「リブートとしては謎だけど、取り敢えず平和です」遊星王子2021 思いついたら変えますさんの映画レビュー(感想・評価)
リブートとしては謎だけど、取り敢えず平和です
僕らの熱いのんき者、低予算特撮の手品師、河崎・フリーダム・実監督が令和に白羽の矢を立てたのは、月光仮面の次に古い超古典国産ヒーロー番組!ツイッターでこれの告知が流れてきた時はひっくり返ってしまったw。絶対に監督以外は手を出さない題材だ。以前「ローン・レンジャー」がリメイクされた時、RHYMESTER宇多丸さんが「日本で例えるなら鞍馬天狗をリバイバルする様な(無茶な)企画」と評したのを聞いたが、そんな恐れをあの人が感じるわけもないのだ。
令和に入りツヤツヤのラメタイツをテカテカのメタリックタイツに着替えた王子は、さながら毒の抜けたスッパマン...いやケロロ軍曹の556のが近いか?ひたすら高笑いをし、ひたすらお人好しで、ひたすら意味もなく強い(ただし初期も初期のヒーローなので、どうやら必殺武器も技もない)。
正直申し上げると「遊星王子」、流石に何かで主題歌を聞いたくらいしか知識は無いのですが、原点でもああいう風に笑うんでしょうかね?
資料があまりないのか、監督も「ウルトラマン」や「黄金バット」など、古いは古いがそんなに関係ないヒーロー物のネタを散りばめまくってる。それって企画倒rおっと誰か来たようだ。
予算など期待すべくもない合成(きっと監督流の昭和リスペクト精神も大いにある)や、河崎節全開の脱力強引ギャグ時空に気を取られがちだが、意外と1本のヒーローもの、スペースオペラとして抑揚のあるドラマになっており、中盤で遊星王子に恩のできた青年が社会的立場を危険に晒しても助けに来てくれたり、逆にヒロインを(この時点では実質的に)とられた嫉妬と義憤にかられた別の青年が結果的にヒロインを1番悲しませる行動をとってしまったりと、「表現がユルいので気づかないが、よく考えてみると厚みのある展開」を抑えてるのが何とも洒落臭い。そして厚みがあったところで印象はユルいので意味は無い。褒めてますよ?!
色んな意味で豪華すぎる出演陣の締めくくりに、風格たっぷりのお父さんがゾフィーの如く現れ全てを円満解決した所で(全部いい感じに片付けるあたりは寧ろコンバトラーVのデウスみたいだ)、ゆったり牧歌的に映画は空へパンして締めくくる。
このフワァ...っと終わっていく空気に「え...あ...終わるんだ。まあそういう映画を見てたんだもんなぁ」と戸惑いつつも、腹八分のゴハンを食べて後からおなかが脹れてくような満足感を得て鑑賞も終わり。
結局何処までが「遊星王子のリブート」として合ってたのかもよく分からない(分かるとしたら当時の記憶がある凄く記憶力の強い御方か、テレビ版のDVDボックス持ってるマニアだけだ)が、取り敢えず平和な気持ちにはなったので、遊星王子は僕の平和を守ってくれたとは言える。ありがとう、遊星王子のおじさん!