モーリタニアン 黒塗りの記録のレビュー・感想・評価
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多くの人が知るべき、恐ろしくて悲しい実話
グアンタナモ収容所の地獄。これが実話というのは本当に恐ろしいし、悲しくなる。だが、その地獄から救い出そうとする人達がいたこともまた事実。
その弁護士を演じるジョディ・フォスターの演技は流石の一言。ベネディクト・カンバーバッチ演じるステュアート中佐との対峙シーンは、観ていてゾクゾクした。
9.11がもたらした光と闇、映画を通じて、多くの人が知っておくべき実話だと思った。
国防と人権
本作はノンフィクション映画であり、しかもつい最近の21世紀に起こった実話をベースにしている。
強い国アメリカはテロを絶対に許さないという国防側の立場と如何なる場合でも法の下に人権は護られなくてはならないという司法側の立場との対立の構図となっている。
9.11同時多発テロ実行犯と接触があったイスラム教徒ということのみで罪状もないまま8年間拘留されているモーリタニア人(結局計16年勾留だっけ?)は、実のところ本当にアルカイダの一味であったかは最後までわからないままだが、報復の恐れからテロを根絶やしにするため疑わしいだけでも罰すべきという国防の考え方は米国内では非難と支持の両方であろう。
弁護士役のジョディ・フォスターと軍側代理人役のベネディクト・カンバーバッジがお互いに法律家としての矜持と正義感がアメリカの進むべき方向を必死に修正しようとしているかのように見え、人間として正しくあろうという姿勢には心を打たれる。
観るべきだが、観るとしばらく立ち直れなくなるそんな映画だと思うが、終始奥歯を噛みしめながら観ていたせいか、顎が痛くなった。
難しいよな
177本目。
観れないのも覚悟してたけど、ラッキー。
最後のテロップに前のめり。
争点が人権になってからは、開放されるべきだと思い観てたけど、証言で疑念。
人はウソを付く。
訓練された人間ならば、欺くのは可能。
考えがあっちに行ったり、こっちに行ったり。
でも映画してるだけ、まだマシな国なのかも。
隣国じゃ、それ以上の事をやっているのだろうから。
映画化によって知る非道の真実
本作はゴールデングローブ賞を受賞しながらアカデミー賞にはノミネートもされていないという。アメリカ国家が犯している汚点を米国の映画界ぐるみで国に忖度しているかのようだ。自白を引き出すための徹底した拷問、それをアメリカの法が及ばないキューバに収容所を作り行う非道。こういう実態こそ映画化され多くの人々に知られる価値がある!
ひねくれ者がこの映画を観ると
レビュー評価は4つ星以上をあげている人がほとんどだ。ひねくれ者の私としては、もう素直に映画を見ることができない。斜に構えて観ざる得ない。
拷問により自白を強制された人の悲劇で、2時間以上も見せられるのは、たまらない。
9.11同時多発テロの首謀者の一味と面識があったことは事実だろう。どこまで関係があったかは不明だ。異常に長い勾留と拷問は論外で、即釈放すべきである。拷問までが長い。でも、このような映画を製作するアメリカの良心には、5つ星をあげたい。
名前のせいかもしれないけど、カンバーバッチの細長い顔を見るとキュウリを連想してしまう?
『グアンタナモ、僕たちが見た真実』(2006)を観たときに、グアンタナモの実態を知った。アルカイダの首謀者ビンラディンの関係者として、拘束することに躍起になっていたアメリカ政府も理解できるが、その裏には恐ろしいまでの拘禁生活や拷問、虐待、洗脳があった事実を知ったものだった。
そんな中でもアルカイダの中枢部分に関与した者として、大した証拠もないのに違法な投獄があった事実を思い知らされる今作。モーリタニア青年のモハメドゥがドイツ留学していたときにアルカイダへとリクルートしたということやビンラディン名義の電話があったことなど、同時多発テロ事件とは直接関係なさそうな理由のみによるものだ。
日本でも公文書が黒塗りにされたニュースをよく見たけど、どこでも行われてるものなんですね。都合の悪いことをひた隠しにする権力者の腐敗構造、冤罪、でっち上げの横行。さらに事件の被害者遺族の感情やアメリカのメンツだけにこだわっていたブッシュやラムズフェルドという実名も晒されるのだ。
ストーリーの中盤まではモハメドゥの感情が変化する様子によって、それほどまでの内容とは感じられないけど、悪夢がよみがえるシーンには驚愕の一言。こんな拷問もあったのか?!ヘビメタとカントリーの大音量って・・・ヘビメタ好きの囚人だったらヘッドバンギングしまくって頸椎損傷、硬膜下血腫で死に至るかもしれない・・・。
MFR(記憶用覚書)について説明もあったのですが、つい忘れてしまい、何だっけ?とならないように記憶しなければなりません。あぁ、もしかすると俺もヘビメタにやられちゃったのか・・・
グアンタナモで酷い虐待が行われていたのは周知の事実。先進国でも国家...
グアンタナモで酷い虐待が行われていたのは周知の事実。先進国でも国家ぐるみで人道に反する事が行われるって恐ろしい事です。
証拠は無いけど本当に無罪だったのか、そこはまた微妙な描かれ方でしたね。
エンタメとしてはもうひと工夫欲しい感じでした。
モーリタニア人のモハメドゥの笑顔がとても印象的
予告編のイメージと違い、かなり面白い映画であっという間に時間が過ぎました。
途中からモハメドゥの尋問が拷問に変わり、徐々に数か月間追い詰めて強制的に被告人にさせられ自白させられるシーンは酷かった。
アレに耐え「自由と許し」は同じ意味。アメリカを許す。と言えるのは宗教のおかげ?
結局、裁判に勝っても長期間解放されず、本当に酷い仕打ちを受けて耐えぬいたモハメドゥ。
最後に本物の弁護士とモハメドゥが紹介されましたが、モハメドゥが楽しそうに笑顔で歌う姿が印象的でした。
残りの人生は死ぬまで幸福に生きて欲しい。
誰でもいいわけではない
どうしたらあの環境、状況で正気を保てるのだろう。
彼にはアラーがいたけど、私からしたら神が絶対に正しいわけではないと思うし、法律が全て正しいとも思わない。
罪になることはやっていない、という、自分を信じられる精神的な強さがあったからかな?
もう一つ、ラストの映像からわかるけど、明るい人だ 笑
だからかな?
とにかく、強い、ぶれない、柳みたいなしなやかさを感じた。生きていくこととチャンスを掴むことへの情熱と頭の良さを、持った人たちがたくさんアンチアメリカの国にはいるんだろうな、とも思った。
裁判に勝ったのにその後7年間も拘束され続けるなんて、その段階で私なら絶望しちゃいそう。
これが事実の世界とは、アメリカ、恐るべし。
大義の為なら個人の命なんか二の次なのかな。
ただ、そんな中でカンバーバッチさまの「誰でもいいわけではない」とおっしゃった一言に救われた気がした。
誰でもいいから疑わしきだけで犯人、死刑だなんてたまったものではない。実際、現実はきっともっと厳しかっただろう
けど、人権擁護弁護士が本当に正しい人を救ってくれるのは素晴らしいと思う。
弁護士って、たまになんでこんな人を救おうとするの?と思ったりしてしまうが、人間ひとりひとりのやってきたこと、やらなかったことを法の下に明らかにする,というやはりすごい仕事なのだと改めて思った。だから、弁護士さんには余計にお金儲けだけでなく、名誉や知名度のためでなく、法の下のジャスティスのために仕事していただきたい。と祈る。
神も法も信じないとかいいながら、やはり最後のよすがはそこなんだよね 笑
ジョディー・フォスターとカンバーバッチ様の共演は嬉しかった。相変わらずお美しい、ジョディー・フォスター。
アラビア語では、「自由」と「許し」は同じ言葉だ。
モーリタリアン=モーリタリア人。不勉強ながら、モーリタリアと聞いて、何処にある国かピンとこなかった。なるほど北西アフリカに位置し、モロッコ・アルジェリア・マリ・セネガルに囲まれた領土、旧フランス植民地、アラブ系民族か。
そのモーリタリア人であるモハメドゥが、9.11テロの関与を疑われてアメリカに拘束され、キューバのグランタナモ基地(かの悪名高き)で過酷な拷問を受けた実話をもとにした構成。実に、14年2か月間の拘留というのだから、おそらくどれほど想像しても、現代の平和な日本で暮らしている自分には想像しきれないのだろうな。
彼を死刑囚として立件する終着地点を確定したうえで進める米国家側と、人権擁護の弁護側。国家側は不都合な資料は一切開示する姿勢は見せず、どうやってもゴリ押しして犯人に仕立てようと躍起。次の9.11が起きる前に決着をみせたいのはわかる。が、性急で強引な対処が、なにかを信じている人間には無意味なことがどうしてわからないんだろう。だから、本当の犯罪者の偽りの言葉なのか、無実のモハメドゥの切実な言葉なのか、どっちも同じにしか聞こえなくなる。
映画の中でもいう。「9.11は許しがたい。犯人はその償いはしなければいけない。だが、その報復を受けるものが誰でもいいわけではない」と。そこは本来、正義の国を標榜するアメリカという国家の専売特許じゃないのかよ。
当初、通訳が必要だったモハメドゥが、いつしか英語が堪能になっている。それも開放をあきらめない彼の不屈の努力の賜物。嬉しそうに歌うのがボブ・ディランの歌っていうのも、いいなあ。
その歌『the man in me』の冒頭の歌詞は"俺の中にいる男は、どんなことでもやってのける"と叫ぶ。まさに、モハメドゥの心境そのものだった。
骨太
アメリカの、自国の負の側面に向き合う力がすごい。まったく忖度なし。拷問で女兵士にレイプされるところまで再現している。
グアンタナモ収容所はオバマ大統領になってすぐ閉鎖されていたような気がしていたのだけど、ずっとあったようだ。エンドロールでご本人登場で、すごく明るい人で驚いた。
アメリカっていう国、つくづく尊いなと思う。
国にとって隠蔽したい過去を、このようにして映画で取り上げるところ。
国としては知られたくない恥部を、公開するというところ。
アメリカっていう国はすごいなと、改めて思いました。
黒塗り文書。
日本と照らし合わせてしまいます。
アメリカは許さなかった。
この差は何なのでしょう。
日本でこのような力強い映画が生まれることを願います。
違うな、日本でこのような隠し事が起きないことを願います。
映画としても、今観るべき映画としても
大変優れた作品です。
古今東西、政府のパワーをもってすれば、イチ個人なんかどうとでもできる。
それは分かっていたつもりですが、それにしても事実として追体験するのはわけが違います。
個人的に面白かったのは、アメリカは公文書をキチンと記録保管する国なんだということ。
仮に尋問が拷問であっても、その様子をMFRに記録するということだ。
権力の濫用であっても後から検証可能となっているそのシステムに不謹慎ながら興味深いと感じた。
どこぞの国のようにシュレッダーしてしまいましたなんて馬鹿げた言い訳は皆無です。
実録ものではありますが、ミステリー•サスペンス•法廷モノなど多くの切り口があり、お話としても面白いです。
なによりも、ジョディフォスターとカンバーバッチの2枚看板を使って娯楽大作として、仕上げてくれたことに感謝です。多くの人が観て感じるべき作品なので。
良作の多い今年にあっても決して霞むことのない傑作です。
人間性が壊れる場所
【グアンタナモ湾収容キャンプ】
キューバのグアンタナモ湾のグァンタナモ米軍基地に
設置されているアメリカ南方軍の収容キャンプ
2002年にジョージ・W・ブッシュ政権時に設立され
アフガニスタン紛争およびイラク戦争の過程でテロに関与している
と疑われて強制連行ないし逮捕された数多くの人物が収容・監禁され
アメリカ合衆国憲法修正第5条や修正第14条に違反する
違法な拘束であると批判を受けており
キューバ政府は同基地の返還を求めている
同キャンプは現存しており
911からおよそ20年経過したバイデン政権で
閉鎖がやっと検討段階にあるこの時期に
容疑だけで14年もの間拘束された
北西アフリカのイスラム国家である
モーリタニア人の手記を元にした今作
事件自体は軍人による過度の尋問・拷問が
あったという報道自体は当時から知っていましたが
感想としては
大変衝撃的な内容であり
復讐心が正義の名を騙って行われた蛮行という
大変矛盾した有様に驚きを隠せませんでした
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの首謀者
とされたウサマ・ビンラディンとの関係性を疑われ
テロから数月後に故郷モーリタニアで身柄を拘束された
モハメドゥ・ウルド・スラヒ
ヨルダンなどを経てグアンタナモに移送され尋問を
受けますがスラヒは一貫して関与を否定します
スラヒがビンラディンの組織するアルカイダに入隊
していたのは事実でしたが
スラヒは留学先のドイツから故郷から
アフガニスタンの惨状を見てムジャヒディンの
聖戦に立ち上がらなくていいのかという思いから
だったことで全く関係ないと否定し続けます
アルカイダ入隊も20年前の事です
そんな有様をニューメキシコ州アルバカーキの
法律事務所のナンシー・ホランダーは
法的な拘束期間をとっくに過ぎている件に関して
疑問を持ちスラヒの弁護を引き受ける方向で進みます
いっぽう米国政府はスラヒをテロ首謀者として
有罪(処刑)するために軍内でも法関係に長けた
弁護士スチュワート中佐に依頼します
スチュワートも同期が犠牲になった航空機の
パイロットをしておりテロリストへの怒りは
持っていました
ナンシーはまずフェンスというフェンスを
シートで覆った異様な空間のグアンタナモを訪れ
通訳係のテリーと共にスラヒと面会
スラヒはフランス語とドイツ語しか喋れない
との事でしたがすっかり英語を覚えてしまっており
頭脳の優秀さを見せ改めて無実である事と
家族への連絡を頼みますがナンシー側も受け入れ
面会者は内容を記録して持ち帰れないため
収容所で起こっていることを文章で内部から
送ってほしいと伝えました
ところがスラヒは送ってくる文章は
事前に検閲され都合の悪い場所は真っ黒
まずナンシーは開示請求を裁判所に訴える
所から始め資料開示を勝ち取りましたが
見せられた収容所での報告書は
真っ黒に塗りつぶされた報告書ばかりでした
ただその報告書にはスラヒの自白した部分だけが
残っており信じていたテリーは怒り
ナンシーは困惑します
一方のスチュワートは調べてもテロ関与の
証拠が全く足りず作業が難航しているところへ
依頼してきた少将がせかしに来ます
あいつらがやったに決まっているから
証拠なんかなんでもいいという口ぶりに
スチュワートは疑問に感じます
当時は911によってアメリカを攻撃され
テロリストへの怒りや復讐心を持っていた
時期ですが法は法であり真っ当に証拠をそろえ
立件すべきという考えをスチュワートは
持っていたのでした
それが当たり前のはずなんですが・・
スチュワートの方も証拠探しに関して
グアンタナモでの記録に全く触れられず
生の議事録を現地まで行って開示を要求しますが
拒否されてしまいだんだん疑念を感じてきます
ナンシーは本人に会うと明らかに憔悴しており
何があったかを手記として教えてほしいと言って去ります
スチュワートはグアンタナモに勤務しており
議事録の事実を知る同僚に法の正義を盾に詰め寄ると
こっそり教えてくれます
それぞれが同時に知るような描写の中で・・・
米国防長官ドナルド・ラムズフェルドの指示した
「特別尋問」の真実を目の当たりにする事になります
それはもうほぼ拷問といっても間違いない物で
尋問するのは軍人のはずなのに人権・性的・宗教
まるで関係ない暴力的なものだったという記録でした
海沿いの隔絶地グアンタナモに収容した理由は
容疑者だけでなく軍人たちの人間性も壊すため
だったと言っても過言ではなかったわけです
この事実を同時に知るシーンは胸が痛みました
スチュワートは改めて少佐に有罪には出来ないと
言うと裏切り者と吐き捨てられ担当を外されます
ナンシーはその手記を本として出版するべきだと
本人に伝えます
裁判で争うはずだったスチュワートはナンシーと
事前に顔合わせをしていましたが
スチュワートは外される際にナンシーに
スラヒの疑いを晴らすヒントも伝えて去ります
結果スラヒは裁判で勝ち自由の身を手にしますが
結局14年もの間拘束され続けたのです
オバマ政権になってからも7年も
エンディングの後味は想像以上に悪いです
魔女狩りなんか全然笑えません
以前911関係で以前疑問に思うことを
ツイートしたら結構名のあるっぽい人から
犠牲になった人に失礼だと噛みつかれましたが
その人の見識がどうであれそういう
一方的な見識を押しつけてくる人間が
最も事実からも問題点からも
遠ざからせてしまう
そんな人はどんなに偉くても軽蔑されるべき
だと改めて思いました
おすすめしたい映画です
ただシーン的に光点滅がかなり激しいシーンが
あるのは事前に忠告しておくべきだと思いました
だからアメリカは…
14年もの長い間、人生を奪っておいて一言の謝罪もなかったとはね〜
アメリカって謝らないね〜
そういう傲慢な、アメリカ1番的な考え方がテロの標的にされるんじゃない?笑
モハメドゥさん、生きて帰れて良かった。
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