鬼平犯科帳 血闘のレビュー・感想・評価
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悪だったからこそ
池波正太郎生誕100周年を記念し、キャストを一新して制作された豊川悦司の「仕掛人・藤枝梅安」に引き続き、これまた大ベストセラー「鬼平犯科帳」を松本幸四郎主演で再映像化。テレビスペシャル→映画→連続ドラマと、今回もかなり気合いが入っているだけど、ドラマは時代劇チャンネルの独占放送(地上波で放送するけど福岡では見れない??)とのことで、一先ず映画を鑑賞。
それで私、決めました。時代劇チャンネルに入会します。そこそこ時代劇は見てきたけど、中でも池波正太郎の作品は並外れて面白い。今回も、豪華なキャストに見事な完成度だったため、追いかけない方が損。だって、さっき見たってのにまた見たくて仕方ないもの!
時代劇って何がいいかというと...と話し始めると長くなるから手短に。時代劇は日本にしか作れないジャンルということもあって、役者の良さがグッと引き出されるし、日本人の血からなのか、他では味わえないワクワクから感情が大きく動かされてしまう。
今回も梅安先生ことトヨエツ同様に、鬼の平蔵・松本幸四郎の滲み出る優しさ、そして勇ましさに心奪われっぱなしだった。代々平蔵を演じているの、超エモいよね。中村ゆりと柄本明も、賞を贈りたいくらい名演。役者の魂の演技が見れるのが、時代劇最大の魅力なのです!
想像以上の骨太ストーリーにかなり食らい、予告でも流れる名ゼリフ「悪を知って外道に堕ちるか、悪を知って外道を憎むか」が追い討ちをかけるかのように刺さってしまった。過去回想の多さは若干くどかったけど、一振が重い、無駄のないアクションはすごく良かったし、最後まで抜かりなく詰めてくれるのも飽きが来なくて面白すぎた。これを機に、池波正太郎の原作小説も読まないとな。この人はキャラ作りが上手すぎる!!!でも、パンフレット高すぎる!!!もうちょい買うの迷わせてくれ...笑 長谷川平蔵、6月もよろしく!
北村有起哉の悪っぷり
火付盗賊改方の長谷川平蔵のもとに、若い頃に世話になった居酒屋の娘・おまさが現れ、密偵になりたいと申し出たが、平蔵は断わった。しかし、おまさは、平蔵が参考人として芋酒屋主人の鷺原の九平を探していることを知り、独断で調査に乗り出し・・・黒幕は誰、という話。
名前は聞いたこと有ったが、初めて観た鬼平犯科帳。時代劇を大きなスクリーンで観るのは良い。
大岡越前や暴れん坊将軍に似た感覚で、悪をやっつけるのはスッキリする。
平蔵役の松本幸四郎だが、さすが歌舞伎役者で、セリフ、仕草、殺陣まで安心して観れる。良かった。
志田未来も小さい時から観てるが、色っぽい悪女が似合ってきた。
北村有起哉と柄本明はさすが。特に北村有起哉の悪っぷりが素晴らしい。
おまさ役の中村ゆりは美しかった。若い時のおまさ役の中島瑠菜は可愛かった。
このシリーズ、続きがありそうで楽しみ。
スクリーンで観て正解!
中村吉右衛門の鬼平犯科帳が大好きで、あの世界観がどうなるかしら…と思っていましたが。
この映画もいい!
松本幸四郎のちょっとした表情や口調が吉右衛門さんのようにみえたりして、これから長く鬼平を続けていったら、もっと色香のある鬼平になりそう。
息子の市川染五郎も華奢な体型はともかく、若さがあって平蔵の基礎というかそこをみせてくれたように思います。
おまさを演じた、中村ゆりもいい。ほどよい色気があって、鬼平に恋する気持ちもキュンとなる幹事も。
テレビシリーズの彦十の三代目江戸家猫八が亡くなった時に、個人的に火野正平がぴったりな役と勝手に思っていて、今回実現して良かった。もっと活躍して欲しい。
忠吾役の浅利陽介、九平の柄本明もぴったり。北村有起哉と矢柴俊博といったバイプレーヤーが悪を演じているのも見ごたえあり。
大勢での殺陣シーンも迫力あって、これはスクリーンて観て正解でした。
音楽は悪くなかったけれど、ジプシー・キングスが良かったな。
因縁とか、人情とか、忘れていた感情を思い出した
時代劇を劇場で見たのは初めてでした。
率直な感想は予想以上に面白く、感情が揺さぶられました。
殺陣も上手くて(上手いという表現でいいのか分かりませんが)、臨場感がありました。
時代劇にしかない日本的な感覚があるような気がして、何か大事なものをしばらく忘れていた気がします。
最後の戦いで、盗賊が料亭ごと乗っ取って鬼平を招待するんですが、今から殺し合うというのに、「おめえとは一度ゆっくり飲んでみたかったんだ。」という台詞。
なんとも粋ですよね。
日本の時代劇の粋な感じとか、西部劇のハードボイルドなカッコ良さとか、たまには見て思い出さないといけないなぁと思いました。胸が熱くなった。
「悪を知る」意味が、今一つ伝わってこない
極悪非道な強盗団と鬼平との戦いに、強盗団に潜入した密偵の活躍や、強盗団の首領と鬼平の過去の因縁などが絡んでくる展開は面白く、引き込まれる。
数多くの登場人物の中でも、女性陣のキャラクターが、皆、魅力的で、特に、鬼平に思いを寄せるおまさの自己犠牲的な行動には、思わず胸が熱くなった。
芋酒屋の主人に対する人情味に溢れた裁定も鬼平ならではで、思わずホロリとさせられる。
その一方で、敵である甚五郎の人物造形については、今一つ物足りなさが残った。
彼が、鬼平に個人的な恨みを抱いているのは理解できるし、相当な頭脳犯であることも分かるのだが、だったら、もっと、鬼平の名誉を毀損したり、信用を失墜させるような策略を仕掛けてもよさそうなものなのに、ただ命を付け狙うだけでは、あまりにも芸がないように思えてしまう。
火付盗賊改に取り囲まれても、ろくに戦いもせず逃げ回るばかりで、しかも、何度も上手く逃げおおせるところには、フラストレーションがたまってしまった。
ラストの対決にしても、一騎討ちの醍醐味を堪能する間もなく、鬼平に一太刀で斬られてしまうという呆気なさで、もう少し剣の腕の立つ「強敵」にできなかったものかと、残念に思えてならなかった。
若い時に悪さをしていた平蔵が、なせ町奉行になったのかという、作品のテーマにも繋がる問いについても、平蔵が言うように「悪を知ったからだ」というよりも、単純に「父親が町奉行だったから」だと思えてしまうのは、残念としか言いようがない。
劇中では、他にも、やくざの元締めの息子は強盗団の首領になり、盗っ人の娘は盗賊の「引き込み女」になっており、結局、生まれた環境で人生が決まってしまっているのである。
鬼平の場合、現代であれば、不良少年が更生して警察官になるようなものなのだろうが、そこのところの経緯は、もっとしっかりと描いて欲しかったと思う。
ところで、鬼平を演じた松本幸四郎や市川染五郎だけでなく、脇を固める中村ゆりや柄本明らも好演していると思うのだが、柄本時生はどうして出演していたのだろうか?
単に親子共演をさせたかったからなのか、あるいは今後のシリーズで重要な役割を演じるからなのだろうか?
いずれにしても、彼だったら、何かやらかすに違いないという期待は空振りに終わり、そこのところも残念だった。
鬼平のサイドストーリーだね。
昔のドラマ大好きだったので、ストーリーを想像しながら着席。
あれ?何だか鬼平っぽくないぞ。
自分が想像してたストーリーは、大物の盗賊団が江戸にやってきて、犯罪を犯そうとするのを仲間と力を合わせて阻止するサスペンス。
ところが、出てくる奴ら、全然大物ぽくなかった。だって、鬼平の若い頃と繋がりがあるんだもん。それに鬼平自体の行動も、あまり知的じゃ無くて、本業とは違う事件にしか感じられなかった。特に違和感があったのは、おまさ。泥棒の娘として仕事を受け継いでいるのに、鬼平の味方として犬になる?ずっと本心が分からなくてモヤモヤしちゃった。
自分の想像と違いすぎた為、イマイチ感強かったけど、面白いか面白くないかといえば、結構面白い時代劇。チャンバラが暴れん坊将軍みたいだった。スペシャルドラマとしてテレビで観たらもっと楽しめたかな。
藤枝梅安パート3でよかったんじゃないの
藤枝梅安から随分とグレードダウン。鬼平を演じる松本幸四郎の表情が作りすぎで、強張って見える。肝心の殺陣もスピード感がなく、殺気も感じられない。
コメディパートも段取り芝居で、苦笑い。
さすがなのは、柄本明。この人がいると芝居になる。
これだったら、藤枝梅安3でよかったんじゃないの。
型
70本目。
専門チャンネルで観てたから、いやでも比較してしまう。
叔父の後を引き継ぐのは、そうなると知ってだと思うし、相当の覚悟はあったんじゃないかと。
やっぱ時代劇って言う鉄板感はあるし、平均年齢高めの観客にそれが分かりやすくていいと思う。
でもちょっと型に嵌まり過ぎな感じは否めないかな。
でも、おまさに肩入れしてしまい、最終的には観いってるんだけど、甚五郎がイキってる割に、ビビりで逃げ足早いのは、設定としてはとうなのなかとは思ってしまう。
藤枝梅安がアート志向強めだったから、それを踏襲するかと思ったけど、普通だったのが残念かな。
悪を知って外道に落ちるか、悪を知って外道を憎むか!
劇中のこの台詞に尽きる物語でした。
割と時代劇好きなのですが初の鬼平犯科帳。
先入観ないので楽しめました。
因果応報、互いに怨みの連鎖を
繰り返す物語。
網切りの甚五郎の外道っぷり。
ゆきやさん素敵です。
でも甚五郎どれだけ大盗賊団なの?
踏み込まれる度に拡大されて行くのが不思議で仕方ない。
まぁ突っ込んだらおしまいですが(;´д`)
若い頃の本所の鉄
が惚れ惚れする男っぷりです。
染五郎良いですね。
火野正平との絡みも良いですね
後、基本的にキャストに文句は無いのですが、浅井陽介が、相棒の青木にしか見えない(笑)
おまさは色っぽいですが、
おりんとおろくがおいちゃんには、見分けが着かない(゜∀。)
時代劇と侮るなかれ
時代劇専門チャンネルでの第一弾に続き、第二弾は劇場版
第一弾もかなり良くできていたので、期待をして見に来ましたが期待通りの出来栄えでした
中でもおまさを演じられた中村ゆりさん、おりんを演じられた志田未来さん、おろくを演じられた松本穂香さんの演技は仕草や表情も含めて凄く良かったと感じました
丁寧に作られている良作なので、時代劇というジャンルで区別せずに見てもらいたいです
ベストオブ網切甚五郎
鬼平で重要なのはヴィランである盗賊の佇まいだと思いますが、北村有起哉さんの網切の甚五郎はクズで外道でベスト網切じゃないでしょうか。
もちろん、幸四郎さんもとっても良かったですし(何度かトリハダ立った)、おまさの中村ゆりさんの眼差しもグッときました。
煙管は先代鬼平と同じものじゃないかなぁ
新しい門出の気がする
中村吉右衛門が大好きで、放映は必ず録画して見てたし、若い頃の時代劇もほとんど見た♡優しくて気配りがあり、鋭い感と観察力(役柄の鬼平だが笑)彼のイメージが強い鬼平をどうやって演じるのか、楽しみで観てみた。
素晴らしかった、感動した。
梶芽衣子のおまさも良いが、
中村ゆりのおまさも良かった。
志田未来は、夜鷹なのに品がある。
音楽がスゴくよかった。
シーン毎の音楽がマッチして、
胸を踊らせ、ときめかせ、悲しませて
音楽を聞くために、も1度見たいくらい良かった。音楽はとても重要。
鬼平再び
池波正太郎の原作はもちろん、吉右衛門のドラマシリーズのファンとして、楽しみにして観に行った。
鉄三郎と名乗っていた若き日の平蔵や、おまさが密偵に取り立てられる経緯など主要人物の人となりを説明するようなストーリーに仕上がっていた。
実力充分な志田未来や松本穂香は若手ながらもしっかりと存在感を示していたし、梶芽衣子以外には到底あの役をできまいと思っていたおまさを中村ゆりが好演した。
テレビシリーズでも描かれていた平蔵が単身でおまさを助けに行くエピソードは切なかった。
またしても柄本明の怪演ぶりは群を抜いていたし、同心たちのキャスティングも納得。
しかも、ラストで第二弾もあることを示唆。
幸四郎に吉右衛門の面影を見て、テレビシリーズを懐かしめたので、おまけで星4つ。
新たなる優しき鬼
鬼平犯科帳
池波正太郎による時代小説で
「剣客商売」「仕掛人藤枝梅安」などと
ともに池波作品の代表的な作品
ただ通称「鬼平」はほかの作品と
異なり主人公長谷川平蔵は実在人物
1967年からオール読物で連載開始し
1969年には早くもテレビドラマ化している
(8代目松本幸四郎版)
他にも丹波哲郎や萬屋錦之助が演じたが
広く知られているのは
平成版のフジテレビ中村吉右衛門版で
1989年から2016年まで長く演じられた
美食家でもある原作者の指示で
作中の料理まで実際に現場で
調理されるなどこだわりが
人気を博した
今作は十代目松本幸四郎を
長谷川平蔵に据えリブート
そもそも八代目をモチーフに
原作も描かれた点に回帰したという
どうだったか
まだまだ若々しいイメージの
あった十代目に中村吉右衛門の
ような味がどう出せるかと危惧
しておりましたが・・
風貌から声色までまるでそのまんま
いや新たな鬼平像をきっちり
出ておりました
若平蔵・鉄三郎を息子の
染五郎が演じ見事な立ち回りを
演じています
柄本明もきっちり親子共演(笑)
料理シーンもきっちり再現
世界観は先日公開された
トヨエツ梅安の世界観を踏襲
しております
ラストで出てきた平蔵は
九代目だったかな(笑)
舞台となる江戸時代中期は
飢饉や不景気で犯罪が多く
放火と強盗が最も重罪だった
火付盗賊改方は実在したセクションで
誰と構わず逮捕して尋問できる
特権を与えられていたため乱暴が過ぎ
世間からは嫌われていたそうだが
鬼平はおつとめ(盗み)を働いても
「殺さず・(女を)犯さず・貧者からは盗らず」
を守っている義賊には寛容で
密偵「狗(いぬ)」として使ったりする
池波作品特有の造語も含まれるため
あくまでフィクションだが
実際の長谷川平蔵(宣以)の
人情味のある部分は本当だったとか
(宣以は犯罪者を更生しつつ仕事の技術を
覚えさせその間の賃金も積み立てて
出所時に持たせる「人足寄場」を
設立した人物としても知られている)
今作もこうした部分がしっかり
これまでの映像化と遜色なく
描かれていたと思います
続編もやる雰囲気プンプンしますが
劇場には封切日で自分と一人しか
いなかったのは気になりますが(笑)
出来はいいんで期待したいですね
日本の方もちろん、外国人の方にもおすすめ
今年180本目(合計1,272本目/今月(2024年5月度)14本目)。
(前の作品 「不死身ラヴァーズ」→この作品「鬼平犯科帳」→次の作品「恋するプリテンダー」)
映画の過去作(いくつかある)やテレビシリーズほかは、netflixなどでみたくらいです。
さすがに「時代劇専門チャンネル」による作りとのこと、とても納得ですね。普通であれば程度の差はあっても怪しいところにいってチャンバラ~みたいなストーリーなのですが、この映画はそうしたところはあるものの、人情等がうまく描かれていて、また当時の日本の文化(なお調べたら正しいも模様)等、結構色々と出てくるし、その「正しさ」についてはやはりかなりの「こだわり」もあると思います。
個人的に見た場合、ある場所が違うなら次はそこ、そうでもないなら、あの人を疑って…と考えると話が進むタイプのお話ですが、視聴者の大半がなぜか高齢者の方ばかりで、根強いファン向けと思われるシーンも多いです。変な方向に行くようなこともなくおすすめといったところです。
なお、ごくごく初歩の古典文法や古典知識もこの映画にでてきますので(「ゆめゆめ」は「絶対に~してはいけない」の意味)日本に合法に在住されている外国人の方の「古典入門」といった位置でもおすすめです。
「新おまさ」
松竹にとって重要なコンテンツと言って過言ではなかろう『鬼平犯科帳』。これはやはり松竹の劇場が好かろうと丸の内ピカデリーへ。初日でしたが、午前の回はガラガラです。。
日本映画放送による「池波正太郎生誕100年企画」としてリブートされたシリーズ第1弾『仕掛人・藤枝梅安』が思いのほか良かったため、本作も楽しみに待っておりました。
ただ、「梅安」は劇場版として2部作という構成でしたが、「鬼平」は時代劇専門チャンネルとの連動で、まずはドラマスペシャル『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』、次に本作の劇場版『鬼平犯科帳 血闘』があり、続いて連続シリーズ『鬼平犯科帳 でくの十蔵』『鬼平犯科帳 血頭の丹兵衛』が配信予定となっています。さすがに私、時代劇専門チャンネルまでは手が出ませんで、、「本所・桜屋敷」は一旦諦めて本作「血闘」にて幸四郎(十代目)さんの長谷川平蔵に初めて会ってまいりました。
始まってしばらくはどうしても比較から入ってしまい、さらには減点方式で観てしまいますが、観終わればそんなことは何もなかったように「良いリブート」だとすっかりファンになり、ついつい時代劇専門チャンネルの視聴方法を確認してしまったり。。
実際、まだコンビネーションは少々ぎこちなさを感じます。特に日常シーンの通常の会話の掛け合いは難しいですね。この辺は回を重ねることでキャラも固まり違和感を感じなくなるはずです。(そう思うとまたドラマが気になる。。)
新キャストに対する印象ですが、平蔵役の幸四郎さんは特にしゃべり方は叔父である吉右衛門(二代目)さんの平蔵のイメージをスムーズに引き継いでいるように感じます。火付盗賊改方加役としての貫禄も十分ですが、殺陣についてはまだ吉右衛門さんほどの凄みは感じないかな。今後に期待です。
そしておまさ役中村ゆりさんですが、、参りました。銕三郎(平蔵)への想いと覚悟の潜入。もう、私、ここから落涙が止まりませんでした。それこそ、最初は梶芽衣子さんと比較して観ていたことは否定しません。梶さんに比べると線が細く、声も高いため少々貫禄が足りなく思いながら観ていましたが、逆にその特徴が今作のおまさにピッタリでもうこの人以外に考えられません。見過ごせないのは松竹の新人、中島瑠菜さんの少女時代のおまさがあってこそのこの仕上がりとも言える「新おまさ」、最高だと思います。
そしてもう一人、志田未来さんがお上手。時代劇独特の台詞回しを絶妙な感情の入れ方で演じている様は、何なら他のどなたよりも一番堂に入っていたように感じます。「引込み役」、「遊女」、「盗賊一味の一人」とおりんという役の中で使い分けるキャラクターが全て成立しています。今後も是非時代劇での彼女を観てみたいと思いました。
ああ、時代劇専門チャンネル。。しばらくは引っかかり続けると思います。兎も角、池波正太郎生誕100年企画は流石の力の入れようで、素晴らしいリブートであると確信しました。堪能。
【”悪を知って外道に落ちるか、悪を知って外道を憎むか。それがオメエと俺の違いだ!”今作は鬼平の若き時の因縁に起因した出来事を、鬼平に惚れた3人の哀しく美しい女の生き様を絡めて描いた作品である。】
ー 鬼平犯科帳は30歳の時に、余りの面白さに文庫本全25巻を一気に読んだ記憶がある。
火付盗賊改、長谷川平蔵の悪と対峙する姿と、彼の人柄を慕う多くの登場人物の関係性が
実に面白かったからである。
映画化されると聞いて嬉しかったが、懸念したのはあれだけ多い登場人物をどう描くの
かなと思っていたのだが、杞憂であった。ー
◆感想
・今作の魅力は数々あれど、まずは、娘時代から鬼平(松本幸四郎:若き時は市川染五郎)を慕っていたおまさ(薄幸の女性を演じたらNo1の中村ゆり)と、編切の甚五郎(北村有起哉)の引き込み女のおりん(志田未來)と鬼平が若かった時に彼が惚れていたおろく(松本穂香)の姿が、今作に彩りと哀しみと遣る瀬無さを齎している所である。
ー どの女性も哀しき生い立ちながら、必死に生きて居る。そして鬼平を慕っているのである。-
・鬼平行きつけの軍鶏鍋屋、”五鉄”が出てくるのも嬉しい。
そこには鬼平の密偵の相模の彦十(火野正平)がキチンといて、情報収集基地として機能している。
・一人働きの九平(柄本明)が、”仕事中”に編切の甚五郎一味が急ぎ働き(劇中で、この言葉は出なかったので記載するが、大店から金だけ盗む九平の様な盗みではなく、大店の人達を皆殺しにする手荒い盗みを言う。)の様子を、蔵の天井から見ているシーン。甚五郎一味は殺した大店の主人の指で”おに平”と書いて立ち去るのである。
ー 九平は、編切の甚五郎の”仕事”のやり方を憎み、おまさと協力して、編切の甚五郎の新たなる急ぎ働きの情報を鬼平に伝えるが、火付盗賊が編切の甚五郎を取り逃がした事に立腹する一連の流れや、九平が普段は市井の民として”芋酒”や”芋鞣し”や”芋飯”を供する店を営んでいる時の、別人の様な表情を、柄本明が貫録の演技で魅せるのである。ー
・今作の魅力のもう一つは、京極備前守高久を演じた中井貴一(雲霧仁左衛門かと思った。)柄本明を筆頭とした時代劇のベテランと、上記3人の女性達、中堅、若手と演者の年齢幅が広い所である。私は演者の年齢層に幅があると、作品の幅、深みが増すと思っているからである。
更に言えば、平蔵の妻である久栄を演じた仙道敦子さんの登場は、嬉しかったな。
■今作のラスト、鬼平が編切の甚五郎の仕掛けた罠に引っ掛かり、京極備前守高久行きつけの料理屋での、因縁の血闘シーンは実に見応えがあった。
鬼平一人対編切の甚五郎一味の絶対絶命の中、久栄の願いで鬼平宅を訪れていたおまさが、久栄から鬼平の行き先を聞き、編切の甚五郎の隠れ家で見た押し入り対象の大店の図面を思い出し、“鬼平が危い!”と気付き、火付盗賊改に連絡を取り、鬼平が苦戦する中、火付盗賊改の多数の提灯が闇夜に浮かび出た時の安堵感と、鬼平が編切の甚五郎に言い放った言葉。
”悪を知って外道に落ちるか、悪を知って外道を憎むか。それがオメエと俺の違いだ!”
には、痺れました。
<ラストを観ていると、”火付盗賊改の中に不穏な動きがある。”と言った鬼平の言葉や、柄本時生演じる火付盗賊改の序盤の動きなど見ていると、次作がありそうである。
大いに期待して待ちたいし、改めて日本の優れた剣劇時代劇は世界に誇れるモノであるなあ、と私は思ったのである。>
全127件中、101~120件目を表示