「過去は取り憑かない、人が過去に取り憑くのだ」レミニセンス サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
過去は取り憑かない、人が過去に取り憑くのだ
日本の大作、アメリカの大作が同日公開!
どちらも楽しみにしており、まずはアメリカの大作である本作から鑑賞。クリストファー・ノーラン監督の弟である、ジョナサン・ノーランが制作。TENETは中身は複雑すぎてあまり面白くなかったが、かつてない映像体験という面ではピカイチだったので、予告を見た感じからして今作もそんなのが見れるのかと思い期待して見ることに。
中々面白いです。
TENETのような衝撃度や映像体験は無いものの、ワーナーブラザーズの大作ということもあり、やはり質は高く非常に楽しめた。
都市が水没し水に覆われた世界。未来に希望を持たず過去に縋り付くようになった人々は、記憶に潜入しその記憶を時空間映像として再現する「記憶潜入(レミニセンス)エージェント」のニック(ヒュージャックマン)の元へとやってくる。
独特な世界観の雰囲気はクリストファー監督とも非常に似ているなと感じた。冒頭シーンから不思議と引き込まれ没頭させる。この感覚、どう言葉にしていいか分からない。とにかく、楽しい。これを求めていた...。前半の面白さはかなりのもので、かなりハマった。
主演のヒュージャックマンの演技が光る。
グレイテストショーマンも何も見たことがなかったので初めて見たのだが、凄く渋くてカッコよくニックに適役だなと思った。焦って飛び起きるシーンだったり、キスシーンだったり、どれもこれも演技しているようには見えず「いい役者だなぁ...」としみじみと感じた。
名言だらけ、良曲だらけ。
最初と最後で繰り返される言葉。重みが違い説得力も違う。確かになぁ、と思える名言が沢山あってこれらのおかげでこの映画に深みが出ている。過去に縋る、未来を生きる。ラストも2019年を代表する作品にそっくりで、趣深くとても好きだった。
しかし、続きが気にならない。
主人公のニックの行動に好感がもてず、どうなってしまうのだろうかとあまり思えない。スッキリ解消されたように見える脚本だが、結構雑で無理矢理な部分もあって何だか思ってたのと違った。
トータルで考えればそこそこ面白かったのだが、やはり予告が面白そうすぎた。予告の期待を超えることは無かった。最近のアメリカ映画あるある、映画が予告を越えない。緊迫感、ワクワク感がいまひとつでラストに近付くにつれて失速していき、冗長に感じた。
人に勧めるか非常に迷う映画。
個人的にはそこそこ満足。
次に見た「日本の大作」が面白くて印象が薄れてしまったが...笑