劇場公開日 2022年2月18日

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「"許す"と"許される"が、日本とは比にならない重さを持つ社会」白い牛のバラッド shihoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5"許す"と"許される"が、日本とは比にならない重さを持つ社会

2022年2月26日
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悲しい

難しい

本国イランでは上映禁止処分を受け、たった2回しか上映できなかったというキャッチフレーズが話題の映画

夫の死刑から一年経ち、冤罪だったと知らされる主人公
その賠償金を狙う亡き夫の親族
不意に訪れる亡き夫の友人

夫が殺人罪で死刑となり、聾唖の娘と2人、貧しいながらに懸命に生きる主人公
ある日突然、夫は無罪で死刑は過ちだったと告げられた日から、人生が思わぬ形で動き出す

何の罪もない主人公が、他人や環境に振り回される系のストーリー
イランという独特の文化と風習の社会で、苦しみ悩みながらも凛と前を向き戦う主人公
そして意識的にも無意識的にも彼女を苦しめる男たちと社会

亡き夫の弔問に訪れた男性を家に招き入れただけで、アパートを追い出される現実
それを昨日まで友好的で夕飯もお裾分けしてくれた大家に告げられる残酷

"許す"と"許される"が日本とは比にならない重さを持つ社会で、主人公の最後の行動をどう受け取るか
イランという国で、この映画を女性が制作・監督・主演したなんて、素晴らしい勇気と才能に感嘆する

話題負けしない、芯のある深い映画でした

個人的に☆5中☆3.6

shiho