劇場公開日 2021年7月16日

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「2つのテーマ」少年の君 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.02つのテーマ

2021年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

評価が高いので鑑賞。自分で観ると、宣伝やいろいろなレビューで得た印象とは少し異なっていた。
長尺を生かして、テーマを2つ盛り込んでいると思う。

メインテーマの「いじめ」については、今一つだった。
既存の「いじめ」を扱った作品と比べて特筆すべきものがなく、“デジャヴ(既視感)”があった。やりすぎな暴力シーンも出てきて、脚色しすぎだ。
ただ、それがために、チンピラと主人公とのあいだに愛が生まれ、もう1つのテーマへと繋がっていく。

終わりの4分の1は、思わず罪を犯してしまった人間と、それをかばおうとして犠牲になる人間のドラマになる。
むしろ自分は、こちらのテーマの方が見応えがあった。

また、どこまで実際の中国の現実を反映しているか知らないが、世相の描写も興味深かった。
過酷な受験競争のシステムと、高校を出て“大人”という認識。日本でも変わらないが、極端な印象だ。
広大な領土をもちながら、都市の人口は密集し、半グレや違法商売が横行するギスギスした社会。
いたるところに張り巡らされたカメラによる、公安の監視。

映画「薬の神じゃない!」同様、“中国政府礼賛”のエンドロールが出たが、長すぎて呆れてしまった。
冒頭で当局の「公映許可証」が出るが、ここまで当局をヨイショしないと検閲に通らないのか。制作陣も大変だ。

Imperator