「硬い? えっ、なにが?」少年の君 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
硬い? えっ、なにが?
同級生が校内でいじめを苦に飛び降り自殺をしてしまい、その亡骸に自分の上着を掛けるところを多数の生徒に撮られてSNSにあげられ、代わりにいじめのターゲットになってしまったヒロインは「13億人の妹」。シングルマザーの母親はあやしい行商で家計を維持し、出張で家をあけがち。しばしば、借金取りが押しかけてくる。進学校でも成績優秀なヒロインは北京大学を目指し、貧乏からの脱出を大いに期待されている。
もう一人の主役は味のあるイケメン。彼も離婚した母親に蒸発されて、ストリートチルドレンとして、チンピラに摂取される毎日を過ごしている。ある夜、彼が不良たちに囲まれ、カツアゲされて、ボコられているところに出くわしてしまうヒロイン。運命の出会い。不良たちはふざけ半分で二人がキスすれば、今夜はこのへんで許してやるとけしかける。意を決して、彼にキスするヒロイン。不良たちはそれを見て照れてしまい、あっさり二人を解放してしまう。助けられたお礼を申し出る彼にヒロインはボディガードを頼む。
いじめ三人組のボス役は親が高級官僚なのだが、複数の不良少年を雇い、対抗してくる。全国共通試験の数日前にヒロインを襲わせ、裸になれと脅し動画をSNSにあげたり、髪をハサミで切ったりと執拗な極悪非道ぶりをみせる。
嵐の夜、いじめ三人組のボスの遺体が工事現場の土砂の中から発見されることから始まる刑事サスペンスストーリーでもあった。
刑事役のイケメンは若いときの妻夫木聡にかなり似ていたが、彼女を守りたい気持ちと手柄をあげたい気持ちの間で揺れて、結局、懲戒免職になったとか、彼は実は成人だとか、彼は自白したとか、嘘をこいてまでして彼女に自白させることに成功するのだが、そこが実にいけすかない奴たった。
青春クライムムービーは好み。とくに男は少女を守って死のうと思った的なキャッチコピーの映画が私にはごちそう。13億人の妹に納得。日本も個性的な俳優をもっと増やそうよ。
ただ、最後が説教臭くて、シラケてしまいました。非常に残念。中国共産党がでしゃばってきた感じでございました。