アウトポストのレビュー・感想・評価
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ブラックホークダウンの系譜に新たに連なる純粋戦闘映画
実際に本戦闘を経験した米陸軍兵士の著作「レッドプラトーン 14時間の死闘」が原作。 原作では読み易いようにあえて並び替えてあった時系列をある程度時系列順に整え直して戦闘が始まるまでの流れを描いており、主人公たちレッド小隊の前哨基地キーティングへの着任から離脱までを丁寧かつ苛烈に映像化している。 ブラックホークダウンとか好きな人には超お勧め
戦争映画によくある戦場の悲惨さとか異常さを脚本や台詞で声高に主張する説教臭さを抑えて実際に兵士たちが体験した戦闘を忠実に描いて観客に見せつけているのが好感を持てる。下手に脚本をいじらずに戦闘の様子をしっかりと画で見せてくれるので映画内で冗長さを感じることは殆ど無い。まあ元の小説から決まったストーリーのある話じゃないのもあるだろう
どうしても特定の教訓とかメッセージを当てがわれがちな戦争映画において珍しいブラックホークダウン以来の純粋戦闘映画だ。
もし映画を観て気に入ったら原作小説も読んでもらいたい。
プロパガンダを見せない工夫を
アフガニスタンの駐屯地で、タリバンの猛攻を受けた米国陸軍の苦闘を描く物語。
実話を基にした作品のようですね。兵士達の日常が淡々と描かれ、その合間に突然の死や攻撃が挟まれます。戦闘シーンもかなりリアルに描かれていて、緊迫感と迫力が感じられます。特定の主役を置かず、群像劇のように描かれていることで、よりリアルが強調されているようにも感じ好感を持ちました。
ただ、プロパガンダ色が少し強いようにも感じられます。特にアフガニスタン兵の描き方は、もう少し良い描き方をしても良かったかもしれません。それが事実なのかもしれませんが、敢えて触れる必要もなかったように思います。9.11事件を受けたアメリカの立場を考えれば、アフガニスタン侵攻もやむを得なかったのかもしれません。しかし、一般のアフガニスタンの人々からすれば、いきなりアメリカの軍隊が入ってきて「協調しよう」なんて言っても納得出来るわけもないわけで・・・そこらへんの気持ちをしっかりと描けていれば、もっと良かったかもしれません。
私的評価は普通です。
戦争は悲しみを生むだけ
実話ということであるがまず、なんであんな所に基地があるのかわからない。
どうぞ、やっつけてといったところで、逃げ道があるのかもわからない。
激しい銃撃戦で奇跡的に亡くなられたのは5人ではあるがそれぞれに家族があり、やるせない。
も一つ言えばたくさん死んだタリバン兵にも家族がいてその死を悲しむ人が一杯いるはずである。
戦争映画を見て「戦争やって良かった」というような気持ちになった作品など一つも無い。
それなのに世界のどこかで今も戦争が行われているのは悲しく、せめて映画の中だけにして欲しい。
最後に家族に死を告げる場面が出てくるが言う方も聞く方もつらいだけ。
戦士達の心の中にいつまでもトラウマとなって残るのだろう。
小心者の自分が現地にいたらおそらく恐怖で発狂してたんではないかと思う。
それはそうとタリバン兵はヘルメットすらかぶっていなかったけれど宗教的なことからなのだろうか?
地獄へようこそ
主演のスコット・イーストウッドよりケイレブ・ランドリー・ジョーンズが印象に残る。
やっぱり彼の演技力は凄い。
前半の戦闘シーンはあまり緊張感が感じられなかったが、ラストの戦闘はかなり良かった。臨場感のあるカメラワークや役者の必死さが伝わる演技がとても良かった。
何故あんな所に基地が!
アフガニスタンのキーティング前哨基地での米軍とタリバンの戦いの映画化。
何故あんな所に基地を造ったんだ?周りを山に囲まれた窪地にある基地。周りから丸見えで、素人がみても危ないのがわかる。まぁ、理由があってあの場に作ったんだろうけど😣
心配していた通り、ついに300人のタリバンに襲撃されてしまう。激しい銃撃戦。なかなかの見応え。
エンドロールでわかったが、1人は実際にあの戦闘を生き抜いた兵士が俳優として出演していたようで、あの地獄を体験して生き抜いたのに、撮影でまたあの恐怖を思い出すんだから、よく出演したなあと驚いた。あの戦闘はかなりリアルなんだろうと思うと、やはり戦争は恐ろしい。
顔が似てる
戦死した軍人と役者の顔が似てるなと
配役もそんな感じでしたのでしょう
しかも当時そこにいた軍人も本人役で出演してる
凄いな…
エンドロールと一緒にその時の軍人のインタビューが流れる
最後には写真も
すごい
アフガニスタンの米軍
アフガニスタンで、戦略的に不利な低地に基地を設けたアメリカ軍が、タリバンの猛攻で多くの犠牲者を出した実話の映画化。
戦闘シーンは凄まじく、ほとんど生き残ることは難しいと思えた。
使命感がないと大変だと思う。
【ただ「愉しい」と言えないリアリティのある戦争映画】
・2020年公開のアメリカの戦争映画。
・実話(アフガニスタン紛争における2009年10月3日の「カムデシュの戦い」)を基にした戦争映画で、ノンフィクション「The Outpost: An Untold Story of American Valor」を原作としているようです。
・パキスタンとアフガニスタンを結ぶ米軍の補給線維持を担う、キーティング前哨基地(=Outpost。防衛や研究を含むあらゆる目的のために最小限の規模で設置された前線の基地のこと)。そこは3つの険しい山に囲まれているため攻撃の的のような場所にあった。そのため、度々ターリバーンからの襲撃にあい、ぼちぼち基地もたたもうか…という2009年10月3日。約300名ものターリバーンから攻撃を受ける53名の米兵たち。その「カムデシュの戦い」前後が描かれる という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・客観的な描き方
・臨場感のある戦場描写
・エンドロールまで無駄にしないこだわり
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[物語]
・「カムデシュの戦い」を中心としたシンプルなものでした。この映画は、物語というよりは魅せ方(演出)を含めてこそ素晴らしい作品のように思いました。
[演出×映像]
・よくある紛争地域の戦争映画かな、と思っていましたが、鑑賞するとエンタメ要素だけでない力強さを感じた映画でした。
・まずは、群像劇に近く客観的な視点を与えようとしてくれていました。
- 冒頭から兵士を1ショットで映し名前テロップを丁寧にしているところ=1人の主人公じゃなくて、兵士の1人1人をしっかりと覚えてみてね。
- 弱虫っぽく映る大尉の行動や考えを嫌うものだけでなく、信じているものもいる=色んな角度でものをみてね。
・などなど、主人公を中心に物語を楽しむというよりは、それぞれの視点での思いや行動を観て、「どれが正しい間違っている」というわけでもない感じ。戦場という混沌とした場所では、いくら規律正しき軍人さんと言えど、それぞれの想いと規律の狭間で仲間と共に生き抜くために悩み苦しみながら判断・行動しているんだよ、という事実が伝わってきました。
・次に、臨場感のある戦場描写。
- 序盤の橋を渡るシーン。引きの画に変わった瞬間の緊張感が凄すぎました💦画の配置だけで観ている人に緊張感を与えるすごみ。
- 戦闘中は兵隊さんの真横にカメラが張り付いて、一緒に走りまわっています。まるでドキュメンタリーの戦場映像を観ているかのな臨場感で、あたかも自身が体験しているかのような映像になっています。
・最後に、エンドロールまでしっかりこだわる。
- 自宅でDVD観ているとエンドロールは大抵見ないで終わります。が、本作では、エンドロール時に当時の兵隊さんの写真やインタビュー映像が流れます。最後まで時間を無駄にせずに、戦争のむなしさを突き付けられた気がします。
[音楽]
・際立って感じたことはありません。
[演技・配役]
・観ているときは知りませんでしたが、実はすごい人ぞろいだったんですね。オーランド・ブルームさん、スコット・イーストウッドさん(クリント・イーストウッドさんの息子さん)、マイロ・ギブソン(メル・ギブソンさんの息子さん)などなど、これからの映画界を担う若手俳優さんがゾロリ。また、当時、その場所にいた兵士の方がそのまま俳優として出演もされていたようです(エンドロールでそう語っていました)。そうそうたるメンバーで固めた群像劇で見ごたえありました。
[全体]
・日本人の私にとって、見慣れないアメリカの方々を名前テロップだけで瞬時に理解して、それぞれの視点で物語を観る、ということが難しかったですが、この映画は群像劇的に見せるところこそがポイントな気がしました。「カムデシュの戦い」で戦った兵士さんみんなが主人公、ということですね。そこまで瞬発的に理解できませんでしたが、最後まで映画を観れば、その意図がくみ取れるようになっていたので映画として楽しむことができました。
・ただ、「愉しんで観た」という表現が正しいのか…と思ってしまうような、社会派的な要素もありました。実話を基にしている事や、経験者本人のインタビュー映像を流すこと、から単純なエンタメだけの役割でないものを感じてなりません。まるでドキュメンタリー映画を観ているような気分です。かといって、じゃあ明日からどう行動すべきなの⁈という大そうな答えも見つかりませんが💦
・劇中、皆が思い思いに大切な人と連絡を取り合っているシーンがあり、それがいかに幸せな事か、つまり、今の私たちの日常生活が紛争地帯のそれと比べて非常に豊かで幸せであること、それをかみしめるだけでもいいのかもしれません。実際に観ていて、そう思いました。そういう小さなことを大切にしようと思わせてくれる、戦場のリアルな恐怖を伝えてくれる、そんな映画でした。ありがとうございました。
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#全体3.5 #物語3.5 #演出3.6 #演技3.5 #配役3.5 #映像3.6 #音楽3.5
リアリティな描き方が良い
現場を知らず、地図と映像だけで戦略を立てる上層部と、実際の最前線で、その上層部のミスや失敗と、それを是正しようとしない無責任さの為に命を落とす兵士たちという構図は、過去の戦争でも繰り返され、様々な作品に描かれてきたが、本作品もその部類に入る秀作。
敵の攻撃から身を護る術を次第に失いながら、必死で生き残ろうとする兵士たちの勇敢さや脆さが、戦争の悲惨さや矛盾を突き付けてくる。
有名な俳優の二世などが出演しているが、総じて無名な役者で描いた事で、リアリティを感じさせる手法は「ハンバーガー・ヒル」を彷彿とさせる。
戦争好きにはたまらない戦い
壮絶な戦闘シーン
にしては戦争映画独特の痛々しさはなかった。
実際に亡くなった方々がいるためどう表現していいかは難しいが、最近の戦争映画では久しぶりにいいもん観させてもらいました。
また観ます!
↓鑑賞記録
2022/2/6
2021/10/8
2024/7/24
実話だけど、脚色も多いのだろうな❓‼️
物語の進行と戦闘シーンからすれば全滅しそうな勢いですが。
それで五十人のうち七人の死者で済んだのは、奇跡なのか、盛りすぎなのか?
戦闘の細部はリアルだけど、多分、空爆までの時間は数分なんだと思う。
それなら理解できる。
でも、作戦が最悪なのを、勲章で目眩し。
空爆も、他所では、病院や学舎も壊滅させてるとは思う。
戦闘好きには暇潰しになるだろうけど、モヤモヤして嫌な気分になる。
住民からタリバンを引き離すのが俺たちの任務だ
映画「アウトポスト」(ロッド・ルーリー監督)から。
恥ずかしい話だが、アフガニスタンの騒動を、
あまり理解しないで、ニュースなどを見ていた気がする。
噂も含めて、裏事情はいくらでも想像ができるが、
表向きのアメリカの目的はなんだったのか?が、
現地の人たちと米軍兵との会話で、はっきりできた。
まず、アフガニスタンの住民が指揮官(大尉)に訊ねる。
「なぜ来た?」「40年も居座って」と詰め寄るシーン。
「いいや。違う。それはロシア人。俺たちは米国人だ。
住民からタリバンを引き離すのが俺たちの任務だ。
あなたたちが十字砲火を浴びないように!」
そもそも、タリバンは政府でもないし、
「イスラム主義・復古主義・反シオニズム・反共主義・
反ユダヤ主義・反西洋主義・外国勢力の排除」を掲げた
アフガニスタン全土で活動している宗教組織であろう。
こういう主義、主張に、テロリスト集団が群がり、
彼らの巣窟になることを恐れて、世界の警察である
アメリカがなんとかしなければ、と動いていた。
しかし、住民とタリバンとの関係は改善されず、
アメリカがその任務を放棄した・・という構図が
浮かび上がるのだが・・。
冒頭、壁に描かれた兵士のメッセージは、
・状況は良くならない(It does't get better)
そういうことなんだろうなぁ。
事実の迫力
まず一番初めに、どうしてこんな場所に前哨基地を
置いたのかと言うのが疑問としてあると思います。
四方を山に囲まれた谷のど真ん中に。
米軍とタリバン兵との戦闘シーンがメインですが、
襲ってくるタリバン兵が「ゾンビ」みたいに描かれていて、
そこもちょっと違和感があります。
まぁ銃撃戦はなかなかの迫力ですが、
事実として何人もの兵士が米軍側、タリバン側、関係なく
亡くなっているのは恐ろしいです。
撃たれ放題
圧倒的不利な地形に前線基地を置く米軍に何故?の疑問が沸き上がる。
そりゃ撃たれるよ。
上から隙をついて狙い打ちだ。
そんな環境でこの位置を防衛しつつ、地元民族と交渉していく…それが任務なのだ。
この激戦区で様々な指揮官、兵士が命を散らす。
初期の指揮官は勇猛であったがそれ故に次々と倒れていく。
上からの命令も現場で弾に当たらず危険のない所から来るから、無理も平気で言ってくる。
サラリーマンと変わらない。
だが、ここでは命取りだ。
撤退前になると上手く生き残った指揮官がやってくるが、会社にいる中間管理職そのものでトイレにも行かず、指揮所に閉じ籠っている。
地元民とのトラブルも早々に解決のため機密費から金を出している。
サラリーも月1000ドルアップ…兵士の給料幾らか知らないが、死ぬリスクの高い所で10万アップしゃあ足りないと思うのは自分だけかな?
終盤、400人程のタリバン兵の猛攻を受ける。
結果として死者8名、負傷者27名と半数以上が死傷している。
昨今流行っている殺し合いゲームの様にあっさりと人が傷付き死んでいく…敵味方関係なしに。
後から前線基地の脆弱性がとか書いてあったが、一目見りゃわかるだろう
内容的には単なる戦争映画である。
政治的な意味合いも多少見受けるが過剰な感じはしない。
製作した金の出所がそうであるとしたら、比較的無意味で愚かしい戦闘に参加させられていた兵士たちの物語として鑑賞できる。
昨今アメリカがアフガニスタンから撤退、直後にアフガン兵ほタリバン兵士に追いたてられ政権も崩壊、たちまちタリバンの制圧下に置かれてしまった。
宗教、民族は違うし、グローバル化で大国が頭を抑え込むような仕組みでは一向に平和は得られないのだろう。
いつの世も、争いの元は人の欲とカネが付き物である。
これが戦場の最前線。生きるための孤高な戦い!!
【賛否両論チェック】
賛:壮絶な戦いの連続が、観ていて圧巻。その中で生きるために戦い続けた主人公達の姿にも、思わず胸を打たれる。
否:前半は予想以上に淡々としているので、やや退屈してしまいそう。戦闘シーンはグロシーンが非常に多いので、苦手に人には向かないか。
物語の前半は、基地へと到着した主人公達が、その過酷な環境下を痛感していく日々が続くので、思ったよりも淡々と進んでいく感があり、人によっては少し退屈に感じてしまうかもしれません。
しかし後半は一転、実際に起きた壮絶な戦いを描いているだけあって、その怒涛のアクションの連続に、思わず圧倒されてしまいます。その緊迫感は、まさに戦場の最前線へと放り込まれてしまったようです。ただその分、グロテスクな描写もかなり多いので、苦手な人にはちょっと向かないかもしれません。
四面楚歌、絶体絶命の状況下に追い込まれても、生き延びるために戦うことを諦めなかった主人公達の姿を、さながら群像劇のように描いているので、生き抜いた者は勿論、命を落としてしまった者の勇姿にも、思わず胸が熱くなります。
ただやはり基本的には、戦争映画が好きな方向けの作品といって、間違いなさそうですね。
激戦を正確に再現
公開初日から5回鑑賞
何回観てもまた観たくなる
何故ここまで引き込まれるのか
実話だから?
戦争は正真正銘
本気のゲームだから?
登場する兵士たちのことが
もっと知りたくなって
主人公ロメシャ軍曹の著書
「レッド・プラトーン 14時間の死闘」
を読んだ
この著書は、目撃者の証言や
無線交信の記録などから、
戦いの展開や兵士の行動を
時系列で再現した
ノンフィクション作品
映画「アウトポスト」が
10月3日早朝からの死闘を
正確に再現していることがわかった
航空支援があと1分、2分遅れたら
もっと多くのタリバン兵が
基地に乱入して
米兵はあっけなく
全滅していたかもしれない
戦闘開始からおよそ2時間後の
本格的な反撃が
なんとか成功したのは
奇跡としか言いようがない
死と隣り合わせの戦場で
兵士達は
仲間を救うため
生き抜くため
純粋にただそれだけを考えて
瞬時に最善の方法を判断して
行動している
その瞬間を疑似体験したくて
戦争映画を観る
最後に
何度観ても一番好きなシーンは
(基地にいる間、自宅への連絡を断っていた)
ロメシャ軍曹が
奥さん電話をかけるところ
一瞬ホッとした表情に変わり
観ているこちら側も脱力して
あー終わったんだと
意識が切り替わる
実話!
ISに対抗して、アフガニスタンの低地に築いた米軍前線基地の54名が、撤収前に、ISからの総攻撃を受けながら、脱出に成功した話。
そもそも、「キャンプ・カスターという名前は、19世紀に全滅した将軍の名前だ」 というのが、永木悪くないの? と疑問を抱く名前付けだよな。
ほぼ全編、戦闘シーンの繰り返しで、それは 「プライベート・ライアン」 冒頭の上陸シーンが、延々と続くような感じだ。
戦闘シーンは、手持ちカメラの、揺れに揺れる映像が、リアルな迫力を伝えてくる。
ことあるごとに、兵士たちの名前がテロップされる。それは最初から最後まで、ずっと続く。その理由はなにか。これが、事実をもとにした映画だからだ。54名の兵士、生き残って帰還できた者も、戦死した者も、全員、この映画で描かれたように、生きて生活していた。数少ない非戦闘シーンで描かれているように、ひとりひとりには、様々な全く異なる米国での暮らしがあり、性格も千差万別な人間たちだった。彼らが、国を守るために、これほどまでに過酷な中で戦闘しなければいけないという矛盾を、せめて本作を観ることで胸に刻もう。その米国の傘の下で守られている日本の一角に住む俺にも、それならばできる。
「無能な臆病者」 と兵士たちに陰口を叩かれる、3人目の司令官は、イラクで様々な前線を経験してきたことも、我々観客に伝えられる。そうしたひとつひとつが、「実際の戦争は、英雄映画では決してないんだ」 ということを伝えてくる。
恐ろしいまでの弾幕の中、傷ついた同僚を放っておけず、危険を冒して救い出したが、同僚は帰還するヘリの中で、その命を終える。そのことも含めて、すべてが事実であり、これが戦争だ。本作は、それを伝えるために、激しいアクションシーンを描いていることは、ずっと忘れないでいたい。
帰還した兵士たちが、 「あそこでのメンバーは兄弟さ」 と言えていることが、せめてものなぐさめだ。
おまけ
頻繁に出てくる "RPG" は、ロケット砲と勝手に思っていたが、正しくは "対戦車擲弾" つまり、自力で飛ぶロケットを発射するのではなく、自力では飛ばない弾を遠くまで飛ばす兵器なんだね。勉強になりました。
アメリカが介入する意味ってあるのか
ネットの前評判から、勲章をもらった兵士を礼賛するような映画のような気がして鑑賞を後回しにしていた作品である。しかし鑑賞してよかったと思う。
兵士たちの描写が大変にリアルだ。いつとも知れず、どこからとも知れず銃弾が飛んできて、時には誰かが怪我をしたり命を失ったりする。それがアウトポスト(前哨基地)の日常だ。精神を病まないでいるためにハラスメント行為をし、虐められてやり場のない新兵は麻薬をやり、大酒を飲む。
アウトポストを支配していた空気は、この場所が必要なのか、我々は何をしているのか、任務ってなんだというニヒリスティックな疑問だった。守るべき住民の代表である長老たちは金銭ばかりを要求するし、そのために無関係な屍体まで持ってきて米軍が殺したと主張することも辞さない。そこでさらに疑問が加わる。俺たちは何を守っているのか。
アフガニスタンはイスラム原理主義のタリバンに支配されようとしているのをアメリカが阻止しようとしていまだに交戦が続いているが、国民の殆どを占めるイスラム教徒にとってアメリカは異教徒だ。タリバンの圧政は嫌だがアメリカ人も嫌だ。その雰囲気は兵士たちにも伝わっている。アメリカが介入する意味ってあるのか。
クライマックスの総力戦のシーンはまさに息を呑む迫力である。四方八方から銃弾が飛び交い、迫撃砲やRPGも不意を突いて飛んで来る。こちらにも迫撃砲や大口径の機関銃や狙撃銃はあるが、至近戦では小回りの利かない武器はすぐに使えなくなる。残っているのは突撃銃とグレネードくらい。そして兵隊の数ではタリバンが圧倒している。
そんな中、ある兵士は負傷した仲間を救うために銃弾の雨の中を走り、もうひとりはその援護射撃をする。生き残るのは僥倖でしかない。
また別の兵士は極めて短い時間に戦術を練り、断然不利な状況を跳ね返そうとする。成功するにはよほどの幸運が必要だが、何もしないで犬死するよりはましだ。
運のよかった者が生き残り、運の悪い兵士が死んだ。しかし最初からこんなところに来なければ死ぬこともなかった。これが犬死でなくてなんだ。生き残った兵士も死んだ兵士も勲章をもらった。その勲章になんの意味があるのか。彼らは勲章をもらって本当に嬉しかったのだろうか。
映画は勲章を肯定も否定もしない。ただ勲章が授与されたという事実を告げるだけだ。観客が悟るのは、戦争のPTSDはこのようにして生まれるのだということである。アウトポストには女性兵士がひとりもいなかった。
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