やすらぎの森のレビュー・感想・評価
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死ぬためにこの森にたどり着いた男と犬。死んでいた体を蘇らせるためにこの地を選んだ女。
世間と隔絶した森と湖の自然の中で気ままに余生を送る男たち。それを密かに手助けする男。悠々自適で羨ましいと思わせながら、裏にはマリファナ売買と何やら後ろめたい過去があるようだ。
原作での扱いがどうなのか分からないが、ジェルトルードが施設へ戻らない件に関して問題がないのかが非常に気にかかる点ではある(途中居眠りしてしまったので、これに関して描写があったのなら問題なし)。
大きな山火事によるトラウマと、隠遁生活を送る男たちの係わりが今一つ希薄で、ラフとスティーブの描写ももう一工夫欲しいところ。
死ぬためにこの森にたどり着いた男と犬。死んでいた体を蘇らせるためにこの地を選んだ女。少々安易なエンディングに感じるものの、生と死を考えさせられる作品だった。
本編終了後にも歌のシーンあり
写真家に共感できませんでした。
まさか密告したのは彼女じゃないよね?
原作小説があるとの事なので、そちらではどうなっているのでしょうか。
マリーとチャーリーのパートはともかく、この結末では私はまったくやすらげなかった。
全てを包み込む森と湖
3人の俳優さんがただただ素晴らしい。それぞれが抱える悲しみや苦しみ、孤独。全てを包み込む森と湖。空っぽだった心が少しずつ少しずつ満たされていく。トムはなぜあんな風に歌うことができるのか。その歌声は優しくじんわり沁み入る。チャーリーの歌も忘れ難い。
誰も知らない征服された道
邦題から“孤独な世捨て人の物語”だと思っていた自分としては、物語の展開にピンとこなくて、観終わっても違和感が残った。
違和感の原因は3つ。
「鳥の雨が降る」みたいな変な原題、存在意義が不明な「女性写真家」、そして昔あったという「大規模な山火事」。
「山火事」は、1916年に起きた「Matheson Fire」という、223名というカナダ史上最悪クラスの死者を出した実際の事件をモデルとしているらしい。
煙に巻かれ、酸素不足に陥ったたくさんの「鳥」が、(雨のごとく)空から落下してきたという、生存者の証言を伝える証言がある。
「女性写真家」は、美術館の依頼で「山火事」の生存者を取材するため、(“完全”な円形をもつ)パーフェクション湖を訪れる。氷河期の氷が溶けてできた、翡翠(ひすい)色の湖だ。
原作小説は、この「女性写真家」の一人称形式らしい。つまり本来、「女性写真家」こそがメインキャストなのだ。
というわけで、これら3つは相互に密接に関係しているのだが、“世捨て人の物語”に対しては、やはり違和感でしかない(笑)。
亡くなったテッド・ボイチュクが、「鳥の雨が降る」絵を人知れず描いていたとはいえ、また、新たな「大規模な山火事」がこの秘境の暮らしにトドメを刺したとはいえ、基本的には別々の2つの話が、オーバーラップされている格好だと言えよう。
しかし、これらの違和感によって、いわゆる“感動的なヒューマンドラマ”の枠には収まらない、ピリ辛なテイストをもつ作品とみることもできる。
また「大麻」は、自分たちで楽しむためではなく、大麻を売って現金収入としていたということらしい。世捨て人は“犯罪集団”なのだった。
設定ではみな80歳を超えているはずなのに、チャーリー役もトム役も実年齢が70歳ちょっとで、壮健すぎるところはマイナス点だ。
その点、本作が遺作となったジェルトルード(=マリー)役のラシャペルは、とてもフィットしている。
ジェルトルードが、チャーリーに対して積極的なのには驚かされた。映画「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」を思い出す。
しかし、実はその背後には、密室と化した施設に閉じ込められた女性が、男たちに陵辱されるという悲劇がある。
そして、そういう目に遭っていながらも、優しい男の人肌を求めるジェルトルード。
“世捨て人”たちが、3人3様の結末を迎える点も良い。それぞれが、自分の人生に、自分のやり方でケリをつける。
「女性写真家」も、テッドには直接には会えなかったものの、テッドが言葉では表現できずに、絵で表現し続けた“証言”を獲得して、ドヤ顔のラストである。
とても不思議なハッピーエンドであった。
デトックス
人里離れた森の中、湖畔の小屋で暮らす老人達の話。
あらすじには世捨て人とか書かれているけれど、そこは仲間達以外の余計な存在がいないところで、自由気ままに余生を生きている爺ちゃん達。
そのうちの一人が亡くなったことが切っ掛けで、60年間精神科病院に入院していた故人の姉がやって来ると共に、昔のことを取材する女性が現れて展開していく。
酒に病気にトラウマに、みんなそれぞれ抱える暗部がある訳で、そこを今更引っかき回されたり、勝手な主張をされたり…そして失われた自身を取り戻したり。
何があったのか全員の過去が示される訳ではないけれど、ここでその様な暮らしをしようと思った理由というのは伝わってくるし、感情を共感出来るものが多かった。
ラストの流れはせめて金が絡んでいないことを願いたい。
自然と運命に委ねた最期への過ごし方
老人達が森の中で共に過ごし各々の理想の最期を迎えられるよう自然と運命に身を委ねた最期への過ごし方を描いた作品である。
彼らの年齢にはまだ程遠く、自分の両親もまだ遠い。その為なかなか実感が湧かないシーンも多々あったが自然の中に生きる美しさ、そして死までの自由な過ごし方、そして仲間と共に生きる楽しさ美しさなんかは感じた。
祖父の最期なんかを思い出すとやはり晩年は人との関わりは減り、通院が増え自由は奪われていく生活を送っていた。そういう点ではこの作品は対照的でありなんとなくメッセージも伝ったわ。
ただ価値観の違いかな。個人的には自分の命とはいえど自分で命を断つ行動に出たり、ましてや愛犬までを道連れにする姿は少し理解が追いつかず抵抗感を覚えた。
ただ人生最期の過ごし方というのはいろんな過ごし方があり、この作品のような過ごし方に限らずいろんな過ごし方を考え生み出し、最期の最期まで自由にそして幸せに過ごせる事への美しさを感じられる作品ではあった。
オンライン試写鑑賞
世捨て人の老人達が親と同世代なので、観ていて父のことを想った。
それぞれ何かを抱え第2の人生は自然に囲まれて生きることで浄化、再生されていくのかな。
私にはまだ早いが老いについて考えちゃうな。
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