「それすらも虚構 なのでは?」鳩の撃退法 nazionaleさんの映画レビュー(感想・評価)
それすらも虚構 なのでは?
小説家である主人公が自らを主人公とした小説を描くことで、登場人物でありながらストリーテラーの役割をこなしていく
この構造によって何が事実で何が小説の中のフィクションなのかが曖昧になり、虚実入り乱れた展開へ突入していく
劇中の出来事を素直に受け取れば鳩が籠から飛び出した、即ち偽札が流出したことから巻き起こるすったもんだ ということにはなるんだろうと思うけど、果たしてそれすら事実なのか
劇中では編集者との会話を基点として小説と現実が区別されていたものの、そもそもその編集者との会話すら小説の中の話 なのではと勘ぐってしまう
小説家なら起こってはならなかったことを起こらなかったことにでき、起こらなかったことを起こったことにも出来る
少し突飛な発想にも思えるものの、こういった言葉こそ作品全体を物語っているようにも思え、そういった考えを巡らせることもまたワクワクする作品だった
あとは特にキャリーの中身が辿る導線
この部分を巡る点と点が繋がり合う展開は非常にスピーディーかつ群像劇的な面白さがあり、なるほどど合点の行く流れが作品全体のテンポ感と絡み合う糸が解けていくような気持ちよさを押し上げていた
偽札の存在理由や目的などモヤっとする点はあるものの、あくまで偽札の背景ではなく存在するそのものを巡る話だとすれば正にTooMuchInfomation
そこを取り上げるのは冗長だってことになるのかな とも考えている
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