劇場公開日 2021年12月17日

「☆☆☆☆ 〝 貴方は本当の事を隠している 〟 これはお見事!恐れ入...」偶然と想像 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0☆☆☆☆ 〝 貴方は本当の事を隠している 〟 これはお見事!恐れ入...

2024年3月21日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆☆

〝 貴方は本当の事を隠している 〟

これはお見事!恐れ入りました。傑作ですね、まごう事なく傑作と言い切って間違いないと思います。

『ドライブ・マイ・カー』が自分には今ひとつ合わなかったので、あまり気は進まなかったのですが。何やら評判が良いので年内に何とか観るか…と。
何ならば、「思いっきり貶してやるぞ」…感満々で観に行ったのに、もう存分に楽しんでしまった。

第 1 部 ☆☆☆★★★

♬ トロイメライ♬ と共に罠はやって来る

この第1部こそは、題名の『偶然と想像』そのものが、はっきりと色濃く出ていると思える。
冒頭から直ぐのタクシー車内。この場面から続く長回しと、絶妙なタイミングで切り替えるカメラのリズムが良い。
正直に言えば、この辺りまでは貶す気満々だったから「ん!やってるなココ!」…と言った感じで斜に構えて観てましたけど。
いきなりのこの話で、観客の気持ちを持っていく掴みとしては充分でした。

第 2 部 ☆☆☆☆

欲望と妄想〜そして偶然へ

トロイメライの調べと共に女が罠を仕掛けて来るのは第1部と同じ。

《あの》渋川清彦の超絶堅物教授がもう最高。
そして何よりも話の全編が大好物なくらいにエロい(^^;)
もうそれだけでご飯3杯はいける。
明らかに演出自体が、途中から2人共に棒読みにシフトして行く事でのクスクス笑いを誘っていて。その事自体が作品の中間部分なだけに、大切な潤滑油となっていた。
(実は渋川清彦自体が、売れっ子俳優だけに。撮影の直前に入る事で、逆の意味でのやむを得ずな演出だったのなら笑っちゃいますけどね)

いや〜とにかく楽しかったです。

第 3 部 他人と建前〜真実と本音

話が始まって暫くした時に、「ああ?これってある意味での『私をくいとめて』的な話だな!」…との当たりを付けた。

まあ、あながち間違いではなかったものの。そこからの展開には、こちらの想像を斜めに超えて行った。
そして、この話を最後に持って来るって言うのが、思い付く事と同じくらいに凄いと思う。
何しろ最後には多幸感に包まれてエンディングに向かう為、多いなる充足感に溢れて劇場を後にする。

何気ない〝 あるある 〟からここまでの展開。
劇場を後にしながら思わず最後に呟いてしまった。

「おいおい!ロメールじゃねえかよ!」…と。

…と、絶賛しといて何ですけど、、、

出来れば♬ トロイメライ ♬ は第3部でも入れて良かったんじゃ?

…とか。

第1部の冒頭場面。撮影スタッフが映像を確認している場面。
画面右後方に映り込む女性が居て、「ああ、多分あの人が話に絡んで来るんだな?」…と思っていたら何もなし。
画面を観ながら気になって仕方なかったんだよなあ。
そうゆう画面作りの辺りをもう少し丁寧にして欲しかったところ。
そうゆうところは昔の映画界は厳しかった筈ですからねえ。
まあ、所詮は素人がガタガタ文句こいてるだけですけどもね。

2021年 12月29日 Bunkamura ル・シネマ2

コメントする
松井の天井直撃ホームラン