「【居場所】」クライ・マッチョ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【居場所】
自らの居場所を探すロードムービーであると同時に、人間はいつでも成長し、希望を持てるのだとクリント・イーストウッドは言っているような気がする。
アメリカとメキシコの国境の出入りがゆるゆるだった1970年代の終わりに時代設定しているところも、どこかクリント・イーストウッドの意図的なものを感じる。
現在のアメリカとメキシコの不法入国者を巡る緊張関係とは随分異なっていて、それほどギスギスするようなことなのかと疑問も投げかけているようにも思える。
クリント・イーストウッドの作品は、示唆的だが、物語としては、どちらかと云うとストレートな内容だ。
この作品では、旅をともにするラフォの成長と、旅をともにするうちにマイクに芽生える再び意志を持って生きようとする気持ちの変化にフォーカスが当てられているが、マイクが古い考えに縛られずに、ラフォの成長を見守り、更に自ら選択するように促す姿が印象的だ。
自らの人生を過度に美化せず、また、過度に否定することもなく、そして、押し付けず、ちゃんと選択できるよう促す。
上の世代の下の世代に向けた重要なアプローチの仕方だ。
最近、日本の企業には、取り敢えず、他の人のアイディアや意見に、あれこれ難癖をつけたり、否定するような傾向が多くあって、これが日本の企業の発展を阻害している大きな要因のひとつだとするTVのニュースや特集を見かけた。
そんな傾向のある人に是非見て欲しいと思う反面、そんな人は、この映画を観ても何も感じないのかもしれないと思ったりもした。
まあ、最後のマイクの選択は良いよね😁
佳作だと思います。