「53人の守備隊」アウトポスト bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
53人の守備隊
最後に空撮で映し出されたアフガン奥地の山々の姿に呆然としてしまう。何のために、こんなところに前哨基地なんか作らなきゃいけないの?すり鉢状の谷底に基地なんて、頭オカシイ。
反戦要素、やや多め。
政府批判要素、ゼロ。
軍上層部批判要素、並み。
敵は悪魔!要素、ほぼゼロ。
突き詰めると、あの地で命を落とした兵士たちへの鎮魂。
生々しさはあります。戦闘シーンの迫力もあります。戦争映画としては普通ですかねぇ。
ドローンを使った撮影(渡り橋・総攻撃を受けた際の基地内)が斬新だったのと、兵士の荒い息遣いを重ねる音声の造り込みが良かったのと、なんと言ってもケイレブ・ランドリー・ジョーンズが良かったです。
短期間に大尉が二人も死亡すると言う異常な地。物語は2009年に起きた実際の襲撃事件を元にしています。タリバンは「軍隊」じゃ無いので、当時、2~300名が集まり、主要拠点でも無い場所を総攻撃すると言うのも異常な気がします。最初んとこで、資金・開発を約束して折衝しましたが、何かがまずかったんでしょうねぇ。
ラストの本人インタビューは印象的。トラウマを抱えて帰って来た者もいれば、誇らしく語る者もいる。米軍が、そこにいるだけで戦闘行為が発生してしまうのが、中東でありアフガンであり。つまりは、これは過去の終わった話じゃ無い。またいつ、どこで同じことが起きるか分からないよ、って事で。
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3/29 追記
ちょっと萌えた場面について。
入り乱れた乱戦の中、クリント軍曹は丘の上にタリバンの狙撃兵を発見します。手にしていたのはM-4カービンとM203グレネード・ランチャーのコンビ。咄嗟に、そばに倒れていたアフガニスタン兵士の狙撃銃FPKを拾い上げます。
FPK(PSL)は、AK-47を元にルーマニアで設計・製造された狙撃銃。アメリカ陸軍の軍曹が、旧ソ連のカラシニコフ・コンツェルンを起源とするFPKを手にして、丘の上の敵狙撃兵を倒します。逆狙撃に成功した後、FPKを「ポイ」と投げ捨てる姿に萌えですわ。
ち。敵のライフルに頼っちまったぜ。
的な。