「謎・謎・謎・光…そしてまた謎」CUBE 一度入ったら、最後 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
謎・謎・謎・光…そしてまた謎
1997年、カナダで製作された『CUBE』のリメイク版。謎のキューブに閉じ込められた、曰く付きの6人による脱出劇。最初から最後まで、どこで、どんなトラップが飛び出すのか、緊迫感が伝わるサバイバル・ミステリー。
とにかく、全てが謎だらけ。何の前振りも無いまま、初っ端からキューブに閉じ込められ、その中を彷徨う一人の男のシーンから、物語はスタート。ここはどこなのか、何のために閉じ込められたのか、全く分からないまま、その男が、無残な形で、キューブのトラップの最初の犠牲者となる。
そして、同じように集められた6人が、上下左右の模様も形も全く同様のキューブが、幾つも重ねられた部屋の中を、右往左往して出口を目指す。その中で、各キューブの部屋によって殺しのトラップがある部屋と無い部屋の規則性に気づき、果敢に脱出を試みていく。しかし、そうした死と隣り合わせた、異常な空間の中で、それぞれが疑心暗鬼となって、平常心が狂い始めていく。
その6人を演じたのが、
・過去のトラウマを抱えた青年の後藤を、菅田将暉
・傲慢で悪どい仕事を手掛けてきた安藤を、吉田鋼太郎
・冷静沈着な謎の美女の甲斐を、杏
・弱音ばかり吐き、社会に溶け込めない越智を、岡田将生
・野性味と影が入り混じったリーダー格の井手を、斎藤工
・大人嫌いで無口な少年の宇野を、田代輝
この手のサバイバル・ミステリーは、順番に悲惨な死を遂げていくのが常。今回もその点は、同様であるため、これだけの主役級の俳優陣を揃えたのも、普通なら最後まで生き残りそうな俳優が、どういう順番で、壮絶な死を迎えるのかを見通しながら、鑑賞する面白さもある。
一方で、スプラッター・ホラーとしての、壮絶な死をどう描くのかという点においては、最初こそ、インパクトのある演出で、観る者を引き付けたが、その後は、それほどグロさやエグさも伝わらず、よく見るCGパターンでの描き方で、期待を上回ることはなかった。R指定をしないことで、菅田ファンの小中高生にも、幅広く観て欲しいという、製作側の意図なのだろう。その点では、元祖『CUBE』を知るファンからの物足りなさが、レビュー点の低さに現れていると言えよう。
本家の『CUBE』は、続編が製作されたが、ラストシーンとエンドロールの中の文字を観ると、『パート2』に、続いていくような形で締めていた。