「美しい布を見ているだけで幸せ」オートクチュール talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい布を見ているだけで幸せ
手や指を見ただけで器用でお裁縫に向いているってわかるのかなあ。コレクション直前は特に汗かくから匂い消しのために「ミス・ディオール」をシュッシュするっていうのも技術が必要だと思う。距離とか高さとか回数とか。アトリエに一人、攻撃的で差別的な言動をする女性が居る。有能なトップの指導力とチームワークが大事な職場なのにそういうのありなのかなあ。仕事の前に必ず手をきれいに洗うのは当然として、煙草吸っていいのかなあ。本数によるけれどあれだけ吸ってたら指先に色はつくし匂いも染み込む気がする。起床後にまずチョコ、朝食のコーヒーには砂糖3個、仕事場でもちょこちょこ飴を舐めてる。食生活ガチャガチャの糖尿病だってすぐわかる。
住まいがパリかそうでないかで層とリッチ度がわかる。団地に住んでるのは殆ど移民。「最強のふたり」「レ・ミゼラブル」などの映画でさんざん見てきた。移民と「白人・フランス人」の分断は凄まじい。
でも、美しい絹、オーガンジーやタフタやシフォンを見ると胸がときめき夢の世界に入ってしまう。見るだけでもいいけれど触りたい。触っているだけで幸せになる着物と同じ。形は「指帽子」の指貫は銀色で美しかった。運針が滑らかになるように髪の自然の油を使うのは日本と同じ(由利徹の最強のネタの「裁縫芸」!これは色っぽい!)。最初のお稽古はまつり縫いなのかー、勉強になる。
エステルは外出時は黒地にグレーの入ったコート、黒のパンプス、黒のバッグ。それが毎日、毎日、毎日。上等で気にいっているものだから毎日身につける。エステルにとってもディオールのコートは高価なもの。大事にするからこそ日々着用は理にかなってます。
母と娘の間によくある共依存、娘を省みない母親、母親に認めてもらいたい娘の葛藤もテーマになってたけれど、ごく軽く振りかけられたミス・ディオール程度でした。
イギリス人から"Language!"と叱られそうな言葉遣いでした。一方でハイブランドの王道はフランスよ、パリよと自慢している空気とか、フリースやナイキの悪口も言っていてフランス人の意地悪さを感じてしまった。