアスポラによって、土地に紐付いた慰霊碑や記録を残したりすることが困難であった歴史があったので、口伝で引き継いでいくことが伝統的に身に付いたのでしょうか。それはそれでまた、〝一所懸命〟という言葉を持つほど土地とは切り離せない生活を送ってきた日本人には身体的、経験的な理解がとても難しい感覚です。

映画から学ぶこと、知らない世界について考えるきっかけを与えられることは本当に尽きることがないし、ありがたいと思います。

グレシャムの法則
グレシャムの法則さんのコメント
2022年5月4日

美紅さん、いつもありがとうございます。音楽はやはり何かを伝えるうえで、力を持ってますよね。

グレシャムの法則
2022年5月4日

先ほど観終わりました!バイオリンの深みのある音色、学ぶところがあるストーリーでした。

美紅
2022年5月4日

こんにちは😃
配信にて観ようと思います。

美紅
NOBUさんのコメント
2021年12月5日

おはようございます。
 ”映画から学ぶこと、知らない世界について考えるきっかけを与えられることは本当に尽きることがないし、ありがたいと思います。”
 全く同感です。今作では、口頭伝承で亡き人の名前を残すという”考え方”を学びました。佳き映画でした。
 ユダヤ人の映画を観る度に、ハラル認証(調べると凄い細かさ・・、今作でも台詞で出てきましたね)や、ナチスの強制収容所の名前などは憶えてきましたが、何故か頭に載せる(被る?)キッパ(若きドヴィドルが”宗教から脱する”と破いてましたね)の名前がいつも出て来ないNOBUでした。
 でも、今回簡単な覚え方を見つけました。”キッパは河童と覚えよう・・。”
 朝からスイマセン・・。

NOBU