「イーストウッドだから成立する映画ですね」クライ・マッチョ デビルチックさんの映画レビュー(感想・評価)
イーストウッドだから成立する映画ですね
一言で言うと、クリント・イーストウッドの映画ですね。イーストウッドが監督と主演を担当するから作られたのだろうし、彼が主演じゃなければ面白さが半減してしまうかもしれない。そのくらいイーストウッド頼みの映画だと思います。
まず古くさいんですよ。この作品の舞台は1980年のメキシコと40年以上も前ですし、イーストウッドが演じるマイクが元ロデオのスターという設定も古いです。テーマ自体は「自分の生き方は自分で決めよう」という普遍的なもので、今制作する意味がないとは言いませんが、果たしてこの設定や題材を今やる必要があるのかというと、疑問符をつけざるを得ません。
もしかすると今でもアメリカやメキシコではロデオやカウボーイが、13歳の少年にとって憧れの存在になりうるのかもしれませんが、ちょっと考えにくいですよね。それなら1980年を舞台にする必要がありませんし、もっとカウボーイの情報が日本に入ってくるはずですしね。野球のスター選手とかでも良いのにロデオのスターにしたのは、主演が『荒野の用心棒』などの西部劇で名を馳せたイーストウッドだからでしょう。
で、僕もそうなんですけど、イーストウッドというだけで観に行く人たちがいるんですよね、世界中に。たとえコケてもある程度の収入が見込めます。だから古くさくても企画が通るというのはあると思います。
ただ、悪い作品ではないです。多少の疑問点はあるものの、うまくまとまっています。ヒーローが少年を助けに行って新しい世界に送り届け、自分は地元の女と恋仲になって留まるという王道の流れです。ピンチが弱いのと、少年が意外にあっさりとマイクについて行くので盛り上がりに欠けますが、まぁ楽しめました。
それにしてもイーストウッドはどんだけ元気なんですかね。監督として映画を一本作るだけでもすごいことなのに、主演までして、しかもちゃんとカッコいい。とても90歳を過ぎているとは思えません。たまにヨボヨボしてて「別の俳優を使えばいいのに」と思ったりもしましたが、最後まで観たらやっぱりイーストウッドでなきゃダメですね。説得力が違います。彼でなきゃ少年もついて行かなかったでしょう。
僕もあんなじいさんになりたい。恋愛しても違和感のない90歳って、羨ましすぎですよ!