「娘はいかにして母を知るか」秘密の森の、その向こう 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
娘はいかにして母を知るか
親子というのは、役割がある。母は娘の面倒をみるし、そこには明確な上下関係が存在してしまう。母も娘も互いに対等の人間同士としてせっするというよりも庇護する対象、庇護してくれる存在として見てしまう。そのせいで素直になれないし、互いの人としての側面を見落としてしまう。
ある日森の迷い込んだ8歳の少女は、同い年で母と同じ名前を持つ少女と出逢い、仲良くなっていく。祖母を失ったばかりで、母はその悲しみで失踪していた、母の悲しみを娘はどう理解するか、8歳の頃の母と出会い、祖母をどう思っていたかを対等の立場で知ることで、母と娘の絆を強くしていく。
何気ない日常シーンが本当に輝かしい思い出のように感じられて、何気ないシーンで涙腺が緩む。主人公と子供時代の母を演じたのは双子の姉妹なのだが、その近似性が作品にすごくいい影響をもたらしている。直感的にこの2人は何かつながりがあるなと思わせる。72分の映画なので、思い立ったらふと見れるのがいい。何年かおきに見たくなる作品だ。
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