劇場公開日 2021年7月9日

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映画:フィッシュマンズのレビュー・感想・評価

全25件中、21~25件目を表示

4.0フィッシュマンズが好きでなくても楽しめる音楽ドキュメンタリー

2021年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

“J-POP”はほぼ聴かないので、「フィッシュマンズ」は世代的に少し重なるのに知らなかった。大ヒット曲がないのだから仕方ない。
バブル景気が終わる頃から、短期間活動したらしいが(メジャーデビューから8年?)、冒頭でバブリーなオーストラリアでのレコーディング遠征が映されて面白かった。

このドキュメンタリー映画は、インタビューと当時の断片的な映像で占められ、音楽をじっくり聴くことはできない。
もともとの音源の質が良いものばかりではないので、映画館の大音響で曲を楽しもうなどとは、期待しない方が良いと思う。

なので帰宅後、CD「宇宙 ベスト・オブ・フィッシュマンズ」を聴いてみた。
ポリドール移籍後の方が、オリジナリティがあって評価が高いみたいだが、自分は移籍前の曲の方が好きだ。
どこかレゲエ風だが、忌野清志郎の歌い方もパクってたりして、ジャンル横断的で、才能がキラキラしている。
一方、ポリドール移籍後は・・・。
回りくどいし、少し脱力的だし、メロディーも良くないし、「この路線では、それほど売れないな」と思う。
病的で実験的な曲の方が、コアなファンの心に刺さって、カルトな人気を得るのかもしれないが、メインストリームにはなりづらいタイプの音楽だ。

曲を聴いた後で、改めて映画を振り返ってみると、このポリドール移籍前後で、いろいろと環境の変化があったことが、良く分かる。
ムリして“売れ筋”の曲を書いたのに売れなくて、ガッカリして世評から背を向け始めたこと。
ギターの小嶋が抜け、移籍後には専用のスタジオを持ったのに、キーボードのハカセも脱退したこと。

一般的に、ある程度売れたバンドが、途中でメンバーが替わったり、ソロになって、成功した例は少ないと思う。
なぜか分からないが、そのメンバーでなければ実現できない“何か”があるのだ。
佐藤は、もともと曲作りは人には見せなかったらしいが、曲ができあがった後のアレンジは、バンドに任せる部分も多かったようだ。
しかし、最後の頃には、バンドのメンバーが入り込む余地がないデモテープを作ってきたという。
“セルフプロデュース”を始めたのは移籍前からとはいえ、佐藤は自分の世界に入り込み過ぎてしまったのかもしれない。孤立を深め、だんだん暗く沈んでくるようすが、映像にも現れている気がする。

全部で172分もあるこの映画だが、最後はダレたとはいえ、“長い”とは感じさせなかった。
少しづつ、何かが生まれ、何かが壊れていく時間の流れが、とても緻密に記録されているからだ。
インタビューの内容は濃いし、みな、とても真剣だ。

自分も、「泣いた」とか、「佐藤は時代を先取りした孤高の天才だ」などと、気の利いたことを言えば良いのだろうが、そんな心にもないことを言うつもりはない。
「フィッシュマンズ」は、それほどすごいバンドとは自分は思わない。
しかし、自分のような「フィッシュマンズ」の曲が好きでない人間にとってさえ、短い期間に自らを燃やし尽くした独特なアーティストと、そのバンドの顛末を記録した本作品は、きっと、とても興味深いはずだ。
もしかしたら佐藤という人は、“神格化”されかねないのかもしれないが、この実録ドキュメンタリーは、良い解毒剤になるだろう。

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Imperator

5.0ありがとうございました

2021年7月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

高校生の時に、空中キャンプを聴いて、打ちのめされて以来、彼らの音楽に心酔し、聴くと必然的に自分の青春とオーバーラップしてしまう。

佐藤君の死後は、しばらく聞けなくなっていたものの、月日とともにその傷も癒え、やっぱり今でも酔っ払うと爆音で聴いてしまう。そんなかけがえのないバンド、フィッシュマンズ。

映画化の話を聞いて、観たい反面、観たくないような複雑な気持ちになった。

こんな気持ちになったのは、おそらく個人的にフィッシュマンズに対する気持ちは、他の人と共有できないし、したくもないと思っていたのと、過去の思い出と一緒に、自分の心の中にしまっておきたかったからかな。

でも、素直に、バンドの成長と解体の過程で、何が起きていたのか、知りたくなり、観にいくことを決意した。

結果として、鑑賞できて本当によかった。
想像以上に気持ちを揺さぶられ、数日経過した後も、音源を聴いてたまに涙ぐんだりする。

なによりも手嶋悠貴監督の誠実さと明晰さを感じる映画だった。
佐藤伸治を神格化することもなく、あくまで裏方に徹し、適度な距離感を保って、関係者の話を聞き、正確にバンドの歴史を辿ろうとするその姿に、愛おしささえ感じた。

監督がインタビューでも話しているように、まさにフィッシュマンズファンが見たい映画を作ってくれたと思う。

172分2500円と、ややハードルが高い映画ではあるが、実際に鑑賞すると、3時間弱は、あっという間に過ぎた。
また、フィッシュマンズのエンジニアのZAKが、音響を監修しており、音響がとても素晴らしいので、映画館で観るべき作品と感じた。

自分にとっては、今後も忘れ難い特別な作品となるだろう。

この映画を作成してくれたスタッフの方々や、手嶋監督や、フィッシュマンズの関係者の皆さん、素敵な作品を、本当にありがとうございます。

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真面目めがね

4.0メロディーは独特だ。

2021年7月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フィッシュマンズを知らないで見たけど、なかなか興味深かった。メロディーが独特だと思った。最初の方小沢健二は個人的に絶対影響受けていると思った。私はアーティストは信者を作ったら敗けだと思っている。神になったら敗けだと思っている。フィッシュマン信者がいるか分からないけど、彼の事は孤高の天才と呼ばれているのを知り、孤高のアーティストであったのではないかと個人的に思う。

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原健彦

3.5監督・編集が、、、

2021年7月11日
スマートフォンから投稿

長年のファンです。
率直に思いを書かせていただきます。

佐藤さんの核心に迫れるかと思ったのですが、残念ですが、映画としては質の悪いドキュメンタリーでした。
せっかくバンドメンバーや関係者が語ってくれたのに、編集がインタビュー→過去映像→インタビューで飽き飽きしました。

感動させる素材や考えさせる素材、泣ける素材は多かったはずなのに、なぜこうなってしまったのか。非常に残念でした。映画の後に感極まる人は全くいないのが、悔しく思ったほどです。

大変失礼ですが、もう少しドキュメンタリーに長けている制作陣で見たかったと思いました。

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斎藤明夫

5.0無題

2021年7月9日
スマートフォンから投稿

泣ける

悲しい

幸せ

フィッシュマンズに関して、海外でのここ数年の人気に後押しされたかのように、国内でもフィッシュマンズに注目が集まっている部分もあるが、この映画を観ると、当時のフィッシュマンズが如何に売れていなかったかがよく分かった。同期だと言われるスピッツやウルフルズに比べれば遥かにポップな音楽ではない。プライベートスタジオ3部作は最初だけ辛うじてポップだが、後はビートルズで言う、「リボルバー」や「サージェント・ペパーズ」みたいなものである。佐藤伸治やメンバーを追い込んだものの正体はビートルズにもYMOにもあった。それは本物だけが持つ栄光と悲劇だと思う。この映画を観て、そう思った。そして、これは表現分野を売り物にする世界ではいつまでも続く解決出来ない課題だと思える。

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ケイチャン
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