「パンフレットは購入必至!な素晴らしく狂気に満ちた一作。」JUNK HEAD yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
パンフレットは購入必至!な素晴らしく狂気に満ちた一作。
堀貴秀監督が7年を掛けて、ほとんど独力・独学で作り上げた(制作過程で資金調達ができ、スタッフをある程度拡充することはできたものの)というのに、そんなごく小規模の制作体制であったことを全く感じさせない物語世界の奥深さ、アニメーションの緻密さ、そして造形の見事さに触れて、まず感じたのは一種の「狂気」でした。しかしその「狂い」に駆動された熱意が、作品の昇華に向けてまっすぐ進んでいることも同時並行で体感するため、映像のおどろおどろしさとは反対に、爽快感すら味わうことがあります。様々な形で織り込まれた、「ポップさ」も映像の軽やかさに影響を与えているんでしょう。
本作の印象から、堀監督は自分の世界を強烈に打ち出す人性格の人なんだろうな、と思っていたら、インタビューに答える彼は非常に穏やかな雰囲気を漂わせていて、失礼ながら本作を完成させたクリエイターと同一人物であるとは当初思えませんでした。しかし監督の口から語られる制作過程を聞くにつれ、「やっぱりどこか狂気じみてる…」と感じてしまうのでした。もちろん良い意味で。
制作内容や撮影機材まで詳細に解説したパンフレットは、本作に感銘を受けた観客であれば必携、必読の素晴らしく濃い内容。独特のデザインで編まれたこのパンフレットも、もちろん堀監督 自身が手がけており、その売り上げは続編の制作費用に充てられるそう。その意味でも購入は必須ですね。
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