「偶然と想像という名のシチュエーションドラマ」偶然と想像 コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
偶然と想像という名のシチュエーションドラマ
1 オリジナル脚本による3話のオムニバス。
2 一話は、男女3人の恋愛模様の行方を描く。場面が車内、オフィス、カフェと移りながら3人の人間関係が明らかになっていく。言葉の丁々発止のテンポが演劇的であり、オチの持って行き方がコント風。偶然の設定が作り過ぎの感あり。
3 2話は、軽薄の学生と主婦が仕掛けた陥穽の結末を描く。陥穽を仕掛けた訳やその内容は、不道徳であり、結果責任のとり方がアンバランスであるが、罠の仕掛けどころの描写は鮮やかでエロい。一方で、仕掛けられた人の脇の甘さと棒読みの台詞回しが残念な人そのものであった。
4 3話は、旧友との偶然の再会と真実を描く。会話の中から互いの生活ぶりや心の中が引き出されていく。そのうち話しが噛み合わなくなり、宅急便の登場で、二人の関係の様相が変わっていく。
5 濱口は、全編を通じ、「もしも〇〇だったら」という状況のもとで、人間関係の様相や人の心の深淵、感情に左右される人の姿を会話劇を通じて手際よく創っていた。1話がシリアスタッチのコメディに感じ、2話が起承転結のある短編小説の雰囲気、3話が映画の題名どおり偶然と想像に満ちていた。
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