「SLAM DUNKは…お好きですか?」THE FIRST SLAM DUNK つさんの映画レビュー(感想・評価)
SLAM DUNKは…お好きですか?
「大好きです 今度は嘘じゃないっす」
この名台詞すらもカットされている映画です。
今、井上先生が僕らに見せたいSLAM DUNKがコレってことなら、それはそれで受け入れるしかない…というのが精一杯の譲歩です。
以下、居ても立っても居られず、この投稿をするためだけにアカウントを作った男の人生初のレビューです。
■内容
山王戦がベースにあると言いたいところですが、実態は宮城リョータの過去をベースに山王戦が差し込まれています。それ程までに本作の山王戦について、没入感は皆無です。
山王戦では、それぞれのキャラクターにフィーチャーしておりますが、ところどころ原作とは異なります。桜木の「大好きです 今度は嘘じゃないっす」カット、木暮の「…2年間も待たせやがって…」カット等…当然魚住も出てこなければ流川と仙頭のシーンもカットされておりますので、赤木が吼えるシーンも流川vs沢北も深みが全くありません。
山王メンバーについても、突然の河田弟出場、一ノ倉への言及がないので三井の疲労が伝わりにくい、深津がまるでモブキャラかのような扱い、沢北の過去カット等。
試合展開もかなりあっさりしており、桜木宮城の開幕アリウープも流す程度であり、きわめつけは流川のチャンスを斜め45度でパスを受けようとした桜木が潰したシーンはカットされておりました。(このシーンがあるかないかで、最後の「左手は添えるだけ」の重みが相当変わると思います)
いくら宮城メインの映画とはいえ、全く満足も出来なければ白熱もしない山王戦でした。強いて何か良かった点を挙げるならば、良くも悪くもリアルになっていたので、分かりにくかった動きが明確化したことくらいです。
■CG表現
賛否が分かれるところですが、少なくともSLAM DUNKらしさは無かったです。メインキャラはそれなりに見ることできましたが、最悪なのは応援先にいるモブキャラ。特に山王サイドは全員坊主で描かれていたので、坊主頭が同じ挙動を繰り返すという、令和の映画とは思えないレベルのCGでした。2010年台前半のパワプロの応援席を彷彿とさせます。
また、安西先生についてはCGとの相性が最悪で、あのデフォルメされた体型×CG=人間ではないナニカになっていました。そのせいで台詞が頭に入ってこず、全く集中出来ませんでした。
■声優変更とキャラクター
全体的に声優変更はさほど気になりませんでした。理由としては声優変更以上に気になる点が多々あったからです。
ただ、序盤桜木には全く慣れませんでした。画面に桜木が映っていて桜木っぽいことを誰が言っているものの、全くシンクロしていないと感じました。
それよりも、キャラ付けのほうが致命的であると感じました。SLAM DUNKといえば、熱血バスケ漫画の中に織り込まれるテンポのいいギャグが唯一無二の作品であると思っていますが、今回の映画のキャラたちは終始「ガチ」の顔をしています。声もギャグに向いていないので、ギャグパートは終始スベっています。そのスベりすらもギャグになっていないので、共感性羞恥に近いものを感じました。
■最後に
新規のファンは置いてきぼり、原作ファンは消化不良。誰のためのなんのための映画だったのか意味不明です。井上先生短編作品『ピアス』を愛する人、CGでバスケを見たい人、これから宮城リョータの同人誌を描こうと思っている人にはオススメです。
また、エンドロール後に宮城と沢北が海外でバスケをするシーンが描かれておりますが、僕が本当に見たい「その後の宮城」は湘北でキャプテンになった宮城でした。
今回の映画を一言で表すと
「自分たちのことを湘北メンバーと勘違いした、
どっかの知らない一般人のCGバスケ映画」です。
二回目、見に行ってきます。
こんなに笑ったレビューはありません。まさに私の想いを書いて頂きありがとうございます。
モヤモヤした気持ちが少しスッキリしました。
私もこのためにアカウント作りました笑