「老いを描く」クライ・マッチョ maruさんの映画レビュー(感想・評価)
老いを描く
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飾らずそのままの自分をスクリーンに映し、世に出せる胆力はすごい。年老いていく自分を写真や映像で見るのは、現実をまざまざと見せつけられるも同然。90歳でその勇気を持つクリント・イーストウッドこそまさに「マッチョ」。どのワンシーンを切り取っても絵になりそうで、黒澤明ばりの映画愛を感じる。
ターゲットは60代なのではないだろうか。その世代全員に刺さりそうな素敵な大人のラブストーリー。終わり方が一番…なんというか…若い監督には出せない終わり方に感じられました。
国境の向こうで待つ恩人にその息子を託すシーンは、なんというか「選択」が。メキシコとアメリカの国境を越えることで、それぞれの登場人物の「選択」を表現しその後の人生を鑑賞者に委ね映画を終える。このシンプルなセットにカメラワークなんですが、間が、表現が、…もう渋すぎます。
生きることの当然として老いを表現できるクリント・イーストウッドが、カッコ良すぎる。映画を見ていて動きや台詞、視覚的にどうしても「年老いた」と印象づくのは仕方ないが、それはクリント・イーストウッドとして見ているのであって、役どころの「マイク」として見れば違和感ない。監督と同い年、または近い年の人ほどこの凄さがよりわかるはず。
特典インタビューでも「70歳だけど」とおどけて見せていた感じが、格好良さとチャーミングさも素敵です。すっと元気をもらえる映画。
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