「【昔の話…?】」狼をさがして ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【昔の話…?】
何か新しい発見があったかというと、ちょっとインパクトに欠ける気はする。
「声の罪」のレビューでも書いたことがあるが、昔、都内の繁華街の居酒屋でバイトをしていた時に、近所のバーのマスターが、「腹腹時計」という爆弾製作を記した冊子を持っていると聞いたことがあった。
三菱重工ビル爆破事件で使用された爆弾の設計書だ。
あの居酒屋は、ビルを建て替えてまだ営業しているが、バーまではあるか確認できなかった。
こうした時代の学生を中心とした運動は、思想を背景にしたものと、そうでないものと区別して考える必要があると思う。
映画でも動機付けは語られるが、この事件を主導した「狼」や、あさま山荘事件を起こした連合赤軍は特定の思想をベースにしていて、共感を広げられなかったことも要因となって活動が過激化したのではないかと思う。
言い方は悪いが、自分の気持ちを上手く言い表せない子供が、周りの人に当たり散らすみたいな、そんな感じだろうか。
これに対し、全共闘は、大学の巨額の使途不明金を巡る学生の大学自治の拡大の要求がベースで、三里塚(成田)闘争は、民有地の取得問題や、騒音問題を背景にした反対運動が発端だった。
ただ、こうした運動でも、いつの間にか過激な行動に出るものが参加し、問題をあらぬ方向に導くことがあるのは、批判されるべきだし、アメリカの#BlackLivesMatterにも、暴力で訴えるようなものが出てしまうことがいることを考えると完全に防ぐことが難しく、こうした運動の難点でもある。
話を戻すと、こうした爆破活動を厭わないような思想が遠い遠い昔のことのように考えている人もいると思うが、もう一段社会が成熟した後に発生した、オウム真理教の弁護士一家殺害、松本サリン、地下鉄サリン事件は、僕は同じ類のものだと感じる。
聞いていて、合理的な動機付けがあるようには感じられないし、当然、当時も共感は得られていないし、そこで、なぜ自分たちは理解されないのだろうかと不満を蓄積させることなったのだろうか。
どう考えても稚拙感は拭えない。
また、これほどまでとは言わないが、物理的な暴力に発展してはいなくても、ネトウヨが好む民族思想や人種差別思想は、ネットを騒がせることは多い。
大村愛知県知事のリコールを主導した連中も、特定の思想を背景に持つ輩たちで、結局、民主主義の根幹を揺るがすような不正署名事件に発展している。
人の命を殺めてはいないが、これも思想をベースにした危険なものであることは間違いない。
宗教でいうと、イスラム原理主義はフォーカスされることは多い。
キリスト教にも原理主義に近いものがあるし、社会の価値観の移り変わりと折り合いをつけることが出来ない人はきっとなくならないのだ。
だからこそ、教育の平等を徹底させる試みや、客観的で合理的な教育プログラムや、社会格差の是正は必要なのだと思う。
※ 僕は、うがった見方かもしれないが、三菱重工ビルが狙われたのは、密かに東條英機の息子が働いていたことも要因じゃないかと思ったりする。戦争犯罪とは関係ない人だし、故人には申し訳ないけれども。