「とても愉快な作品で、楽しく鑑賞できる」ベル・エポックでもう一度 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
とても愉快な作品で、楽しく鑑賞できる
本作品のタイトルと同じ「ベル・エポック」というシャンパンがある。日本語で言えば「いい時代」となるのだろうか。花柄の洒落たボトルに入った大変に美味しいシャンパンで、癖のないスッキリした味わいは忘れられない。
本作品も同名のシャンパンと同じように洒落ている。この世は舞台で人はみな役者だという言葉はシェイクスピアだっただろうか。人生はいつ何が起きるかわからない。いつも絵を描いている店で、初めて逢った女に求婚されないとも限らないのだ。それは楽しいことだろう。
個人にとってのいい時代とは、輝いていた時代、最近の言葉で言えばピークということになるのだろう。我が身を思い返せば人生のピークは子供の頃か、または高校生の一時期くらいかもしれない。本作品のヴィクトルのように社会人になってからの一時期が人生のピークというのは羨ましい。
前半は微笑ましい本作品だが、後半になるとどこからが芝居でどこからが現実なのかの境界がわかりにくくなる。ほぼドタバタ喜劇だ。これはフランス人らしい洒落だろう。この世は舞台で人はみな役者なのだ。
とても愉快な作品で、楽しく鑑賞できる。鑑賞後には、どこかの粋なビストロでベル・エポックが飲みたくなった。しかし世界はコロナ禍の真っ最中だ。銀座といえども飲める場所はどこにもない。しょうがないから酒屋で買って家で飲むか。結構高いんだよな。給料は減るし、シャンパンも飲めない。この世はコロナ禍で人はみなトホホなのだ。
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