アウトポストのレビュー・感想・評価
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アフガン戦争の最前線
後半の戦闘シーンは壮絶だった。
作品の前情報から、タリバンに総攻めをくらうのがわかっているため、いつ、どのようにして総攻めをくらうのか、そこに向かっての緊張感、ハラハラ感がある。
作品を見ていて終始感じるのは「なぜこんな地形のところに前線基地を敷くんだ?」ということ。
観ていて軍の上層部への苛立ちを感じる。
それにくわえて、部隊内の規律、情報に対する緊張感が途中から緩み出す。
最後のシーン、兵士それぞれへの受勲が表示される。
それがなんとも軍上層部への皮肉、この地に前線基地を敷いた軍上層部の失策を隠すものにもとれる。
戦時下における勲章の意味についても考えさせられる。
余りにも脆弱な前哨基地
CNNの辣腕キャスター、ジェイク・タッパー氏のノンフィクション小説『The Outpost: An Untold Story of American Valor(前哨基地:語られなかったアメリカ人の勇気の物語)』に基づいた実話映画。
テロ報復でブッシュが仕掛けたアフガン侵攻は2001年から21年の全面撤退まで最も長期の戦争となった。山岳地帯に隠れたタリバンとの戦闘は泥沼化、地の利のない米軍が苦戦するのはベトナム戦争の二の舞、案の定、制圧は困難でしたね。そんな戦闘の中、2009年キーティング前哨基地が300名のタリバン兵に襲撃されたカームデーシュの戦いを描いています。
素人目に観ても基地が山から一望でき襲ってくださいと言わんばかりの谷底の基地、銃撃程度なら凌げるもののロケットランチャーや迫撃砲を持ち出されては勝ち目はないのは明らか、上層部も見かねて撤退計画をたてるものの遅きに失したというわけでした。
前半は基地での兵士のスナップ、お決まりの下ネタ連発の他愛の無い雑談には僻癖でした、後半はタリバンに攻められて仲間が次々に倒れてゆく様をネチネチと描いています。なんとか空軍が駆けつけて壊滅は免れ、戦傷者に勲章のばら撒き、いくら奮闘をたたえても軍部の無能による犬死としか思えません。当事者でないので傍観者的鑑賞でしたが米国人にしてみれば怒り心頭の告発映画なのでしょう・・。
勲章を貰っても…
死んでしまったらおしまいではないか。しかも若くして。戦闘シーンがリアルで、とにかく長い。これこそ絶体絶命だと感じる。自国を直接守るためではなく、過酷な地で命懸けで戦う彼らをそこまで駆り立てるものは到底理解できない。この地に基地を築いた戦略ミスは許されるものではないと思う。
ブラックホークダウンの系譜に新たに連なる純粋戦闘映画
実際に本戦闘を経験した米陸軍兵士の著作「レッドプラトーン 14時間の死闘」が原作。 原作では読み易いようにあえて並び替えてあった時系列をある程度時系列順に整え直して戦闘が始まるまでの流れを描いており、主人公たちレッド小隊の前哨基地キーティングへの着任から離脱までを丁寧かつ苛烈に映像化している。 ブラックホークダウンとか好きな人には超お勧め
戦争映画によくある戦場の悲惨さとか異常さを脚本や台詞で声高に主張する説教臭さを抑えて実際に兵士たちが体験した戦闘を忠実に描いて観客に見せつけているのが好感を持てる。下手に脚本をいじらずに戦闘の様子をしっかりと画で見せてくれるので映画内で冗長さを感じることは殆ど無い。まあ元の小説から決まったストーリーのある話じゃないのもあるだろう
どうしても特定の教訓とかメッセージを当てがわれがちな戦争映画において珍しいブラックホークダウン以来の純粋戦闘映画だ。
もし映画を観て気に入ったら原作小説も読んでもらいたい。
実話だけど、脚色も多いのだろうな❓‼️
物語の進行と戦闘シーンからすれば全滅しそうな勢いですが。
それで五十人のうち七人の死者で済んだのは、奇跡なのか、盛りすぎなのか?
戦闘の細部はリアルだけど、多分、空爆までの時間は数分なんだと思う。
それなら理解できる。
でも、作戦が最悪なのを、勲章で目眩し。
空爆も、他所では、病院や学舎も壊滅させてるとは思う。
戦闘好きには暇潰しになるだろうけど、モヤモヤして嫌な気分になる。
住民からタリバンを引き離すのが俺たちの任務だ
映画「アウトポスト」(ロッド・ルーリー監督)から。
恥ずかしい話だが、アフガニスタンの騒動を、
あまり理解しないで、ニュースなどを見ていた気がする。
噂も含めて、裏事情はいくらでも想像ができるが、
表向きのアメリカの目的はなんだったのか?が、
現地の人たちと米軍兵との会話で、はっきりできた。
まず、アフガニスタンの住民が指揮官(大尉)に訊ねる。
「なぜ来た?」「40年も居座って」と詰め寄るシーン。
「いいや。違う。それはロシア人。俺たちは米国人だ。
住民からタリバンを引き離すのが俺たちの任務だ。
あなたたちが十字砲火を浴びないように!」
そもそも、タリバンは政府でもないし、
「イスラム主義・復古主義・反シオニズム・反共主義・
反ユダヤ主義・反西洋主義・外国勢力の排除」を掲げた
アフガニスタン全土で活動している宗教組織であろう。
こういう主義、主張に、テロリスト集団が群がり、
彼らの巣窟になることを恐れて、世界の警察である
アメリカがなんとかしなければ、と動いていた。
しかし、住民とタリバンとの関係は改善されず、
アメリカがその任務を放棄した・・という構図が
浮かび上がるのだが・・。
冒頭、壁に描かれた兵士のメッセージは、
・状況は良くならない(It does't get better)
そういうことなんだろうなぁ。
激戦を正確に再現
公開初日から5回鑑賞
何回観てもまた観たくなる
何故ここまで引き込まれるのか
実話だから?
戦争は正真正銘
本気のゲームだから?
登場する兵士たちのことが
もっと知りたくなって
主人公ロメシャ軍曹の著書
「レッド・プラトーン 14時間の死闘」
を読んだ
この著書は、目撃者の証言や
無線交信の記録などから、
戦いの展開や兵士の行動を
時系列で再現した
ノンフィクション作品
映画「アウトポスト」が
10月3日早朝からの死闘を
正確に再現していることがわかった
航空支援があと1分、2分遅れたら
もっと多くのタリバン兵が
基地に乱入して
米兵はあっけなく
全滅していたかもしれない
戦闘開始からおよそ2時間後の
本格的な反撃が
なんとか成功したのは
奇跡としか言いようがない
死と隣り合わせの戦場で
兵士達は
仲間を救うため
生き抜くため
純粋にただそれだけを考えて
瞬時に最善の方法を判断して
行動している
その瞬間を疑似体験したくて
戦争映画を観る
最後に
何度観ても一番好きなシーンは
(基地にいる間、自宅への連絡を断っていた)
ロメシャ軍曹が
奥さん電話をかけるところ
一瞬ホッとした表情に変わり
観ているこちら側も脱力して
あー終わったんだと
意識が切り替わる
53人の守備隊
最後に空撮で映し出されたアフガン奥地の山々の姿に呆然としてしまう。何のために、こんなところに前哨基地なんか作らなきゃいけないの?すり鉢状の谷底に基地なんて、頭オカシイ。
反戦要素、やや多め。
政府批判要素、ゼロ。
軍上層部批判要素、並み。
敵は悪魔!要素、ほぼゼロ。
突き詰めると、あの地で命を落とした兵士たちへの鎮魂。
生々しさはあります。戦闘シーンの迫力もあります。戦争映画としては普通ですかねぇ。
ドローンを使った撮影(渡り橋・総攻撃を受けた際の基地内)が斬新だったのと、兵士の荒い息遣いを重ねる音声の造り込みが良かったのと、なんと言ってもケイレブ・ランドリー・ジョーンズが良かったです。
短期間に大尉が二人も死亡すると言う異常な地。物語は2009年に起きた実際の襲撃事件を元にしています。タリバンは「軍隊」じゃ無いので、当時、2~300名が集まり、主要拠点でも無い場所を総攻撃すると言うのも異常な気がします。最初んとこで、資金・開発を約束して折衝しましたが、何かがまずかったんでしょうねぇ。
ラストの本人インタビューは印象的。トラウマを抱えて帰って来た者もいれば、誇らしく語る者もいる。米軍が、そこにいるだけで戦闘行為が発生してしまうのが、中東でありアフガンであり。つまりは、これは過去の終わった話じゃ無い。またいつ、どこで同じことが起きるか分からないよ、って事で。
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3/29 追記
ちょっと萌えた場面について。
入り乱れた乱戦の中、クリント軍曹は丘の上にタリバンの狙撃兵を発見します。手にしていたのはM-4カービンとM203グレネード・ランチャーのコンビ。咄嗟に、そばに倒れていたアフガニスタン兵士の狙撃銃FPKを拾い上げます。
FPK(PSL)は、AK-47を元にルーマニアで設計・製造された狙撃銃。アメリカ陸軍の軍曹が、旧ソ連のカラシニコフ・コンツェルンを起源とするFPKを手にして、丘の上の敵狙撃兵を倒します。逆狙撃に成功した後、FPKを「ポイ」と投げ捨てる姿に萌えですわ。
ち。敵のライフルに頼っちまったぜ。
的な。
似たような題材が多くある中で
ストーリーは、タリバン流出防止のために山岳地帯に前哨基地をおいたアメリカ軍が敵の大群に襲撃され、撤退するまでの話を実話に基づいて描いたもの。
複雑な話はほとんどないため、あまり考えずに映画をみることができた。また、隊員が家族に電話するシーンがあったが、ここから大きな戦いが始まるんだ、という緊張感や臨場感がありこの手の手法は割と好き。
中尉が評価されてたけど、他の隊員やローはもうちょい評価されるシーンがあってもよかったんじゃないのか?というのは思いました。
もの凄い臨場感
告知をあまり大々的にやっていないこと、タイトルが理由を知るまではパッとしないことなどから、正直鑑賞を始める瞬間まではあまり期待はしていませんでした。
しかし、映画を観進めるにつれ、どんどん作品の世界観に引き込まれ、気がつけばあっという間に上映時間が終わっていました。
こちらの映画、事実を基に作られているお話だそうです。
あくまで個人的な見解ですが、今まで観てきた戦争系のジャンルの映画としてはベスト3に食い込む素晴らしい作品だと感じました。タイトルにも書きましたが、とにかく臨場感が凄いです。カメラワーク等、製作陣の細かい設計があってこそなのだと思いますが、自分がそこに居るかのように感じられる一つの理由として、ワンカットの長さがあるように観ていて感じました。
専門家ではないので、細かいことは解りませんが・・・。
自分がその場で戦場を体感しているような、そんな感覚に包まれます。
爆発音や映像の迫力もそうなのですが、こちらの映画の1番の特徴はこの「体感している感じ」を味わえることではないかと思います。
日本人では理解しにくいような、米国軍人社会独特の規律やチームワーク、友人や家族、ペットとの愛情・関係の深さを感じさせる構成が随所に散りばめられており、色んなシーンで感動しました。
トレイラーを日本向けに作り、もう少しでも告知を行えばもっと反響を呼ぶ作品になるようなきもするのですが、私がその「告知」を目にしていないだけかも・・?とにかく、どんな世代の方にもお勧めしたくなる、とても素晴らしい映画でした。
ハッピーエンド的な終わり方ではありますが、事実に対して忠実に作られている映画なので、とても切なく・悲しい瞬間が幾つもありますし、そこが尚更リアリティを持たせているように感じました。
エンドロールの場面で、演じた役者さんと本物の軍人の方の対比画像が流れますが、どの方もとても良く似ておられ、驚きました。
史実系の映画では登場人物の風貌を本物の人物に似せることは良くありますが、この映画は複数の人物が皆一様に似ており、作品作りに対するこだわりの強さを感じました。
「体験型映画 / 作品」ではありますが、限りなくドキュメンタリー映画に近い作品です。
アメリカ陸軍の歴史が変わるきっかけになった戦地の話をこうして知ることができ、とても感慨深い思いです。また必ず観たい映画です。
最最最前線
戦争映画は「1917」以来です。あまり宣伝自体はされてないながらかなり楽しみにしていました。
前半は言い争いのシーンが多く、たまにある敵の不意打ちもそこまで激しいものではなく、でもなぜあんなに弾を避けれるのかも謎です。少々退屈でした。でも指揮官が変わるたび態度の変わる兵士の様子は良かったと思います。
それでも後半になると雰囲気は一変し、タリバンの兵士が一斉に戦闘を仕掛けてくる見ものな銃撃戦が始まります。リアルに首や頭を撃ち抜かれ死んでいく様子も中々リアルで良かったです。様々な銃を駆使し、タリバンの兵士たちを撃ち抜いていく様子は爽快でした。でもタリバンの兵士の方がかなり不憫だなとは見ていて思いました。
カメラアングルもFPSゲームのような視点で、ぐわんぐわんと動き回るのでとても見応えがありました。
兵士の中でもカーターが臆病者ながらも仲間を率先してる助けていく描写が成長を感じられてる良かったです。
鑑賞日 3/15
鑑賞時間 8:55〜11:10
座席 E-5
銃撃の雨
とある前哨基地の話
なのだが…立地条件が最悪だ。
すり鉢状の低地にあって、360℃崖に囲まれてる。奇襲はかけ放題だし、攻略も容易に思う。
事実、小競り合いは頻繁に起こるし、小規模戦闘は日常茶飯事な様子だった。
戦闘シーンに期待して観に行ったのだけど、兵士の日常が映されるばかりで前半は睡魔の餌食に。
けれど、彼らが基地を引き払う前の大規模戦闘が始まると息つく暇もない。
銃弾は雨のように降り注ぐは、爆煙はそこかしこで上がるわ…戦場の真っ只中にいるようだ。
臨場感が、半端ない。
とても高性能でコンパクトなステディカムによる追走は目を見張る効果があって、この臨場感の演出に多大に貢献してたように思う。
爆煙の中にカメラは突っ込むは、超至近距離で着弾による爆煙は上がるは、戦闘表現は見事だった。
今作は圧倒的に不利な条件下で勝利をおさめた米兵達の話ではあるが…数多ある戦闘の一例には過ぎず、エンドロールで映し出される戦死者の年齢は20代前半が多数をしめる。
勿論、彼等は志願するのだろうし、誇りも持っているのだろうと思う。だけど本作は、その果てを冷酷に映し出す。
「死」だ。
一切の時間が止まる。
死んだ事を自覚する間もなくだ。
その死をもたらす殆どが流れ弾だった。
何かに躓いてこけたのかと思う程、あっけなくその兵士の時間は止まる。
苛烈な局地戦の一部始終を目の当たりにしたように思う。冒頭、登場人物達にテロップが入る。俺には全く見分けはつかないのだけど、データに埋もれていく数値ではなく、命を失った個として認知されるべきというメッセージにも思える。
戦場に待っているのは勝利の栄光だけではない。
勝者の数以上に敗者がいるのだ。
エンドロール最中に、実際その戦闘に参加してた兵士達のインタビューがある。蛇足に感じる人もいるだろうが、最後まで観る義務もあるんじゃないのかなと感じた。
と…何気に崇高なメッセージを感じながらも、寝てしまったので映画的には☆3.5だった。
切ない
実話を基にした映画で、ご本人が本人役で出る作品は初めて見たと思います。
鑑賞中は分かりませんでしたが、エンドロールに沢山情報が出るので、この映画は必ずエンドロールまで見たほうがいいと思います。
防御力の低い、作るべき立地になかった基地で、ここであんな戦いが無ければ、あの若さで亡くならなかったかもしれない若者達の、実際の写真も出てくるのでなんとも切ないです。
それはどの戦争でもそうかもしれません。
そして映画では描かれませんでしたが、アメリカ軍の空爆で一瞬で亡くなった敵方の人達にも1人ずつ家族がいたはずなので、もうとにかく戦争が全部無ければいいのに!!と思いました。
誰も、こういった戦いで亡くなってほしくない、と思いました。。
クリント.イーストウッド 氏の息子さんと生き残った兵士が語るエンドロールにも注目
銃撃戦の迫力は想像以上にあり、兵士達の男臭さや、素の姿は魅力的だった。フォークギターでの弾語りのシーンがあり、屈強な逞しい腕の兵士がフォークギターを抱えて歌うシーンはカッコよく、なかなか上手くて耳に残りました。しかし、何故あんな敵から狙われやすい山に囲まれた基地を構築したのか?そこに基地を構築するよう命じた司令部は無能なのか?せめて航空支援が即応できる体制を整えて置く事ができなかったのだろうか?亡くなった兵士の殆どが二十代の若者である事も無念でならない。エンドロールでの生き残った兵士のインタビューがとても切なかった。当時の生き残った兵士をこの映画に採用しての出演はありのままを伝えたかったのだろう。クリント.イーストウッド氏の息子さんが出演しているのも映画の見どころです。
亡くなった兵士たちへ
敬意とご冥福をお祈り申し上げます。
四方八方からタリバン兵が襲ってくるクライマックスの戦闘シーンの臨場感は凄いが、何となく西部劇を観ているような錯覚に陥るきらい有り。
①クライマックスの延々と続く戦闘シーンの臨場感は半端ない。編集の勝利であろう。ここを観るだけでもこの映画を観る価値は有ると思う。②ただ映画として冷静に観た場合、★四つは上げすぎかも知れない。(アフガニスタンに駐留している米軍兵士に個人的な思い入れがあり、それを加味しています。)最近多い『実話に基づいています』映画と同じく、それに甘えて話の背景(何故アメリカ軍がアフガニスタンに駐留してタリバンと戦っているか等)は殆んどはしょられている。だから、戦争映画というより西部劇みたいな印象を受けたし、タリバンの兵士たちはまるでインディアンみたいな扱い方。③あんな「どうぞ、攻撃してください」みたいな場所に前哨基地を作った米軍の愚かさは戦争・紛争の混乱の中では有りがちだが、そこに配置された兵士たちの緊張感はよく描かれている。一方、そこに撃ち込まれたら終わり、みたいな大型武器をタリバンが持っていないのが途中まで説明されていないので、思うほど兵士たちに恐怖感が無いのに最初は違和感を覚える。④スコット・イーストウッドはクリント・イーストウッドの息子だけあって、「こいつは最後まで死なないだろうな」と確信させるキャスティングは痛し痒し。⑤死んだら勲章なんて貰っても意味ないだろうと思うのは軍隊のない日本人の勝手な思い込みで、軍人の家族・友人にとっては彼(彼女)らが確かにこの世にいたというよすがに成るものなのだろうとも思った。⑥実際に配置された(戦死した)兵士たちの多くが20台の若者たちなのは悲惨な限りだが、扮するのが兵士たちの不安感・緊張感・恐怖感・戦闘中の緊迫感を演じられるもう少し年嵩の俳優陣なのは仕方がないだろう。
【”天国の門、地獄の門” 飛び交う銃弾、RPGがアウト・ポストに降り注ぐシーンの激烈さに震撼する作品。個性派俳優、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズが新たな一面を見せた強烈な反戦映画でもある。】
ー 米陸軍がアフガニスタン北東部カムディシュに設けたアウトポスト(前哨基地)。
タリバンの攻撃を考えると、何故あのような山に囲まれた窪地に米陸軍は、当時、基地を構えたのか・・。
冒頭、この基地は、その脆弱性ゆえに、全滅した南北戦争時の英雄、カスター将軍の名にも例えられている・・。-
■感想
・前半は、”真綿で首をゆっくりと絞められているような”、嫌な雰囲気が観ている側を包み込んでくる。
基地に赴いたロメシャ軍曹(スコット・イーストウッド)は、基地を取り囲む急峻な山々を見て、絶句する。
無理に明るく振舞う54人の兵士たち。
司令官、キーティングはタリバン制圧よりも、現地部族の長老たちへの懐柔を謀ろうとするが、あっけなく事故死。
その後も、新しき司令官が来るが、兵士たちとの距離は縮まらず・・。
- 前半は、散発的に攻撃してくるタリバン兵の銃撃や、仲間が爆殺されるシーンを時折入れつつ、観る側の不安感をあおる・・。PTSDになり、帰国する兵士。
そして、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ演じるタイ・カーターは、誤って銃弾を運ぶ間抜けな役として描かれる。
”直ぐに殺されるのだろうな・・”と不謹慎な事を考えながら、嫌な気分で鑑賞続行。-
・後半は、急転し、今まで姿を見せなかったタリバン兵が、大量に現れ、山を降りてくる。
飛び交う銃弾、RPGの雨霰。物凄い迫力である。
次々に斃れていく兵士たち。
多くの兵士たちが死を覚悟する中、短パン、Tシャツのタイ・カーターは、命懸けで地面に倒れている瀕死の仲間を一人、又一人と安全な場所へ運ぶ。正に、必死の形相で・・。
- ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、畢生の演技である。少し、涙が出る。前半、馬鹿にされていた仲間を必死に救おうとする姿。ー
<今作は、キャスティングとしては、”スコット・イーストウッド”が主役なのであろうが、私の中では完全に”ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ”が主役だった作品。
彼は、「バリー・シール/アメリカをはめた男」では、ジャンキーを。
「ゲット・アウト」では、不気味な一家の不気味な長男を。
「スリー・ビルボード」では、滑稽な小さな広告代理店店主を演じてきた。
所謂、個性派俳優である。
今作でも、個性的人物を演じているが、人として遣るべきことをやった崇高な男を演じた姿、命懸けで助けた男が、結局死に至ってしまった事を知った時の表情は、暫く忘れられそうにない。
エンドロールで、当時の様子を語る元兵士たちが語る通り、今作が強烈な反戦映画であることは、言うまでもない。 ー 一部の方は、出演もしています。 ->
臨場感溢れる体験型ムービー
非常に臨場感溢れあの世界観に没入でき、見応えが非常にある体験型ムービーであった。
2009年アフガニスタンに設置された米軍基地の実話作品。
冒頭から丁寧に相当数の兵士の名前が紹介される。最初は違和感を覚えたがきちんとエンドロールでその理由が回収される。
この作品の魅力は臨場感が非常に溢れているところだ。いくつかの兵士をピックアップし彼らの物語を描くのではなくあくまで舞台となったキーティング前哨基地での出来事だけを描く。
その為前ぶりもなく敵から攻撃を突然受けたり、さっきまで元気だった兵士が瞬時に亡くなったり、兵士同士の会話なんかも含めて全てにおいて人が手を加えたストーリー性を感じることなくあの場に自分もいるかのような臨場感を楽しめる。結構早い段階でこの作品に没入してしまってる自分がいた。
戦争映画である以上もちろん敵を攻撃し破滅していくのが主となる展開ではあるが、やはり戦争である以上こちら側も攻撃を受け、そして多くの負傷者も出る。
どんなに絶望的な致命傷を負っても見捨てる事なく、生き絶えるまで仲間の助け合いが描かれているがその姿はとても美しい。
最後にエンドロールではキーティング前哨基地にて亡くなった兵士の紹介がなされていた。
やたら冒頭から相当数の兵士の名前が紹介されていたのはこの為であった。
生存問わずこの舞台に携わった兵士全てに強い敬意を感じ心動かされた。
戦争映画は数多く存在する。
一人の兵士にスポットを当ててその背景や物語を感じ、兵士の前に一人の人間である作品もまた楽しいものだ。
それらとは異なりこの作品のように徹底した臨場感溢れる戦場を、そして最初から最後まで兵士である勇敢な姿を描かれたこのタイプの作品もまたとても見応えがあり楽しいものである。
戦争、戦場とは程遠い生活を送れているからこそこういう作品を見て少しでも彼らのような勇敢な人間を理解し、そして敬意を持ち続けたいものである。
すごかった
アフガン戦争の実話の映画化だそうで、タリバンの大群に襲われる地獄絵。7人が戦死したとのことだったが、20人くらい死んでいるような感じがする。命がいくつあっても足りない。銃撃戦で死ぬだけでなく、トラックが崖から落ちても死ぬ。しかも隊を仕切っている上官が自ら運転して死ぬ。それほど危険な任務を部下には任すことができないという責任感だったのだろうか。もっと早く戦闘ヘリに来てほしいし、そもそも備えて近くに配置しておいて欲しい。
個人名が最初に出たのだけど全く把握できないまま最後まで終わる。2回か3回見ると発見が多そうだ。ほぼ女っ気がなくて、アフガン人の死体とカウンセラーだけだった。
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