劇場公開日 2021年8月27日

「考察させたがり映画」鳩の撃退法 せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5考察させたがり映画

2021年9月2日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

天才小説家の津田が自分が富山で体験した不思議な出来事を小説にし始めると同時に、その事件が現在進行形で展開されるサスペンス。
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疾走したある家族、津田が手にするニセ札、裏社会の"ある人物"などなど色んな出来事が繋がっていって、最初からミスリードだったり伏線が張ってある。やりたいことはわかるけど、あまりにもそこに重点を置きすぎて製作者側の「さぁ!考察してください!」っていうドヤ顔がチラチラ見える。
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最初から謎ばっかり強調されても、登場人物の描写が甘いと全部どうでも良くなる。主人公の津田に関しても、本当は全てを把握しているのか本当に振り回されている男なのか、どういう人格の人なのか最後まで定まらないせいですごく見づらい。
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この定まらなさもミスリードのつもりなのかもしれないけど、まずは主人公の目線に立たせてくれないと、その人が振り回される話なんてどうでも良くなる。
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他にも秀吉や裏社会の"あの人"、決して役者さんは悪くないのに、キャラに魅力がない。特に裏社会のドンは、全ての行動の動機が謎。何か悪いことしていてみんなが怯えてるって設定だけでは、見てるこっちの恐怖感は煽られないな。
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そして何より、そこまでドヤ顔で謎を演出していて、かつ、メタ構造まで使って結末それだけ?ってなる。それもおそらく、真相が登場人物の関係性や心情に関わるものだったから。原作は上下巻ある長編なので、かなり削ったのだろうけど、こういう色んな人が出てきて色んな出来事が絡むミステリーものは、人物描写が甘いとダメなんだってよく分かった。

せつこん