「怒りで涙」プロミシング・ヤング・ウーマン talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
怒りで涙
カサンドラという名前からしてもうpromissingでないだろうと嫌な予感がした。
交差点どころか車一台走っていない真っ直ぐ田舎道、運転席に女一人というだけで強気に難癖つける男のシーンで私の怒りは最高潮に達した。バックにはワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」が流れていた。
甘くて可愛い色彩(母親からの誕生日プレゼントの色にも衝撃を受けた)を身に纏いつつ低い声で冷静な頭と眼差しのキャシー。彼女にとってニーナは、トリスタンとイゾルデのように自分であり自分の一部なんだ。
絵にかいたような「エリート」達:男は高身長・金髪・白人・ハンサムで筋肉あり。小柄な女を押さえ込むことなんか簡単にできるだろう。女はそういう男側にいてぬくぬくと傍観者で荷担者で男と一緒にすぐ「忘れる」。このテーマ全然古くないから!
脚本は勿論、映像、色彩、音楽、ヘアメイク、衣装、セット、キャスティング全てが良かった。
花魁とは違い好んでその世界にいる人たちではありますが、「男受けする美しさ」以外に生き残る術がないという点では一緒かも知れませんね。
私はとある一件についてここの運営に問い合わせたところ、問答無用で1、2ヶ月間レビューが閲覧不能になった事がありますのでお気持ちお察しします😅
「玉の輿に乗りたい」と思っている女性は数多くいるでしょうし、それも世の中の現状を見れば当たり前か、と思ってしまったり。うーん、難しいところですね。
ちなみに自分は「女子アナ」ってその呼称も仕事内容も物凄く差別的だと思っているのですが、未だに女の子がなりたい人気職業なんですよね。うーんなんだかなぁ…。
とどのつまり、革新を望む女性もいれば従来の構造のままで良いと思っている女性もいるわけで、その齟齬がフェミニズムを阻害していると最近はよく思います。
まぁこの辺りは時間をかけてじっくりやっていくしかないんでしょうね…。
talismanさん、コメントありがとうございます♪
キャリー・マリガンの演技は本当にお見事でした👏
古くから問題提起されているにも拘らず、なかなか男女格差は埋まらないですよね…。「昭和の頑固親父」が滅んでくれれば、少しは女性の待遇も良くなるのでしょうか。
コメントありがとうございます。
僕の方こそtalismanのレビューを読んで知識やら楽しみ刀を補填させてもらっています。
音楽や色彩など多角的な視点からのレビューは、いつも新たな視点を与えてくれます。
いつも、新たな発見に感心しながら読ませてもらっています。
talismanさん、コメントありがとうございます!
カサンドラにはそんな意味があったんですね!勉強になります。
「トリスタンとイゾルデ」・・・これもわかりませんでした(汗)
ついつい失踪という言葉に反応してしまったわけですが、綴りも違うし発音も違う。まぁ可能性だけはあるかな・・・
えっと、「ラ行」に関してですが、実は五十音順になってなくて、abc順で管理しているので膨大なs行というのが未投稿。ぼちぼちとやります・・・
talismanさんへ
邦画にありがちな「(誰が)誰を撮るか」な作品はツマラナイし、監督=脚本で脚本も一人で書いている作品などは、スルーする事が増えました。でも今年の邦画界は楽しいです。背景などは少し調べ物をして何かの機会にレビューで触れようと思います!
talismanさんへ
ハリウッドでは徹底的に脚本を叩く、って言うのは事実。ディズニー作品などは本当に徹底してると感じてます。一方で面白い統計があって、フランス映画では総制作費の30%以上を脚本や撮影開始前の企画段階に使う。ハリウッドでは8%以下。製作費の規模が違うので単純比較は出来ませんが、「何を撮るか」にこだわるフランス、「どう撮って、いかにして売るか」に金を使うハリウッド、と言う違いですかね。
などなどの見方からも、この映画はアメリカ映画としては、結構な変わり種だと思います。
talismanさんへ
主題のための珍設定や、見る人が合理性に疑問を持つ流れ、などは、若手作家にありがち。ハリウッドなどで金を掛けて撮られる映画では、そんな若手の脚本が修正されても、日本の国内で作られる低予算の手作りの様な映画では、その修正がされない。邦画的と言う印象は、そんなところでしょうか。別に邦画に限らず、「メジャー作品じゃない感じ」ですね。
talismanさんへ
「ニーナはアルに会ってから変わってしまった」と話す表情に嫉妬心も滲んでた気がして。性的関係は無い精神Lってのは確実にあるなと思いました。
B級邦画感も好きなんです。一般化/普遍化/大衆化がハリウッド的/企業ビジネスのコンテンツとしての映画的と定義するなら、B級邦画はその対極。
キャシーの人格や環境設定のあり得なさ、不描写部分の多さ、復讐のカタルシスは分かる人だけ分かって!と言う特殊性、などなど。
この映画は「そっち側だよね」って感じました。
talismanさんへ
tally marksはたまたま知ってましたが、この展開を見て思ったのは、「このネタは連続ドラマ化出来る!」でしたw
トリスタンとイゾルデその他から、キャシーとニーナはLだったと邪推したのは私ですw
虫や魚の一部には、メスの方が大きい場合がありますが、ヒトもこれからそう進化するといいですねー。
嫌いな男はコテンパンにのしたるぜ!
レビューを拝読して、吉田修一の「さよなら渓谷」を思い出しました。
カサンドラ…悲劇の予言者(ギリシャ神話)ということだったんですね。
なるほど‼️
相手にそれを告げていく復讐劇かと思いきや、自分自身の運命でもあったという強烈な皮肉。
被害者が自業自得だったことにして見ぬふりを正当化してしまう同性側への視点についてあまり深く考えていませんでした。これもなるほど!です。