「あの名作を連想しながらも、カルシウムが足りない人達の作品です。」アオラレ 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
あの名作を連想しながらも、カルシウムが足りない人達の作品です。
前から興味があった作品ですが、都内のシネコンは休館状態で6月からソーシャルディスタンスと時短営業でなんとか再開。
で、近所のMOVIX亀有に久しぶりに足を運んで鑑賞しました。
て 、感想はと言うと…まぁみんな余裕も無いし、カルシウムも足りてないよねw
予告編を観た時から、昨今の煽り運転の事件等もあり、煽り運転事件のあんな事件やこんな事件が頭に浮かぶw
余裕が無いと言うのもあるし、「ハンドルを握れば人間が変わる」と言うのは昔から聞きますが、それの物凄くコジらせた感じw
作品としては面白いと言えば面白いけど、B級感はあります。と言うか、B級作品の申し子の様な作品でw、上品ぶる様な作品でないのは確かw そうでないとこの作品は楽しめないかなと思います。
でも、それ以上に煽られたレイチェルの同情感薄がプンプンw
寝坊して、約束の時間に遅れているだけで社会人失格。それも大事な大口のお客に対してなんてフリーで活動している者にしてみてはダメダメ。
また渋滞で違法の路肩走行して違反連発。
もうこの時点で天罰感高めw
その後のラッセル・クロウ扮する、トム・クーパーのやりすぎな怒りの引き金を引いてしまう。
でも観る側のレイチェルへの同情心はあんまり湧かないw
この辺りのカタルシスが面白いんですよね。
それでも、トムのやり過ぎ感はドンドン加速していき、まさしく「どうにも止まらない」。そこに執拗なレイチェルへの狙い撃ち。「狙い撃ち」に「どうにも止まらない」とは山本リンダ状態ですなw
レイチェルの些細(本人が思う所の)な「アオリ」から、トムの暴走は引き起こす悲劇の物語ではありますが、難点は個人的にいくつかアリ。
・最初のトム・クーパーの襲撃と爆破はいるんだろうか?
この辺りのプロローグが今後の事件の切っ掛けになって「こいつ、ヤベ〜ぞ」と言うイメージを植え付けて、トムの無差別な殺人鬼的な側面が強調されるんですが、被害者も加害者も一般人で、アオリ・アオラレが巻き起こす悲劇の方が良いし、面白いと思うんですが如何でしょうか?
・ラストの実家での決闘はどうなの?
個人的には「路上で巻き起こるバトルの決着は路上で」と思うんですが、実家で場外バトルと言うのにはちょっとどうかと。
また、思ったよりもあっさりとトムのHPがゼロになってのゲームオーバーは割と肩透かし。執拗にレイチェルを追いかける様はターミネーターの様な不死身感もあるし、何よりもあの「グラディエーター」のラッセル・クロウならもっとタフであっても良かったと思うんですよね。
何よりも、この作品を見た時にはあの「激突!」が思い浮かぶんですから、路上でない所の決着は少しガッカリかなと。
他の方も書かれてますが、「激突!」や「フォーリング・ダウン」と言った所謂「プッツン作品」を思い出す作品で、比較するのはどうかと思ってもやっぱり比較してしまう。
特に「激突!」は今見ても十分面白く、ホラー要素も感じられるサスペンスアクションの傑作。
制作側が意識するしないに関わらず、観る側は意識してしまうのは致し方なし。
ましてや私生活では短気と粗暴な振る舞いが有名なラッセル・クロウが主演なら、そこを狙ってのオファーか?と思ってしまいますわなw
また、ラストのレイチェルが信号無視をした車に向かってクラクションを鳴らすのを止めたのには「バック・トゥ・ザ・フューチャー:Part Ⅲ」のラストを思い出しました。マーティが自分の短気から未来を棒に振った経験を生かして思いとどまった事での「めでたしめでたし」となる訳ですが、レイチェルもあそこでクラクションを鳴らしていたら…となり、ハッピーエンドな訳ですが、ここは敢えてクラクションを鳴らして「学習しないのか、君は?」となる方が面白いかとは思いますが如何でしょうか?
もっとシンプルかつ煽られの恐怖を描いても良いかと思いますし、トムの素性が明らかにし過ぎなのもちょっとどうかと思ったりしますが、こんなになかなかダメな主人公の女性も珍しい。ましてやお客を売ろうとしたしw
もう少し、レイチェルの報われない感じでも良かったけど、どちらも肩入れが出来難いキャラがちょっと中途半端にも映ります。
ただ、やっと映画が以前よりも観れる環境が嬉しいので、B級作品が映画館で観れる事でちょっと満足してしまったw
とりあえず、好みがありますが、興味がありましたら、肩の力を抜きつつ、ハードルを下げて鑑賞されては如何でしょうかw