「ファンタジーが成り立つところ」偶然と想像 堂々庵さんの映画レビュー(感想・評価)
ファンタジーが成り立つところ
濱口竜介監督の作品は2作目。
東京芸術大学出身というのが気になってる。
今回の映画は、棒読みぽい台詞の流れに小津安二郎を連想させたり、ドライブマイカーのチエホフを思い出させた。多分、監督自身が信じている世界であることを感じる。
パンフレットに、エリックロメールの名を見て、然もありなんとやけに合点がいった。
日本語理解不能の人が「偶然と想像」を字幕で理解する感覚は、私が見たエリックロメールの映画に通ずると。
(けど、ロメールの方がもっと生っぽさがあった・・)
個人的には、「第3話もう一度」の話が良かった。互いの「もう一度」の再会を脱構築する展開は、とても楽しい。
果たして、初対面の相手(同性)に、私はあそこまで、心を開くだろうか? けど、開いたら(拓いたら)きっと世界は楽しくなる。
パンフレットの表紙に「wheel of fortune and fantasy」を見るに、想像=ファンタジーなんだということにたどり着く。
意味の世界は、それぞれ個々の人間の脳内で形になる。
そもそも、映画はそのようにできているのだ。
ひとつ、世界がより幸せになる映画の手法を目撃した。
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