「井上雄彦自身による新しい切口のスラムダンク」THE FIRST SLAM DUNK Duchampさんの映画レビュー(感想・評価)
井上雄彦自身による新しい切口のスラムダンク
## 漫画スラムダンクの魅力とは?
個人の意見だが、漫画版の魅力が何だったのか改めて考えた。
端的に、この漫画の魅力は(特に後半)展開・人物描写の無駄のなさと圧倒的画力・演出力に尽きると思っている。
バックボーンの必要以上の掘り下げ(勿論無くはないけど)が無くても、試合中のプレイとかちょっとした掛け合いだけで、キャラクターの性質というか生き方みたいなものまで120点表現している。
特に後半は試合以外の無駄な要素を極力削ぎ落として、井上雄彦の圧倒的画力と巧みな演出で完全に虜にされた。
誤解を恐れず言うなら、余計なものを描かなかったからこそ、読者がキャラクターに対して想像できる余地が生まれ、感情移入たのではないのだろうか。
##主役宮城リョータの山王戦!!
そして今回の劇場版について、
昔のアニメの超絶アップデート版を作るのかと思ったが、、、まさかの宮城リョータ視点での山王戦とそこに至るまでの過去編という構成!?
実はバスケエリートの兄と死に別れた辛い過去があったとは思わなかったし、親子関係の修復とかもめっちゃ( ;∀;)イイハナシダ-だったし、バスケが生きる支えだったってセリフもよかったんだけど。。
申し訳ないけど、それ今更必要なのか?と思ってしまう。
もうこれを観てしまうと、前と同じように宮城を見れなくなってしまう。
自分の中では、ちょっと不良だけどバスケが上手い、いつもクールなリョーチンでいてほしかった。
勿論、劇中ほぼ明かされなかった彼のエピソードを令和4年に観れるだけでこんなに有難いことはないのだが、気持ちとしては正直複雑。
宮城はマンガの描写だけで百億点のキャラクターだと思っているので、正直それの描写って必要なよのか?と思ってしまった。
勿論、この背景が連載時から考えられてのあのキャラクターだったなら凄いと思うし、それを連載中に微塵も出さなかったのは更に凄いと思う。
しかしそれを今更観たいかと言われると別問題な気がする。
## 何故宮城の話に?
実はこの背景は連載時から考えられていたけど、劇中で描くタイミングがなかったのか?(あえて描かなかった?)
そういえば、花道も親父が倒れたエピソードがあったし、実は皆辛い過去があったのか?
正直連載でそこは掘り下げなくてよかったと思ってる。
##映像作品として
公開前に言われたのは何故3D??という話。
実際に観ると思ったより違和感はなかったし、かなり原作に寄せていて、3Dアニメの新たな表現になっていると思う。
(が、映像として驚きや快感があるかと言われると少し微妙か。)
監督は試合を2Dでやるのは無理〜的なことを仰ってたが、それは東映だから出来ない?予算的に出来ない?なのか?と思ってしまった。
もし昔のアニメの超アップデート版としての山王戦をやるなら技術的には可能なところはあるのでは??とも思わないではない。
あとは構成上仕方ないんだけど、一刻も眼を離せない試合の途中で回想が交互にくるのが辛い。
山王戦はどのシーンも見所しかないので、前半が大胆にカットされてたのが惜しい。前後編にするか、時間増やしてほしかった。(泥にまみれろよ、カットされシーンも観たい。)
もしくは過去編をやるなら別枠で観たかった。
##まとめ
色々文句も書いたけど、原作を知ってれば勿論楽しめるので4点。
終盤の怒涛の試合展開と、母親への向き合い方は凄くいい作品だった。