劇場公開日 2021年12月17日

「絶対に見るべき映画」偶然と想像 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0絶対に見るべき映画

2022年11月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2021年。濱口竜介監督。監督の脚本による短編3本のオムニバス映画。こんな映画を見てしまったら人生が明らかに変わります。変化を肯定していくすばらしい映画。生きにくい社会のなかで、つながらないはずの人がつながって、一時的に衝突や災難を起こしながらも、新しい局面が開かれる。逆に言うと、思惑を超えて、立場を超えて、人が人として心から話しをするためには、これほどの偶然と紆余曲折を経なければならない。フィクションを通じたリアルへの探究。
とにかく会話(対話)がすばらしい。監督特有のメソッドによって、登場人物はほぼ棒読みなのだが、それがまったく嘘くさくない。ある種の小説のように奥行きがある人間把握を元にした言葉たち。言語化できない領域を、言語の限界も含めて映像化するチャレンジ。「ドライブ・マイ・カー」と同時並行で制作されているというのもまた驚きで、両作品がそれぞれ別の仕方で映画に挑戦している。それぞれが国際的映画祭で受賞しているのもうなづける。
同シリーズであと4作制作される予定という。楽しみで仕方がない。

文字読み