「日帝本国人」狼をさがして kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
日帝本国人
テロは絶対に許されない!そんなことはわかっているが、彼らを暴挙に駆り立てたのは一体何だったのだろうかと興味津々で鑑賞。まずは「日帝」という言葉そのものが懐かしい。学生運動のすっかり収まった時期に大学に入ったのに、学内には極左過激派の立て看板が残っていた。
映画の内容は2000年代になってから「狼」を中心とする過激派を追いかけるドキュメンタリーだったが、素顔はほとんど見えず、支援者だった人々のインタビューが中心。そして、繋ぎの映像は「ここを爆破したらどうなるのか」と問いかけるような橋が靄に包まれているような雰囲気。全体的にガスがかかった暗い絵が多い。
共感できるところはほとんどないのだが、最も印象に残ったのが日本人は中国や朝鮮に行った暴挙を忘れてしまったということだった。70年代は朝鮮特需によってもたらされた好景気と一億総中流という意識の時代。学生運動も衰退し、過激派は市民の賛同・支持も得られない。結局は暴力に訴えるしかなかったのだろうか・・・知らんけど。
映画はどちらかというと懐古的で、否定もしなければ美化もしない、淡々とした印象も残る。しかし、今の世の中、歴史修正主義者が跋扈し、中国人・朝鮮人の徴用さえなかったことにしようとする。さらに、コロナ禍で総中流意識さえなくなった現在、好景気以前の状態に近いのではなかろうか。歴史をもう一度鑑みるにはいいきっかけを与えてくれる作品だとも言えるのです。最近、謝らない、言い訳しかしない、反省しない人間が周囲にもいるのだけど、素直に謝る気持ちくらいは持ちたいものだ。
また、青森ねぶた祭りを死ぬまでには生で見たかったけど、その気がなくなりました・・・
コメントする