「“人形感”が炸裂!」JUNK HEAD Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
“人形感”が炸裂!
自分は、ストップモーション・アニメが大好きだ。
しかし最近は、「KUBO」といい「ミッシング・リンク」といい、アニメーションのクオリティが高い作品ほど“人形感”に乏しく、フルCGと見た目が大差なくて、「そうじゃないだろ!」と、いつも残念だった。
リアルな“人形らしさ”を感じられなくて、何のためのパペット・アニメだと思うのだ。
ところが本作では、冒頭からさっそく、包帯を巻いた“マリガン”や“生命樹の母体”が人形感たっぷりで、自分は大喜びしてしまった。
何より素晴らしいのは、アニメーションの高いクオリティが、最後まで息切れせずに持続することだ。
「どこで止めても一枚絵として成り立つように構図にこだわった」というが、背景の作り込みも尋常ではない。
コメディ仕立てで、笑ってしまうシーンが多い。小ネタも含めて、アイデアの豊富なこと!
ストーリーが進むにつれて、最初は気味の悪い地下世界も、エンディングの頃には、馴染みになっているのが面白い。
また、自分は「北斗の拳」しか分からなかったが、いろいろな作品へのオマージュ(勝手な引用?)は、分かる人には分かるはずである。
キャラクターデザインも楽しい。
カンブリア紀から抜け出してきたような、異形の獣たち。
“3バカ”やニコも良いし、“クノコ”は明らかに男根だ(笑)。
“筋肉強化女衆”マルギータは最高。「わきまえない女」どころか、男女が逆転した(?)世界である。
「人形が、人形にしか見えない欠点は“目”」と考えて、目のないキャラクターを設定したという挑戦も成功していると思う。
(ライカのパペット・アニメでは、顔のパーツを動かすのが苦労らしいので、そこを巧みに回避したとも言えよう。)
パンフレットが1500円と聞いて、一瞬たじろいだが、背景情報(アニメ制作の実際やストーリー)に興味があれば、買って決して損はないと思う。