「宮崎アニメの実写版という感じでした」秘密の森の、その向こう 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
宮崎アニメの実写版という感じでした
8歳の少女が、亡くなった祖母の家の片付けを手伝う傍ら、家の周辺に広がる森に入り込んで行くと、自分とほぼ同じ年恰好の少女に出会うというお話でした。実はその少女、その日の朝から姿を消してしまった自分の母親の子供時代という設定。紅葉が映えるフランスの田舎の風景と可愛い少女が登場し、非常にふんわりした雰囲気の映画でしたが、実はSFなんですね。
端的に言えば、少女が主人公、森を通ると母親の少女時代にタイムスリップする、少女時代の母親と交流する、そして直前に亡くなった祖母の若い頃にも出会う、という構図なんですが、「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」と言った宮崎アニメを実写にしたような印象でした。
そして驚いたのは、主役であるネリー、そして母親のマリオンの子供時代を演じたジョゼフィーヌ・サンスとガブリエル・サンスが双子らしく、見分けが付かないくらい似ていたこと。そして二人とも実に演技が上手い!(フランス語がサッパリなので、実際せりふ回しがどうなのかは分かりませんが。)ただあまりに似ており、最初は髪形が違っていたのでそれで判別出来るかと思っていたものの、シーンが替わる毎に髪形も変わるので、かなり注意深く真剣に観ていないと判別するのに迷ってしまいました(笑)
本作が素晴らしいのは、単に可愛い子役を使った映画というのに留まらず、登場人物たちの心の機微を役者たちが見事に描いていたことでした。そして物語的にも、現在の出来事とタイムスリップした過去の出来事が見事にリンクして、それらが終盤に向けてアウフヘーベンされていく創りは非常に印象深いものでした。
先月観た「デリシュ!」に引き続いてのフランス映画でしたが、いずれも景色が綺麗な上、物語もしっかりと創られていて、今後も要注目したいと思わせられました。