劇場公開日 2022年12月3日

「リアルさとアニメの世界が融合した不思議な時空間」THE FIRST SLAM DUNK 屠殺100%さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0リアルさとアニメの世界が融合した不思議な時空間

2022年12月26日
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全国大会の山王戦はアニメ化されてませんでしたね!遂にアニメ化。スラダンファンなら誰もが観たいはずで、リアルタイム世代でなくてもスラムダンクを最高の漫画だと言う20代はざらにいますし、スラダン人気冷めやらずで、満を持してのアニメ映画化。

そしたら、なんと、TVアニメではコメディ寄りだったスラダンが、シリアスドラマに様変わり。

主役はコメディキャラの桜木花道から、なんと、宮城リョータに変更!

宮城リョータは、TVアニメでは、桜木に次ぐわちゃわちゃ感をもったコメディよりの明るいキャラだったのに、物凄いつらい過去とそれによる傷を抱えた母子家庭ということで、まったく別人。

マネージャーの彩子ちゃんに、あやちゃん、あやちゃん言ってて、バスケよりも恋愛熱が強い感じで、騒がしくて女たらしでチャラチャラしてて、要領のよさそうな宮城リョータが、暗くて物静かでプレッシャーに弱いキャラになってしまい、声優もまったくちがってて、朴訥さが際立った声に変更され、井上さんのもう一つのバスケ漫画リアルに出てきそうなキャラに変身。

スラムダンクは、背が高すぎるイケメン高校生(赤木は顔が黒人ですし)が揃いすぎていて、ものすごくリアリティを欠いた、イケメンファンタジーバスケ漫画だったなかで、宮城リョータだけが背が低く、顔はそれなりにカッコいいけど、流川、三井、桜木のような絵に描いたようなイケメンではなかった。

つまり、唯一現実に存在しそうなキャラとして、リアリティの片鱗をうかがわせるリョータを主役にし、渋い過去つまりリアルな過去を抱えたキャラにして実写ドラマ感に寄せたそのセンスが素晴らしい!あるいは、スラムダンクをもう一つのバスケ漫画のリアル路線でやってみたかったんじゃないでしょうか?

TVアニメ版スラダンにあった、小さくディフォルメされた桜木、流川やゴリラ化した赤木がおどけるコメディ要素は全くなく、コメディ部分は、リアルな安西先生のほっぺや顎のお肉いじりくらいにとどめ、桜木の声も、TVアニメでは、草尾毅さんの明るく高めの声で笑いを誘う感じが強かったのですが、声優が変わって低い声にチェンジ!

とにかく、実写ドラマ寄りのアニメとしてリアリティを追求してます。

宮城リョータのかかえる結構な苦労とそれに立ち向うためにバスケに打ち込んできた努力が報われリアリティあるキャラのリョータがアニメにしか存在し得ないイケメン3人(流川、三井、桜木)とゴリ赤木を引っ張り山王に挑むという不思議な時空間を生んでいて素晴らしい!リアルとアニメ時空間がクロスオーバーしてます。本作の見どころはこのクロスオーバー感でしょう。

屠殺100%