「50年撮り続けたからこそ為せる技、その見事さが余韻に」クライ・マッチョ たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
50年撮り続けたからこそ為せる技、その見事さが余韻に
「クリント・イーストウッド、いい歳の取り方してるな…」とずっと思って観てた。漠然と日々を過ごしているのだけど、その中にある歳の取り方に愛嬌があって凄く心地良かった。
何かこう、永く映画を撮ってきた人の悟りを観たというか、説得力というか。晩年と言うと怒られそうだが、若さに勝るものを知っている人だと感じた。まだまだ…!と聞こえてきそうな邦画の監督さんには無い視点。器の大きさが滲んでいるし、映ることの意味を知っているからこその趣きがある。途中寝ちゃったのに満足感は高い。寝たのは自分が悪いけど。笑
クリント・イーストウッド監督はまだ冒険を続けるつもりなんだろうし、良い映画を撮りたいとする風格は伝わる。同時に滲む、感受性の豊かさが渇いたメキシコに息づいている。カウボーイとしてのカッコよさもあり、届かない風貌も兼ね備える。マッチョの抱く強さを否定せず、こういう形の強さもあるのだと忍ばせる。そこが何とも粋というか、達者というか。その代わり、場面の因果は少ない。割とプラスに働いていたのがまた面白い。
器用さとブレない強さ。50年も最前線に立ち、カメラを通して自分を写してきた人だからこそ醸成された価値観。見事だなぁ…。
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