偶然と想像のレビュー・感想・評価
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ツーの映画
音楽や映像のエフェクトがないから、
フィクションだけどリアルな感じ。
1の棒読みみたいな台詞の言い方はわざとなの?
2は試されているようで不快な気持ちになった
3はまだよかったけど、、
この映画を良いという人は、
映画の玄人さんが多い気がする。
わたしの周りの映画好きはみんな濱口監督が大好き。
けど、わたしのように時々映画を見るくらいの人にとっては、映画には映像の美、演出の美を求めるので、
エフェクトがない映画は
あまり楽しいと思えなかった。
しかも2に関しては、
演技や役者は素敵だったけど、
内容がなぁ、、。
濱口監督ドSなのかな??
ツーとかカーとか呼び合う とか、
官能小説の音読とか、
シュールな笑いととることもできるけど、
映画に詳しくないわたしからしたら
パワハラ的にも感じてしまって..
(2)
ちょっと辛かったです。
短編小説集の読後感のような
脚本の魅力
偶然から始まり想像の中で広がる "人と人の関わり合い" を描いた短編集。構成する三作はまったく独立していて相互の関係はない。
1 魔法(よりもっと不確か)
自分の同僚が自分の元カレと付き合いだしそうなことを知った女性の話。
「今日は不思議な時間を過ごしたね。特別なことだ。もし次に会ったとき、この魔法が解けてたら、と思うと怖いね」といった会話をしたと語る同僚。話を聞いた主人公は、同僚が降りたあとのタクシー運転手に「今来た道を引き返してもらっていいですか?」と言う。この象徴的なセリフ。この監督の映画は、みんな小説みたいだね。小説を、読んでいるのではなく観ている感じ。
そして本作は、俺にとってはとても怖い。こんな程度まで自分の感情に正直でそのまま出す異性とは、絶対に付き合えない。「怒っているとしたら、この運命に対してかな」「好きな人を傷つけることしかできなかった。欠陥品のような気持になった」「カズは、魔法よりもっと不確かなものを、それでも信じてみる気はある?」
監督、すごいと思う。きっと実際にこういう人もたくさんいるのだと思う。その心の中を想像できる点が、俺はすごいと思う。そして俺はそういう関係には全く耐えられない。お互いにオブラートをかけたような関係が自分が望むものだ。裸の心をそのままぶつけあう人生は俺には無理だ。
映画って感じのオープニング映像。やはり「外」を撮るとき、映画ってきれいだな。夕方の雰囲気、夜の雰囲気、いずれも光は当たり前だが、雰囲気とでも言うのだろうか。いい監督の作品を観ると、やっぱり映画っていいなあと思う。
そしてラスト映像もかっこいい。再開発中の渋谷、建築中のビル工事現場。思わずその写真を撮る主人公。なんて思わせぶりな映像なのだろう。
まったく共感できないが、映画としてはすごいな、と思わせる映画だった。「寝ても覚めても」の視聴後感に似てるかな。
2 扉は開けたままで
文学賞を受賞した教授に落第留年された恨みをもつ男子学生のセフレである主人公が、教授にハニートラップを仕掛ける話。
中盤を構成する長い長い教授と女性友達の会話。濱口監督の特徴の一つである「抑揚を抑え込んだ会話。脚本を棒読みするかのような会話」が続く中で、最初は「教授はハニートラップにかかるのだろうか」と下世話な興味で映画を観ている俺を、まったく違う世界に連れていく。言葉がほとばしる。
「言語化できない未決定の領域にいれるという才能です」、「行動原理がわからなくて怖かった面はあります」
「理由がなくても、ただ生きているだけで嫌われるということがあります」という共通点がみつかる。「社会の物差しに抵抗してください」「ひとりですることはとても辛いことです。でもだれかがそれをしなくては、いつまでもそれは起こりません」(なに書いてるかわからないかと思いますが、観たらきっと書きたくなっちゃう気持ちもわかってもらえるかも)
よく聞く「魂のふれあい」みたいな言葉。それを脚本上で、映画上で実現しているのだと感じる。
終盤のバス内でのシーンは、観ている時には復讐のはじまりを感じて「怖っ」と思ったが、こうやって書いてみると(教授と女性友達)新たな魂のつながりのはじまりだったのかもしれないな。
3 もう一度
Xeronというコンピューターウイルス被害によって世界中が大被害を受け、いまだに世界中のネットワークが遮断され、郵便と通信だけの世界に逆戻りしている現代で、高校の同窓会に出るために20年ぶりに仙台にやってきた女性と、もうひとりの女性が出会う話。
この話もすごい。まずこういうことがあるかもしれないなと思わせる力。半端ない。その上で、その偶然の出会い、お互いの相手に対する想像から生まれた友情というか愛情。その話を違和感なくみている俺。第1作じゃないけれど、この作品そのものが、短編3作それぞれが、俺にとっては魔法だよ!
「大切なことを話していない。あなたはいま幸せ?あなたがどう思っているかを聞いているの」 1作めでも書いたが、まっすぐな心を、まっすぐに伝えようとする登場人物たち。まっすぐだからこその緊張感が、溝口監督の映画の真骨頂なのだろうか。
「あの人の昔の彼女とのメールを読んだの。いい文書だった。「君が言ってくれたことが、今でも僕の背中を押してくれている」 何度も読んじゃった」
ああ、これこそ会話劇。観ている俺を引きずり込み、想像させる力。この映画を観たという偶然と、そこで出会った想像。
「あなたは他の誰かでいいかもしれないけれど、私は他の誰かじゃダメなの。そのことを言うべきだった。言うために来た。あなたにも穴があいているはず。それを埋めることはできないかもしれないけれど、私たちはその穴を通じてつながっているかもしれない。それを伝えに来たの」
こうした会話もまた、「抑揚を抑え込んだ会話。脚本を棒読みするかのような会話」だ。そしてだからこそなのか、スクリーンの中というか、どこか遠いところから俺の心の中に降り積もってくる。
ああ、俺は溝口監督の魔法にすっかりかかっているのだなあ。たしかにこの人、語り部だ。脚本で、無から有を生み出している。
溝口監督の映画のレビュー書くの、楽しい。「寝ても覚めても」「ドライブマイカー」そして本作。この後も、ちょっと楽しみだ。いつかはスカッとさせてくれる映画も観てみたい。
脚本の素晴らしさと役者の力量が際立っていた
コトバの魔法
言葉の「間」に感嘆と恐ろしさを感じる一作。
第94回アカデミー賞授賞式で、見事国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督が、『ドライブ・マイ・カー』の前から製作していた短編作品。
表題通り、「偶然」と「想像」が生み出す3つの物語が語られていく、という、内容ではあるんだけど、しかしこれらの要素の絡み方は観客の予想を大きく超えており、終始驚きの連続です。そう言いつつも、どの挿話も話としては何気ない日常生活の延長のようでもあり、特に大がかりな仕掛けが用意されているわけではありません。だからこそ話の筋の巧みさ自体が鑑賞の牽引力となっていきます。
加えて、発話の間に差し挟まれる「間」が作品の緊張感を維持する上で大きな役割を果たしています。相手からの問いかけに少し間が空くことで生じる気まずさ、あるいは被せ気味に喋ることによる何らかの意図のほのめかし…、こういった間の長短は確実に計算されて差し込まれており、さらにこの「間」の存在感は、作中の重要人物の声の抑揚を意図的に抑える、という演出により、さらに際立ちます。
『ドライブ・マイ・カー』においても、舞台監督が台本読みの際に役者に一切の感情を消して台詞を読むように求める場面があり、その意図するところを鑑賞中は理解できなかったのですが、本作によってその答え合わせができたように思いました。
映像的にはその場の光源を主照明として用いているため、自然かつ目立たない画面作りとなっていますが、それでも場面で鍵となる人物を浮かび上がらせる計算された照明と空間設計の巧みさには目を見張るものがあります。カメラは基本的にあまり動かず映像的な主張を非常に抑制しているのですが、ここぞという場面で急にアップになることもあり、ここでも「作為」を際立たせるための自然風演出の思想が一貫していることを実感しました。
大好き
良かったです
脚本を活かす俳優 俳優を活かす脚本
オムニバス、会話劇、ちょっと苦手な分野(DIVOCなんとかなんて一つも思い出せない)だけど、「ドライブ・マイ・カー」が三時間の長さが気にならず引き込まれてしまったので鑑賞。
最初の「魔法」が一番面白かった。
中島歩の、池松壮亮みたいな喋り方がいい、クセになるというか独特で強く印象に残ってしまう。
古川琴音は元カレがいるような年に見えないけど、上手い。最近よく見るはず。見入ってしまう女優さんですね。
脚本をうまく活かす俳優さんたち、そして俳優さんたちをうまく活かす脚本。
演出がいいんでしょうね。
監督・脚本をひとりでやってる人たちの失速がままみられる中、是枝監督や、今作の濱口監督は才能があるんだなとつくづく思います。
アカデミー賞おめでとうございます。
思いもよらない方向に動く人の心の妙
話題の濱口監督の作品の中で、この映画から観た方が
「ドライブ・マイカー」が観やすくなるかも。
と言うライムスター宇多丸さんの発言を訊いて
ならば観てみよう〜とミニシアターに出かけて鑑賞。
いや〜〜、びっくりしたと同時に面白かった!!
冒頭、結構な長尺で
仕事帰りのタクシーの中での女子トークが続く。
本当にリアルな女子トークに聞こえるのだけど
その後の展開に大きく影響する部分なので演じてる方は
かなりドキドキだったと思います。
オムニバスの短編三作を並べての一本ですが
それぞれのお話は全く関係の無い話です。
一本目は元カノ、元カレ問題。
二本目は自分勝手な復讐の失敗。
三本目は高校時代の自分との決別。
そんなザックリとした括りの作品になってます。
会話劇の妙をたのしんで欲しいですね。
で、月に8回くらい映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
膨大な会話のやり取りの中でいつの間にか
変質してゆく心の動きに注目してほしいですね。
誰かに何かをつたえようと勢い込んで、話すうちに
なんとなく自分の意識や思いが
「フッと入れ替わる瞬間」が、ある。
とても「人間らしい瞬間」を映像で観せられる。
そんな「日本映画らしい繊細」な部分が
世界で認められたのはなかなか意義深いと思います。
この映画、ミニシアター支援のための映画として
ミニシアター中心に上映されているので
是非チャンスがあれば
「ドライブマイカー」と合わせて観て欲しいですね。
言葉のやりとり
脚本が素晴らしい。舞台劇としても観てみたい。
言葉、会話、間、そして、着想の魅力
いい方に裏切られ、ちょっと突拍子ない展開に、言葉、単語、台詞と脚本力で、話の展開に違和感なくなって、むしろ、積極的に関わっていくという経験。
タイトルが素敵。
偶然。そして、その偶然から起こるstory=想像。
3話のオムニバスストーリーを思い返してみると、3つの『偶然』(ありそでなさそで、ありそうな)に引き込まれ、承、転、と物語が進行する。
それぞれの話が終わったあと、余韻が
我々に委ねられる、感じ。『結』として。
すごくいい映画。日常の何気ない感覚や考えを、言語化して、明確に認識させてくれる。自分でも知らなかった自分を見つけてくれるような感じすら。
個人的には、1話目の会話が好き。
2話目、教授のトークに勇気受けられる。
3話目は、今思い出しても泣きそうになる。ラストシーン。
全部大好きです。
カテゴリー) 友人には結構強く勧める映画。
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