「暗い目。濡れた指先。右ストレート。誘い言葉。」ひらいて bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
暗い目。濡れた指先。右ストレート。誘い言葉。
え?濡れ場?この2人で?ちょっとーー!これにはビックリ。いや、得した気分。と言うか、そこだけで元がとれた気になるのは間違いないです。
と言うか。
表参道を順調に歩んで来た山田杏奈と、インディのアイドル芋生悠の共演ってのが、結構な「あり得なさ」なんどすが、2人が、ともに持ち味全開です。
気が強く、思い通りに生き、我慢する事を知らない女の子。心のこもらない上っ面だけの言葉は、自らの「暗い目」で悟られてしまう。
パーっとしたラストがあるじゃ無しのU20な人生劇場は、丁寧に撮り進められた121分の長丁場。監督の首藤凛さんは「21世紀の女の子」で見てるはずなんですが、どの話を撮った女性だろ?
撮影の岩永洋さんは、最近お気に入り。最初の濡れ場の山田杏奈の撮り方とか、結構痺れる。と言うか、逆光の山田杏奈、キレイ過ぎて拒めないよ、ってのが、この画で分かるもんw
最後のセリフには、おいおいおい!って言いたくなりますが、その前に、「卒業できるのか?君は?」って突っ込んどきます。
面白かった。
「重い部分」の扱い方が臭くも暗くもならないところは好き。芋生悠から山田杏奈への手紙を分断して劇中に差し込んだ演出は、今ひとつだと思うけど。あそこは、あざとく泣かしに来てもw
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10/26追記
監督の首藤凛さんは学生時代に「また一緒に寝ようね」と言う映画を撮っているらしく。また、原作「ひらいて」は大好きな小説とのこと。原作では、この台詞の後も物語は続き「ひらいて」の言葉で終わりますが、「また一緒に寝ようね」で映画が終わっていると言う事から、首藤監督は、この台詞のインパクトがよほど気に入ったのだと思われます。
ただし。
原作の中での「3人の関係」と映画のそれとは、微妙に違う気がして。
スクールカースト最上位の愛は、これと言って目立つところの無い秀才たとえを「愛して」います。身の危険を顧みずに教室に忍び込み、手紙を盗み読むくらいに。
文化祭の展示品製作の、桜色の折り鶴をひたすらおり続ける愛。その愛の内心に関する見方の一つは「たとえへの想いを込めて」ですが。よりも、「内心の安定」であったり、目的に向かって単純作業に打ち込む事は、「何ものからかの逃避」であったりってのは良くある話で。「たとえは好きな女の子がいる」と言う事実から目を背けるためなのかも知れません。
ところがですよ。
この愛ちゃんは、逃げてるだけで終わるタマじゃあーりません。美雪に近づき友達を装い、嘘の延長から美雪の貞操を犯します。
折り鶴を開いて延ばす愛。元の四角い折り紙には戻るも、シワは残ったまま。この描写は、様々な事を示唆していますが。一旦、原作の事を全て忘れて、この映画の中で描写されている3人の関係、愛の人格から思ったのは。
「一度、カタチ作られてしまった想い=たとえへの愛、はキレイサッパリに無かったことにはできない」
そこからラストの囁きですよ。
「また、一緒に、寝ようね」
美雪にとっては、甘美な脅迫です。愛の愛撫で性に目覚めているかも知れない美雪。美雪にとっては、たった一人の友達=精神的な支えである愛。一方で、たとえを奪って行くかもしれない危険な女の子。
その愛が、関係は絶たねーよ、逃がさねーよ、って言ってるんですから。
原作の「ひらいて」の意味は、たとえに「心を開いて」と言っている様でもあり、自分自身に「素の自分になれ」と言っている様でもあり、「私はどうしたいの?」と言う自問の様でもあり。
映画の中の「ひらいて」も「また、一緒に寝ようね」も、原作のそれとのズレ方が、結構好き。
惜しむらくは「長い!」ですかねぇ、こりゃ個人の好みの問題もありますが。今年は、ポンポさんの影響もあって、これで2時間はなげーよぉ、ってなっちゃいました。これ、登場人物、少しくらい減らしても大丈夫じゃないでしょうか?スクールカーストや、愛の家庭の描写とか、半分も要らない様な気がしました。
コメント恐れ入ります。
【あの手紙が学校に置きっぱなしなのは「父親のいる自宅よりは安全だから」なんだと思います。毒親でしたもんねw】
そうですね~息子がいない間に部屋を捜索するんですかね。怖キモ。
学校で冷やかされることの方がましなんですかね~芯の強さですね。無頓着じゃなくて。削除しようっと。
今晩は
芋生悠さんって、”インディのアイドル何ですか!”
笑顔無き山田杏奈さんの魅力と、彼女と芋生悠さんのエロティックなシーンにヤラレマシタ。
冒頭のシーンで”しまった!アイドル映画だったか!”と思いましたが、杞憂でした。
"濡れた指先・・”R指定なかったですよね・・。
では又。返信不要です。