劇場公開日 2022年1月14日

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アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイドのレビュー・感想・評価

全63件中、61~63件目を表示

4.5「未来を築くには過去が必要」とトムは言った

2022年1月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

知的

トムを追って車を運転するアルマ。停止していたら、男の歩行者と車の運転席の男が激しく罵りあっている。それを見ていたアルマに歩行者の男は、なに見てるんだ、このクソアマ!のようなことを言う。アグレッシブな物言いが多いベルリンだから十分あり得る。でもそれと関係なくこの場面で私はトムを思った。ちょっとふざけたり他愛のない嘘まで言える程になったトムがアルマに(そもそも女性に)対して悪口雑言を言うことは決してない。報告書でアルマは、ロボットを人間の伴侶にすることは不可能であるとし反対する、なぜなら人間との交流ができなくなるから。女は侮辱されることが多く女は出産するものという考えが相変わらずの世界で、ひたすら自分の幸福のためだけに居てくれるロボットが伴侶だったら人間社会では生きていけないからということだろう。甘やかされすぎてしまうから?半分わかる。でも憎しみの塊みたいな人間より穏やかなロボットの方がいいと思う自分が居る。

写真や思い出話から自分の過去を共有してもらい、さらにまだ未知のことが多い人類の歴史も共有することができたらロボットと一緒の未来を築くことはできるかも知れない。過去の共有は人間同士だってするから同じことだと思う。共有しようとしても何もわかってくれない人間も居る。だからインプットしてくれるロボットの方がいいかも知れない。ロボットとの共生の可能性は考えるに値することだと思う。エッジの効いた建物と昔の博物館が混在する都会と、森があって鹿がいて(沢山の鹿とトムの共存の光景が不思議で美しい)裸足で駆け回れる野原があるベルリンの二つの風景を行き来しながら、アルマがトムと一緒にトムを媒介にして自分を振り返り見つめて笑い怒り涙を流せて良かった。

最初のダンスホールの場面、朝食、バスルーム、リビングの整理整頓にはとにかく笑えた。一方で、完璧な「3分・半熟卵」を用意しても相手が風邪ひかないようにブランケツトをかけてあげてもトムにはわからないんだ、私は何をしているんだとアルマは涙を流すが、何をやってもまるでわかってくれない人間なんて沢山いる。人間は自分が思いたいように相手を理解しているだけだと思う。自分の本当だって適当に誤魔化しているんだから相手の本当なんてわかるわけがない。でもこの映画は私を絶望させることはなかった。相対的な思考スタイルを提示してくれた。それはとっても大事なことだと思う。

おまけ
ダン・スティーヴンスの演技素晴らしかった!話し方、視線、眼差し、歩き方、完璧!ロボットのようでロボットでない、人間のようで人間でない。そんなトムは私に悲しみと優しさと懐かしさをプレゼントしてくれた。音楽もとても良かった!

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talisman

3.5AIアンドロイドでもいいけどな

2022年1月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

2022年1月10日
映画 #アイム・ユア・マン
#恋人はアンドロイド (2021年)ドイツ映画鑑賞

自分の理想の恋人として完璧にプログラムされたAIアンドロイドがいたら、自分なら愛するかどうか・・・悩みますね
そんなことを考えさせられる映画です

@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました

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とし

4.0実は哲学かも

2022年1月8日
iPhoneアプリから投稿

AIは人間になれるのか。
恋愛対象になるのか。

おそらく、学習していくうちに人の心の機微を学んでいき、それらしい行動や反応を外的に示すことができるようになるだろう。この物語のトムのように。
生身の人間からすると、愛おしい存在になるのだが、
全面的に受け入れて浸れれば楽園だろう。
しかし、少しでも懐疑的になったり、自分自身の欲望を叶えてくれる事に違和感を覚えたら、やはり単なる欲望現実化マシーンでしかない。
つまり、どんなにテクノロジーが進歩しても、人間の心はアルゴリズムの限界の外を求める。想定外の驚きやトキメキを。
この主人公のように思慮深い人と、あまり深く考えない人との違いも大きい。
SFラブストーリーの形をしているが、中身は哲学的。

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tyz
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