レンタル×ファミリーのレビュー・感想・評価
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考えさせられるサービス
実在するサービス その経営者が書いたドキュメンタリー小説を映画化した作品
なるほど~ と唸ってしまう。
小説に書かれた言葉のニュアンスとの違いがどこにあるのか知りたいと思った。
ひとまず映画に主軸を置き、この作品を考えてみた。
107分の中に3つのエピソードが描かれている。
ネット社会になった昨今、アプリによって様々なサービスが登場した。
そして発展したのがネットの中ですべてが完結できる世界 メタバース
逆に、リア充を求める人々も多く存在する。
実際に、ソープランドがあり、パチンコがあり、ホストクラブがある。
この延長線上にあるのが、この「家族レンタル」というサービス。
率直な感想は、
「人を喜ばせておいて、後でがっかりさせるもの」だと思った。
ただし、それがいいか悪いかはサービスを受ける側が決める。
ここが盲点だろうか。
ナナコ
彼女は母が死んだことでこのサービスを知り、パパだと思っていた人が赤の他人だったことを知る。
生きるためにペンションで働き、やがてオーナーから大学受験とサービスのパパに会うべきだと助言される。
オーナーの言葉の真意がどこにあったのかは不明だが、その事で悶々となってしまうのは良くないと思ったのだろうか?
ナナコはサービスのパパに会いに行く。
頭ではわかっていることなのだが、心は納得できないというのが正直なところだろう。
そして、この会社は妙に善意的だ。
だからドキュメンタリー小説が書けるのだろう。
仕事に対し完全に割り切っている三上
同時に顧客への配慮は欠かさない。
個人的には、ここが非常に小悪魔的に感じてしまう。
ナナコは三上と話し、母と三上との依頼内容を知り、母に「ありがとう」を呟いた。
翌日ナナコは、別の家族の父親役をしている三上を目撃する。
この現実
ナナコは母の死に乗せて、いろんな想い出をあの瞬間に捨てたように感じた。
想い出が想い出ではなかったこと。
この空虚感は「切なさ」という言葉では表現しきれないほどの虚構だろう。
ナナコにとっては、逆に踏ん切りがつけられたのかもしれない。
確かにソープもホストも「いまだけ」楽しいものだ。
あのマナミという客のように、ホストクラブに通うためにキャッシングするようになってしまえば、サービスの根源を忘れ、お金で幸せが買えると錯覚してしまうのだろう。
このサービス、顧客に善悪の判断を委ねてしまう是非
エピソード1の母子はサービスを止めた。
その母子とすれ違うナナコ
彼らは本当に虚構とさようならができたのだろうか?
人の心 寂しさはお金で埋められるのだろうか?
あの誕生日は、あの孫とのひと時は、本当に「想い出」となるのだろうか?
そしてこの作品はあくまで「ドキュメンタリー小説」が基本だ。
リア充と言いながらも、嘘と本当が入り混じる世界(サービス)
お金で買えないものを、あたかも買えるように見せかける世界(サービス)
買えたような気になるサービス
そこに残った割り切れない人の想いがあるはずだ。
バーチャルティアリティならぬルタナティブリアリティ(代替現実)
現実世界にフィクションを重ねて体験させる。
なかなか恐ろしいサービス
そして現実にあるサービス
満たされない現代人の心が求めたもの。
なかなかシリアスに考えさせてくれる映画だった。
この薄っぺらさ!あえての演出? だとしたら、すごい!!!
家族はレンタルできるのか?という話。
”人材レンタル”は『リップヴァンウィンクルの花嫁』で知った。
エキストラみたいで、やってみたいなんて思っていたけれど…。
レンタルって、必要な時だけ借りて、いらなくなったら返却。気に入らなかったら返却。
しがらみが無い分、楽だけれど、家族って、そんなものなのだろうか?
物でさえ、長年使っていれば愛着がわく。
人は?
家族…。
「僕は、血の繋がった本当のお父さんじゃない」
この映画の中で何度も繰り返される言葉。
本当のお父さんて、なんだろう。
ステップファミリーは血がつながっていない。
養子縁組家族だって血は繋がっていない。
他にも、他にも。
でも、しっかりと”家族”になっている家族はたくさんいらっしゃる。
疑似家族だって、もっと心の繋がりはあるだろうに。
三上は、クライアントが望む”理想の父”を演じると言っていたけれど…。
”理想”って、何?
クライアントの望む形を演じられれば理想の家族なのか?
特に、エピソード3では、福祉の職員の方が、もっと親身に、菜々子の身の振り方を手配するぞ!
(映画では、一人になった菜々子に対して、学校側も、福祉も、親戚も出てこない。私の周りでこんなことがあったら、菜々子の母の店の社員が学校か子ども家庭支援センター/児相に連絡、児相が動いて親戚に連絡とってとなると思うけれどな。で、引き取り手がいなければ、保護となる。三上が菜々子の福祉に関わる機関に連絡するわけでもなく、ただ、自分の立場を釈明するだけで放置。レンタル業を際立たせるために、あえて、そういう部分は削ったのだろう)
短時間の付き合いならば、化けの皮は被り続けられ、”理想”を演じられる。結婚詐欺師等の常とう手段。ホストと変わりないと思うのは私だけ?
でも、日常を共に過ごせば、期待に反する部分も出てくる。反対に期待される部分も。そのすれ違いから、喧嘩とか、諦めとか、”理想”だけではなくなるのだと思うのだけれど。
三上だって、菜々子がオフィスを訪ねた時の対応…。アポなしの時にはあるあるだけれど、一言「後で時間作るから待ってて」が欲しかったのに。
結局、三上にとって、クライエントの要望を完璧に演じられるかが大切なのであって、クライエントそのものを大切にしているわけではないんだよな。
その後の、菜々子の表情が痛々しい。
それでも、帰る場所が見つかったから、あれで済んだのだろうと思いたい。
父を求める子。それに応えたい母。
『Dearフランキー』でも、偽父を探した。
そのために婚活する方も実際にいらっしゃる。良いご縁に巡り合える時と、悪いご縁に捕まってしまう時と…。
子の願いを叶えたい気持ちは、母ならではのことなのだろう。
でも。
何回にもわたって利用するのなら、せめて、子にインフォームドコンセントするべきなのではないだろうか。
ドラマはあえて深堀しない。
エピソード2は、三上に密着したドキュメンタリー風になっている。
それなりに、自分の仕事に悩むシーンも出てくるのだが、ほとんど、自己啓発セミナーか、新興宗教がらみのスタッフのように見えてくる。
受験のための代理父って。入学してから、詐称がばれて、退学にならないのか?
結婚するということは、親族の冠婚葬祭だってあるだろうに。
それでも、了解してレンタルするのなら。大人なら自己責任。
孫レンタル。ふうふうされた食べ物を子どもに食べさせるって、ぞわぞわした。コロナ等の感染や、虫歯菌だって感染するのに。子役なら、じじ役と食事共にするから、了承済のことなのか。子役が大成しづらいというのが納得。
エピソード1では、ツッコミどころだらけ(さくらと朋子が似ていないのは、予算不足だったのだろうと目を瞑るとして)。チェーン掛けずに、子どもに玄関を開けさせる?スマホのパスワードは?秘密を扱っている仕事なのに、安易な受け答え。
すごく薄っぺらな、表面だけを扱ったものに見える。
元々、監督の作風がこんな感じなのか。
あえて、狙っての演出なのか。
ポスターのビジュアルを見ると、一見きれいにまとまって見えるけれど、その裏読みをさせるべく、作ったようにも見える。
胡散臭さが際立つ。
だとしたら、ものすごい問題提起。
へたにドラマ仕立てにするよりも、心に楔が打たれたような気持になる。
原作未読。
原作者のオフィスを三上のオフィスにしたり、舞台挨拶にもいらっしゃるほどの協力。
となると、私の裏読みは深読みか?
気になる。
★ ★ ★
役者では、菜々子を演じられた白石さんがすごい。
菜々子の戸惑い、絶望、諦め、それでも状況を(無理くり)飲み込んで前を向いて生きていく、その静かな芝居が秀逸。
ペンションの先輩従業員を演じられた方は、劇団の役者さんだろうか。
でんでんさん演じるペンションオーナーとの掛け合いが、この映画の中で唯一自然。
他はエピソード1と2の出演者にしろ、菜々子の母にしろ、お芝居のためのお芝居をしている演技ばっかり。だから胡散臭くもあり、演出?
三上を演じられた塩谷さんはホストそのまま。この映画の胡散臭さを振りまく。
でんでんさん。好々爺なんだけれど、ひょっとして、裏があるのかと一瞬構えてしまった(笑)。
塩谷瞬がハマリ役!!
物凄く考えさせられる希有な映画
ロングランになって欲しい面白い映画。
でんでん以外知っている俳優が誰も出てこない低予算映画だが、面白かった。そもそもこんなビジネスが実在する(それも結構昔から)ことに本当に驚いた。確かにニーズはあるだろうが、数人の社員を雇えるほど市場が大きいとか、何年も継続して定期的にサービスを利用する人たちがいるとは本当に驚かされた。ホストっぽい見た目の主人公が一番演技力がないように見えたのだがわざとなのだろうか?エピソード3の女子高生が一番演技が上手かったかも?これ以上無い悲惨な境遇だが頑張って夢を叶えて欲しいと思った。
つっこみたい(というか引っかかる)ところがいくつかあった。
ーエピソード1で暴力亭主が別れた家族の居所を突き止めて訪問してくるがどうやって場所を知ったのか?そしてそんなに執念深かったのに何故あっさり引き上げたのか?
ー同じくエピソード2でレンタル孫と回転寿司に行くシーンがあるが、ああいう小さな子供をこういう仕事に関わらせる親が本当にいるのだろうか?
ーエピソード2で親兄弟に縁を切られた風俗嬢が偽の家族、友達を結婚式だけの為に頼む話だが、主人公は会社のプロモーションの為にメデイアにも積極的に出ているので式の参列者などが真相を暴いてしまうリスクが小さくないと思うのだが(そしてバレたら離婚になるリスクも高い)、本当にこういうサービスを使うのは合理的な判断か?
ーエピソード3では女子高生が母親の死を主人公に知らせたということなのだろうが、今までずっと電話番号を知っていて父親が偽物だと知らなかったとは考えにくい
ー同じくエピソード3で父親が偽物と知らなかったはずの女子高生が4時間2万円という料金設定を知っていたがこれはおかしい
ともあれ、面白かった。海外でも受けるのではないか?そう言えば前回ユーロスペースで観た映画は”カメラを止めるな”だったがあの映画のようにロングランになって欲しい。
これは観るべき作品!
◎ 必見の映画(久々!の意欲作に遭遇)🎉見るべし!
◎ 再現ドラマ(風)な作りで、見やすい!
映画✖️ドキュメント✖️再現ドラマ
🟰現代人に向けた、新映画です!
(今年見るべき映画です)
◎episode2 で、
飛び込み取材的作りを入れたことで
観客は、現場取材をTVで見てる感MAX!
もはや、理屈抜きで、現実を見てる感?
(監督の策略に、このあたりから、一気にハマっていきます)
◎episode1 episode3 の俳優陣の演技力
それを引き出した監督力
凄いです。❤️❤️❤️
episode1 お母さん役の川上なな実さん
episode3 娘役の白石優愛さん
川上さんの耐え難い表情
白石さんの自然な眼差し、セリフ
あぁー、なんて素敵なシーでしょう!
(感動の涙、出ます出ます、さらに出ます)
2人には、次回作に
大期待します!
(フォローチェック!入れました)
映画というよりドラマを見た感覚。
3つのエピソードで構成された人間レンタルストーリーと聞いて、世にも奇妙な物語的なものを想像していた。
結論としてはいいドラマだったな。あまり映画を見た感じではないのはなぜだろう?
シンママの5歳の子供が、パパがほしくて誕生日にレンタルパパを頼むとか、数年経ったらリアルに横行しそうで薄寒いものがある。
あのシンママは若干いらっときたが、映画に入り込めてる証拠。
3番目の、父だと思っていたらレンタルだった、本当は母子家庭だったと母の死から知るって怖い。ストーリーとしてはこれが1番印象深かった。
2番目は、ちょっと何が言いたいのかよくわからなかった。無理に詰め込まなくても、1番目と3番目のストーリーで前半後半の二部構成で十分だったかな。
とはいえ、こういうリアリティとありえるかもしれない未来の想起の間というのは、好きな感覚。好感触。
知らない世界を知れた
一律4時間2万円
家族代行等、人間をレンタルするサービスを題材にした3つのエピソードをみせる話。
エピソード1
クソ旦那と離婚してシンマとして娘を育てている女性が、パパに会いたいと訴える娘の5歳の誕生日にレンタルパパを依頼して…。
絆創膏からの娘の行動が少し不自然だったし、ママの心構えのぬるさがちょっと大袈裟だった気もするけれど中々良いドラマだった。
エピソード2
家族代行会社の社長が様々な仕事を受ける様子を取材される体でみせるモックドキュメンタリー。
フリとしていくつか仕事を見せるのは判るけれど、上野とか原宿の件をタラタラ見せるのはいらなく感じたしちょっと冗長だった。
エピソード3
代行の父親を本当のパパだと思っている本当は母子家庭のJKが、母親の死によって真実を知る話。
物語自体は非常に面白かったし前向きで良かったけれど、テンポというか会話の間が悪くて少しマッタリ。エピソード2の延長の様なドキュメンタリー風の空気感にしたかった?そもそもこれがあるならエピソード2はいらなかった気がする。
全体を通しては悪くはなかったけれど、社長を良く画いているのが妙に目立って、結局のところ人間ドラマというより代行サービスの広告の様に感じてしまった。
公開初日に観てきました
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