「賛否割れるのが痛いほどわかる」THE FIRST SLAM DUNK ワッフルマンさんの映画レビュー(感想・評価)
賛否割れるのが痛いほどわかる
見てきました。原作読んでから見ました。
想像していたよりもしっかりと見れましたし、また面白かったです。
でも、「うあ~~~スラムダンクってこれだよ!!最高最高!!」って感じは薄かったです。
クソ…というほどでも無しですが、もったいないというか…
たとえ話、富士山を山頂まで登って「着いたぞ~~~!!!」というよりも、八合目とかそれくらいまでは車で走って、そこから登った感じ…
今作だけでは未消化な感じがして否めません。続編があるのか…。
【よかった点】
・オープニングの湘北、対戦相手の山王が出てくるシーン
・沢北、半端ないって
・ラスト1分を切った時の試合展開(化粧水のCMを彷彿とさせました)
・宮城の過去(重い)
・スラムダンクで観るバスケ、面白い
・新キャスト、深い違和感はそこまでない(でも気になるキャラはいる)
【気になった点】
・知ってるスラムダンク<宮城<<<バスケの試合(作者のバスケ愛が強すぎる)
・試合の合間に宮城のストーリーが入ってくる。
・宮城視点ゆえスラムダンク全体としては、あっさり感。
・山王工業の魅力半減(沢北以外がもはやほぼモブ)
・名セリフ、名シーンの魅力が薄い、ほぼない
・魚住がログアウトしました
・桜木がただのバカに見えている気がしてならない
・結局考えてしまう、キャスト変更不要説
・宮城の設定がどうも後付けor作者が設定を忘れたかに感じる(バイクの事故、転校時期など)
・え、海外行くの(渡米した沢北と対峙しているのが流川ではなく、宮城)
【以下雑多に】
宮城に関しての過去はOK、よく分かった。
むしろ、作者が宮城のことが好きすぎるくらいにその愛は伝わってきました。
「こいつ、本当によく頑張ってるんですよ!!!」と。
個人的には、新しいスラムダンクとしての位置づけなのだろうと思いました。
なので、初見さんにも入りやすい(原作があるという点から原作を手に取りやすくする)、原作を知っている古参には物足りなさはあるものの、山王戦という最高の舞台でのジャイアントキリングを。
しかし、後者からすればやはり物足りないのです。
試合はすごく面白い分、物足りなさがないわけではない。
率直に言って、映画は
「原作で描けなかった宮城の過去と、宮城にとっての山王戦」そして取り巻くゆかいな仲間たち(の原作で語られていないところも描くよ)です。
今回の映画は山王戦でなくてはならない理由が「宮城の兄が山王に勝つことを目的としていたから」ということで、映画の対戦相手が山王で確定したとは思います。
しかし映画で山王戦を描き切るには時間が足りな過ぎるというか、宮城と山王戦を抱き合わせにして描くには足りない気がします。
原作で最高の試合だから。それぞれの想いが一つになっている山王戦だから。宮城だけに片寄って書くには映画では足りないのかな…とか。
ただ宮城の過去含めての置き土産が大きすぎたな~…というか、オリジナル要素結構ぶち込んだな…と、特にミッチー。
ミッチーが実は中学生の宮城と1on1してたとか、ミッチーを兄と重ねて見ているとか、ミッチーが度々入ってくる部分の位置付けが原作と少し異なっているように思え、パラレルワールドのスラムダンクのようになっている感じもしました。他にもオリジナルで追加された要素が突発的すぎた上に、いろいろと置き土産だな~…と感じました。
原作でもぶっちぎりの天才である流川楓については本作でも特に触れられず、「とりあえず天才」。
名シーン、名台詞カットの数々。
あれは原作者からすると要らなかったのか、バスケという部分を引き立たせる、今回主役の宮城を引き立たせるためには不要だったのか、魚住は存在自体カットされてます。大人の事情でしょうか。
声優キャストの件については違和感なく見れたのですが、ただどうしても「アニメとは別次元のスラムダンク」を見ているような気がしてなりませんでした。
アニメのスラムダンクキャストが自分としても1番好きなので、パラレルワールドのスラムダンクというか。にしても、重すぎやしないか。宮城リョータに背負わせ過ぎじゃないか。
キャスト変更については邪推ですが、作者自身がアニメ版スラムダンクによってもたらされたイメージ脱却・払拭が目的だったのかな…と思います。
キャストに関して作者が出されたコメント、声明も見ましたが…納得以上に「だったら、アニメで使ったキャストを使うという選択肢を残しておいてもよかったのではないか」と、どうしても思ってしまいます。笠間さんが三井の声を当てられていたのは、嬉しかったですが。
個人的に、1番残念だったのは安西先生のお声です。
あと何よりも、制作委員のプロモーションが残念過ぎて、悲しいです。
・キャスト変更に関してのお知らせは後出し
・あらすじは出さない(山王戦であることを隠すためだったとは思いますが)
・どうでもいいスタッフインタビューの数々、作品の魅力を発信するなど無し
音楽はよかったです。今夜聴きたいと思います。
ただ見た映画館では、音響がうるさく感じられました。
CGは予告ほど悪くはなかったです…多分、スクリーンの大きさもあるのでしょうか。
ただ、気になるところがないわけではなかったです。
未消化な部分がないわけではなかったので、続編などが出て伏線回収のように回収されるのか、そうでないのかでも、今作の評価は変わりそうです。