「脚本秀逸!迷っている方は見て損なし。」プロミシング・ヤング・ウーマン ビワハイジさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本秀逸!迷っている方は見て損なし。
ポスターはB級ホラーみたいで「サイコ美女がバカ男共を次々と惨殺するんだろうな〜」と言うノリで観たら、良い意味で期待を裏切られまくり。久々の拾い物、予備知識ゼロで観て大正解の秀作です。
決してハッピーエンドではないけれど、主人公・キャシーのやり遂げた感は爽快。これ以上はないという形で復讐を完遂させます。
終盤近くである人物を許したのが腑に落ちなかったけれど、あえて使える駒として残して置いたんですね。
一見イノセントな彼氏もやっぱりクズ男だったのはかなり残念ですが、あそこで一気にキャシーに感情移入できます。中盤のバカップルぶりから、嫌な予感はしていたのですが。「何もしなかった」事の罪深さに気づかない男。他の方も書かれていましたが、30年も経つのに「告発の行方」の頃と何も変わっていない。怒りより物悲しい思いが湧き上がって来ます。
メンズデーという事で男性の一人客もたくさん居ましたが、どんな感想を持たれたのか訊いてみたい。
事件の関係者達の身勝手さが暴かれれば暴かれるほど、キャシーのニーナへの純粋な愛が浮き彫りになってきて、ペンダントのアップには胸が締め付けられました。しかし、そんなセンチメンタルな気分を吹き飛ばすエンディングには脱帽‼︎「何でⅣじゃないの?」と思っていた自分の鈍さに苦笑いです。
キャシーの両親は、どこか「時計仕掛けのオレンジ」のアレックスの両親を思わせる。父親は幾分マシですが、母親の態度やインテリアの趣味などは圧迫感が凄くて、正直作中で一番怖く気持ち悪かった。これも、ニーナだけがキャシーの心の拠り所だったことを示す描写なんだろか。
とにかく脚本が秀逸。後で知ったのですが、アカデミー脚本賞受賞も納得です。迷っている方はぜひご鑑賞を!