「圧倒的なオリジナルとカルト感がねっとりと漂う作品です。」JUNK HEAD 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的なオリジナルとカルト感がねっとりと漂う作品です。
巷で密かに話題になっている作品を鑑賞しました。
鑑賞した池袋の「シネマ・ロサ」は7割の入り。
映画サービスデーとは言え、平時の昼間にしてはかなり良いのではないでしょうか?
で、感想はと言うと…なかなかカルトな作品でなかなかグロいw
独特な世界観で、その設定を正しく理解していないとこんがらがると言うか、訳が分かんなくなります。
でも、なんか妙な食感がなんか気になって楽しく感じる所もありで、あと、エンディング曲がクセになりますw
所謂ディストピアの設定で、近未来とは言い難いくらいにかなり遠い未来の話。
1600年も先の未来はこうなっているかも知れないと言うのは理解出来るが、人類とマリガン、異形生物との構成は見た目で騙されてはいけないw
その辺りがなかなか難しいんですよね。
主人公のパートンはその見た目から「キューブリック ベアブリック」みたいでw、パッと見ただけでは人類とは理解出来ない。マリガンもなんかザコキャラ感がある。見た目でわかるのは異形生物だけw
環境破壊が進み、地上はもはや人間が住めないほど汚染され、人類は地下開発のための労働力として人工生命体マリガンを創造するが、自我に目覚めたマリガンが反乱を起こし地下を乗っ取ってしまう。
それから1600年後。遺伝子操作で永遠に近い命を手に入れた人類は、その代償として生殖能力を失う。絶滅の危機に陥った人類は、地下で独自に進化を遂げたマリガンの調査を開始。政府が募集した地下調査員に名乗りをあげたダンス講師は、調査中に死と隣り合わせになったことで命を実感し、マリガンたちと協力して人類再生の道を探る…
と言うのが大まかなあらすじ。
クリエイターの堀貴秀さんが7年の歳月をかけて制作された作品で原案、絵コンテ、脚本、編集、撮影、演出、照明、アニメーター、デザイン、人形、セット、衣装、映像効果の全て1人で担当。
ストップモーションアニメと言う膨大に手間隙のかかる作業で総ショット数約14万コマと言う、尋常ではない作業を経て完成させた、ある意味堀さんの執念と怨念で完成された作品ですw
唯我独尊と言うか、唯一無二な世界観は堀さんが一人で全て担当されているからこそで、そこにいろんな人が関わっていたら、もっとマイルドになっていたと思うんですよね。
それぐらいに良い意味で狂っている作品でw、「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ監督が絶賛したと言うの頷ける。デル・トロ監督の好きそうな世界観だわw
難点は最初にも書いた独特な世界観で、ある程度の予備知識と言うか前情報が無いと分かり難くて途中で置いていかれる感があり、また、目的と言うか、ゴールが見えづらくて、3バカ兄弟が出てくるまでの中盤までがちょっと中弛み感があリます。
劇中で登場人物が話す言葉が「アセンブリ言語」の様な高速言語の類に感じて、かなり耳障りにも感じる。
個人的には3バカ兄弟が登場してからテンポの良さが「待ってました!」的で良いんですよね。ラスボスのトリムテとのバトルも良い。
でも、この作品は何処か「当たり前」や「常識」を敢えて踏まえない手法で製作されている感じなので、そこは軽くかわす感じなんでしょうね。
ただそれもやり過ぎると妙にあざとく感じる所を絶妙な所で外していて、そこがカルト感を醸し出しています。
登場キャラ達も理由や意味がある様で無い様な感じで明確な意図があると思われるのはパートンと3バカ兄弟とトリムテぐらい。
赤い服の女の子のニコですら理由が明確でないし、マリガンに至っては長い間にその理由や目的すら不明になっている。
それぞれの存在理由や存在感を問う作品ではなく、空気の「色」を問う様な感じで何処か観る側に禅問答を問い掛けていると言うんでしょうか?
なので不満点と言うか、難点は言い出したらキリが無いんですが、それ以上に圧倒的なオリジナルテイストが満載で、観た後に残る余韻がねっとりと残りますw
ミニシアターで火がついて、今後「TOHOシネマズ」系の大手シネコンでも上映が決定している。
ちょっと「来る」感じのある作品なので、今のうちに手を付けてみては如何でしょうかw
気になったのなら観て観ませんか?的な作品です。カルト好きで変わった感じの作品が好きな方にはお薦めです♪