劇場公開日 2021年3月26日

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「1600年後でも愛はある」JUNK HEAD サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.01600年後でも愛はある

2021年4月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

楽しい

海外で先に公開され様々なアニメーション賞を獲得。日本公開時にはミニシアター映画ランキング2週連続1位に輝き、高評価の嵐。パンフレットも瞬く間に売れ、売れ切れが続出するほど。そんな凄まじい映画を作ったのは、たった1人で監督・制作・撮影などなどを行い7年間も費やした堀貴秀だった。
元々見る予定はなかったが、そんな話を聞いたからには見ないわけにはいかない。私の住む県ではたった一つの劇場、そしてたった一回の上映。ほぼ満席で評判は聞いていたが、驚いた。その時点で衝撃的だった。
どうやら、ニコニコ動画で撮影風景などを配信していたようだが全く知らなかった。前知識も無いため心配ではあったが、高評価を信じて鑑賞することに。

私は何を見たのだろうか...。
衝撃で言葉が出ない。身震いが止まらなかった。
上映が終わったあとにここまでザワついた映画がかつてあっただろうか。あらゆる所から「スゴい...」という言葉が聞こえる。本当にスゴかった...。

人間が住めないほどに環境破壊によって汚染された地上。人類は地下開発のためにマリガンという人工生命体を作り地下に送り込むが、やがて自我を持つようになったマリガンは地下を支配してしまう。

とにかく、見る前から分かっていたことだけれどもやっぱり言わせてください。堀貴秀さん、あなた本当に凄いよ。凄すぎるよ。凄すぎて怖いよ...。
圧巻のアニメーション。緊迫感のあるカメラワーク。興奮する音楽。おぞましさを感じる照明。一人でやったとは到底思えない素晴らしい出来。拍手喝采。
もう癖になる作画でずっと見てられる。あの独特な絵、一生忘れられないよ。もっとみたいな

細かな演出が非常に可愛い。
濡れたところを雑巾で拭いてその雑巾で顔を拭いたり、退屈でおしりをかいたり、ベタに顔が真っ赤になって湯気が出たり。クスッと笑えるところも多くあって、すごく幸せな気分になれる。ずっとこんな風に笑える世の中がいいな。

意外にもグロい。
モンスター?の気持ち悪さと断面や血は、R指定よく付かなかったなと思えるほどなかなかグロい。それが私はすごく好きなんですけどね。何故かグロさが可愛く見えるのがこの映画の不思議なところ。

地上の人間界の生活。全てがVRとなり、ウィルスで人口が減り続け、生身の体と接触することは無い。
地下の世界でも圧倒的に女性の方が立場が上になり、人間を神と慕う。数百年後には有り得そうだから怖い。
それなのに、まだ愛はある。現実を叩きつけられ、想像以上に胸が苦しくなる。ラスト15分前のあのシーンは思わず泣きそうになる...。協力し愛し全力を尽くす。例えそれが誰であろうと。深すぎる...。

ただ、中盤はあまり面白くない。
要素はあるもののテンポが悪くなり、前半に比べて見応えも薄い。開発に時間がかからな過ぎ?と少々の違和感。中盤で登場する者たちがワンパターンでしっくり来ず。

あと、前情報はある程度持っていた方が良かったかなと感じた。いきなり始まり、どんな話かイマイチ掴めぬまま先に進んでいくので、追いつかないことは無いのだけど分からないところが少しあった。やっぱりニコニコ動画とかを見ておくべきだったかな

ただ、衝撃的な素晴らしい映画でした。
本当に見て欲しい。是非とも見てほしい。
騙し絵の牙から初めて★4.0が付けれました。ありがとう!JunkHead!

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ワンデーフリーパスポート2本目は今作。
「レベチな人、見つけた」にてJUNK HEADが取り上げられており、また無性に見たくなったので鑑賞。

いやいや、2回目でもめちゃくちゃ面白いです。
14万という写真を繋げて100分の映画にする凄さ。
その情報を入れてみるとより感動する。よく1人でここまで作れたな...マジすげぇ。

2度見ても面白いと思える理由としては、
やはりカメラワークやキャラの濃さにあると思う。

ストップモーションなのに実写さながらのカメラワーク。まるでアクション映画を見ているかのような気分になれ、追いかけられるシーンは音楽もよくテンション爆アゲ。1回目もそうだったが、2回目でもその興奮は抑えられなかった。

100分という尺の中でおよそ8人のキャラが個性を出し切り、見事に引き込まれる。今作で最も活躍し人気のあるアレクサンドロス達はやはり愛おしくカッコイイ。彼らの再登場には拍手したくなる。

と言った感じで、やはり面白かったJUNKHEAD。
上映館が増えていますので、ぜひご覧下さい。

サプライズ