「新しさを感じさせる新鮮な映画体験」アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版 shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
新しさを感じさせる新鮮な映画体験
面白い作品だった。現代の社会の猥雑さ、社会の本音と建前、善と悪の二元的な判断と思考。場所はルーマニアであっても、私たちの日常と同じである。人々の感性もほぼ同じである。結局、誰彼も都合が良いのだ。人間は自分自身にとって都合良く生きているし、また生きていたい。他人との関係も、やはり上手く都合を付けて、かかわりたい。自らの線引きが重要なのだ。しかし、それが絶対的に上手くいかないのがSNSの環境であって、そこでは真実などあってもなくてもどうでも良く、センセーショナルなものだけが全ての皮膚感覚での対応でしか成り立たない陰湿な世界である(それが、一番人間らしい世界なのかもしれないが)。バーチャルな空間と現実の世界と映画の環境が上手くマッチして、とても新鮮で、感覚的にとても新しさを感じた。あまり馴染みのないルーマニアという国だからこそ、面白い視点と感性があるのかもしれない。ルーマニア映画は今後もチェックしたい。余談だが、フランク・ザッパの言葉の引用がところどころにあったが、この監督がザッパを好きなのも良く解る。作品自体がどことなくザッパのアルバムのようにも思えて来る。
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