THEATERSのレビュー・感想・評価
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傲慢不遜
各ミニシアターをロケ地に織り交ぜながら短編上映するオムニバスとのこと もしクラウドファウンディングで続けば、続編が制作される願望があるらしい
その内の一つ、一番目に上映された銀幕エレジー」の舞台である深谷シネマにて観賞した
その作品は四編の中では、かなり昼メロ感が強く、平日朝に放映している韓国ドラマのようなシチュエーションを模してのストーリーである 非常に毒気が高く、何一つ思いやりの無い世界観に於いて、身一つ、否、腹の中の我が子と二人で、この地獄から自転車だけで逃げる、そのカタルシスを狙った構成であろう 劇中に上映されていた作品は『禁じられた遊び』 てっきり有名な劇中歌が使用されるかと思いきや、それも無し 登場人物の演出やストーリーテリングは主人公も含めて低みの極みなのだが、やはり短編故、その心象を落とし込めるほどの時間はなく、どの役にも寄り添える事ができない ラストのあの橋は多分血洗島辺りの橋だと思うが、あの橋の向こうにある映画館は・・・イオンシネマ太田か、Movix伊勢崎 ならば、もっと遠出して宇都宮ヒカリ座迄走らないと主旨が合わないかと(^_^;)
四編の中で、一番興味をそそられたのは「シネマコンプレックス」 現在の若手映像作家と昔の徒弟制度的修行によりようやく撮らせて貰えるようになった昔気質の中年監督の対比をベースに、現在勃発が続く出演者不祥事問題に絡めて、『作品には罪がない』提言を、制作側の本音として巧く織り交ぜていて、スクリーンに集中した 勿論、荒唐無稽さを演出しているので、いきなり映画館に自分の作品を上映しろと恐喝したり、ピストルをぶっ放したりはリアリティに乏しいが、確かに横浜といえば、"あぶ刑事"、そして"濱マイク"etc…といった世界観も混ぜているのであろう
ミニシアターならではの"○○割"を皮肉る、斜に構えた視線も匂わせながら、しかしミニシアターの現状を乾いた空気感で印象付けた作りに面白さを感じられた作品である
三編目の「俺と映画と、ある女」は、自分的にはやはり人間の身体美とそこに纏わり付く"業"みたいなものを表現する邦画が得意とする、掘り下げ作品として評価したい内容である これには俳優の力量に依存してしまうところが大きいので、どうしても負担も大であり、現代のコンプラとの兼ね合いも難しいのだろうが… でも果敢に挑戦した制作陣は、きちんとインティマシーコーディネート入れたのかな?
四編目は、所謂ファンタジー作品 映画の魔法に依り、幼い主人公の悲劇と再生を表現した作品で、或る意味フォーマット通りといった出来である
さて、観賞日は、各監督や出演者による劇場挨拶が催され、不肖ながら自分も質問させて貰った 質問内容はそれ程重要ではないたわいもないので割愛するが、始めの挨拶から登壇者達の、レビュー題名のようなそこはかとない匂いを感じてしまったのである ハッキリ言うと『作ってやった』感がプンプンするのだ 「どうせミニシアター経営厳しいんだろ? じゃロケで差込んでやるから有り難がれ!」的な態度が残念ながら見え隠れしてしまっていたのである 映画監督という職業は、確かにそういう不遜な態度も一種の能力かも知れない しかしそれを許して貰えるのは一重に"作品"以外に存在しない 翻って今作群、その全てに於いて威張るほどの出来映えではない!! これに自信を持っているとしたら、そのお門違いを反省すべきである ミニシアター経営者にとっても大変失礼だ こんな出来映えでは別に取り上げられなくても結構である 自分は映画制作など出来る程、能力も努力も無い だからこそ制作陣に多大なる尊敬の念をいつも感じながら観賞する しかし、当の制作陣が真摯でないと感じさせてしまったら、それこそ"マジック"は雲散霧消と化す 嫉妬の入り交じった入江悠監督いじりはどうでもいい ならば、自分達がそれぞれ縁のあるミニシアターを俎上に乗せるべきであろう もしリスペクトが無いなら、無いということをきちんと作品にて主張すべきだし、ミニシアター側ももっと制作に関与すべきだと思うのだが・・・ 助けているようで利用されているだけのようなこんな内容だと、続編は考えた方が良いと思うのは自分だけだろうか?
短編が悪い訳では無いが、短編足りうる構成をもっと練って欲しい そう思わざるを得ない内容であった
玉石混淆名画座シネマ
我が地元、ジャック&ベティが出るとのことで。
『銀幕エレジー』
登場人物が全員ろくでなしのドロドロ劇。
婆さん殺しの件や、主人公夫婦の“どっちが先”問題など、不明点が多くスッキリしない。
結末も、財布すらなく、着替えと自転車のみで後先なく飛び出してそれでいいのか…
『シネマコンプレックス』
昭和風ぐだぐだコメディ。
「んなアホな」ってとこは笑って流すとして、今観るには演技も演出もカット割も古臭い。
劇中劇が本編と絡むなど、脚本面で工夫があれば面白くなったかも。
結末はベタながら嫌いではない。
『俺と映画と、ある女』
そこに愛はなかった、一番の良作。
演技もまともで、半分実話ということもあってか脚本も良くできていたと思う。
“ミニシアター”との関わりは最も強いが、横川シネマへの思い入れが恋情に依っているのが難点。
恐らくわざと狙ったであろう童貞臭さも、作風や今野さんにピッタリ。
太陽族→花男のチョイスも愛を感じる。
『colorful』
説明が足りなさ過ぎる迷作。
崇徳くんの色盲が、事故きっかけなのか生まれつきなのか。
いつ色が付いてて、いつ付いていないのか。
戻ったきっかけは、映画か、白薔薇か、クッキーか…
(テーマ的には映画にすべきだが、クッキーだよね)
オカルト方面の設定も特になさそう。
試みとしては応援したいので、採点は甘めで。
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