「そして「スパイダーマン」になる。※関連作全部観てからの視聴推奨。」スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム s kさんの映画レビュー(感想・評価)
そして「スパイダーマン」になる。※関連作全部観てからの視聴推奨。
元々スパイダーマンを全て観ていたからかも知れない。
20年の歴史の集大成として、最高の映画だった。
思わず今までつけた事のない星5を、初めてこの映画につける。
まず、2002年から続くスパイダーマンシリーズをマルチバースにより纏め上げ、過去の亡霊達をトゥルーエンドへと導いた本作に最大の拍手を贈りたい。
感想なのでストーリーについては割愛。
やはり歴代のスパイダーマンが揃うシーンは感慨深い。製作陣の版権的苦労も含めて凄まじい絵だ。
アンドリュースパイダーマンが自虐に近いネタをした事も面白いし、トビースパイダーマンが身体の不調をぼやくのも面白い。
サム・ライミの発明でもある「手首から直に糸が出る」事への言及シーンは正にマルチバースで観たかったシーンの一つだ。
トビースパイダーマンがトムホのグライダーの刃を止めるシーンは、救えなかったオズボーンへの自責の念が見える名シーンだし、
アンドリューがMJを救えたシーンは救えなかったシーンを見ているからこそ、涙が出そうになった。
歴代ヴィランは誰もが一流だけあって役の説得力が違う。そりゃそうだ。何十年も前から出来上がっているヴィランだもの。
特にオズボーンのウィレム・デフォーの怪演は鳥肌もの。彼以上のグリーンゴブリンは、半世紀以上は出ることはないと確信出来る。
オットーが正義の科学者に戻るシーンのアルフレッド・モリーナの演技も美しい。瞳の演技が狂気の消える様が素晴らしかった。
今回の憎まれ役ストレンジ先生。カンバーバッチはやはり格好良い。観る前はストレンジ先生のせいでマルチバース化しちゃうのだろうと思っていた……先生ゴメン。先生は悪くなかった。どっちかと言えばトムホピーターのせいだったわ。
ミラーディメンションのシーンは圧巻の一言。あの世界にも数学的規則性がある事を見出す会話は、世界の理を表す今後にも繋がるシーンになるかも知れない。
最後に、
ラストのピーターの選択は正しかったと思う。厳しい言い方ではあるが、彼にも責任の一端がある中で、孤独と共に正義の隣人となる事を選んだ。
大いなる力には、大いなる責任が伴う。
多くの戦いと別れを経て、歴代のスパイダーマンの精神まで駆け上がったトムホスパイダーマン。
本当の意味で、今回のバースのスパイダーマンは、今、誰もが思い描いたスパイダーマンになった。
私はそう強く思う。
補足
あくまでも、この評価点は単体作品としての点数ではありません。なので、新規の方が楽しめない作品にはなっていたと思います。
連作であり、過去作との邂逅でもある本作は、ある種ズルい作品とも言えるかと思います。
それでも、私はこの作品に賞賛したい。
それはきっと、私自身の青春がスパイダーマンの公開と供にあったからだと思う。
新しいスパイダーマンには、新しい視聴層への求心をど真ん中につけるものを目指して欲しい。